6.作戦

 全力で森を駆けた。ベベルを連れ去った人間たちは20人はいたため、シエロの足でも早く村に着く事は容易だった。

 シエロはフロイデの村に着くとすぐ家に帰り、ベベルを救うための手立てを必死で模索した。

 どうしたらベベルさんを救う事ができるだろうか。


 小さなころ、一度処刑された男を見た。

 教会の裁判で判決が出た後、村のほとりの川にある水車近くの絞首台で処刑された。

 判決後、2日間は教会の中にある牢屋に入れられていたので、きっとすぐに処刑されることはない。


 牢屋の場所は知っていた。同級生が噂をしているのを聞いたことがあった。

 教会の裏から地下へ向かう階段があり、そこに小さな牢屋があるのだ。

 牢屋の中に上手く忍び込むことができれば、ベベルさんを助け出せるかもしれない。

 牢屋には鍵がかけられるはずである。

 父がまきを割るのに使っていた斧を鞄に入れた。


 牢屋にベベルさんが入れられたのを確認したら、村の北部にあるメンダキウムの森手前にある麦畑に火をつける。

 畑に火が付いたら村人は必ず消化作業のために総出でそちらへ向かうはずだ。

 そうすればベベルさんを助ける時間くらいなら稼ぐことができる。

 シエロは素早く計画を立てると、家を飛び出した。


 ***


 ベベルさんを連行している集団ももう村に着くころである。

 そう思い村の中央広場に差し掛かった時、村人たちが集まっているのが見えた。

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