5.焦燥
朝霧の中、いつものようにシエロはベベルの家へ向かっていた。
滅多に鳴かないイグニスがしきりに鳴いている。
現れるベベル。
「あら。こんにちは」
その時、シエロの背後で何者かが角笛を吹くと、木々の陰に隠れていた男たちがシエロたちを囲みこむと、男がベベルに告げた。
「お前が魔女だな。村へ連行する」
「何の御用かしら?」
問いかけるベベルを遮り男は続けた。
「従わなければこの少女を火にかけることになる」
表情がこわばるベベル。シエロは不安な顔でベベルを見つめた。
『大丈夫』
ベベルは、片目を閉じてシエロに微笑みかけた。
男たちをかき分けて教会のシスターが前に出てきて言った。
「悪魔信仰の罪により、あなたを連行いたします」
遠くに父の姿が見えた。咄嗟にシエロは理解した。後をつけられていたのだ。
自分の不注意と父の
「臆病者」
「魔女を連れていけ」
男たちがベベルを囲む。
父をにらみつけるシエロ。
「臆病者!!」
取り残されたシエロは、しばらく呆然と風に揺れる森を見つめていたが、やがて
「ベベルさんを助けなきゃ!」
そういって急いで森を駆けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます