第190話 潜水魔法を作ろう(1)
ミラ姉とアーチャ、サマンにノア、そしてママ。
僕と潜水魔法(今回命名)の構築&練習をするメンバーだったんだけどね、虐殺の輪舞から人が出ないのは不公平だって、約1名がね、ハハハ。ネリアってば、風魔法は使えないんだけどね、うん火と土だから。でもね、なんか、常識?ての、ちゃんと分かる人が監督する必要がある、って言って、こっちに来ちゃった。まぁ、ママが風魔法は使えないけど、怪我しちゃった時のために来てるしね、もう一人ぐらい俯瞰で見る人があっても良いんじゃないかって、ヨシュ兄が・・・
うん、ヨシュ兄、探索メンバーにネリア、いらなかったんだね、わかるよ、へへ。
なんだかんだで、ママがいるととっても楽ちんです。
まず、湖の近くの別荘を借りることが出来ました。
商業ギルドで幹部クラス、っていう人の別邸だって。なんかね、トッドさんのとこの親戚、っていうか本家?なんだって。ギルド長なんかもやったりするお家柄、って、ここは商人の聖地にしてその領都。そこの幹部って思ったよりすごいおうちなんだね。ん?そうか。うちの人のなったけど、パッデもこの一族だった。ザドヴァから逃れて、トレシュクへやってきたメンバーのリーダー格だったんだって。ザドヴァへ残った人達がパッデの家族だし、トレシュクから独立して世界中に散った一族の一人がトッドさん。トッドさんもミモザではナンバーワンの商会の会頭だし、パッデだって、若手有望株だからこそ、僕たちに紹介されたんだ。すっごく優秀な一族なんだろうね。ちなみにトッドさんの商会の名前ってパパラテ商会でしょ?交叉都市パパラギに似てるな、って思ったら、もともとあの辺りに拠点があったそうで、パパラっていうのが、本家の名前、ファミリーネーム?なんだそうです。
で、パパラさんちの別荘を借りて、僕たちは潜水魔法を作っていきます。
もともと、僕とカイザーの前世の記憶を魔法に落とし込んで、ドクのアドバイスで理屈だけは作っていた魔法。
あのね、ミモザ沖のエッセル島界隈って、お船が難しい海底なの。エッセル号はその性能と、ゴーダンとかの操船技術、あとは安全なルートのノウハウがあって、なんとか接岸できるんだけどね。
けっこう島の周囲は海産物の宝庫。乱獲されてないってだけじゃなくて、複雑な海底の地形が、様々なお魚や貝なんかの絶好の隠れ家になってるんだろう、ってみんな言ってた。
でね、島から釣りとかして楽しむんだけどね、潜って獲ったらもっとすごいのありそうだよね、って・・・ゴーダンとかセイ兄は、島から近いところは潜ったりしてるんだ。岩陰にはなかなかにおいしい貝もたくさんいるし、僕も獲りたいんだけどね。海の流れが早いし複雑だから、入っちゃダメって言われてて、だったら魔法でなんとかならないかな?って、考え始めたんだ。
そんなだから、考えてはいたんだけど、まだ理論状態。実践できる場所がなかったからね。
で、湖で初めての実践です。
んとね。まずは風魔法って言うけど、空気を自在に動かせる魔法です。
って、これ、みんななかなかに難しいみたい。
でもね、ずっと僕たちの側にいるミラ姉とアーチャはね、なんとなく理解してるみたいです。
「地上には、意識してないけど、気体っていうので満ちているんだ。」
・・・・
だめかぁ。
「えっとね、湖は水で満たされています。」
うん、これは分かる。目の前にある湖を見たら、一目瞭然。
「僕らは水に入ったら水があるって分かるでしょ?でもお魚さん達は分からないと思うんだ。だって、ずっと透明な水に浸かってるから、それが水だよって分かるチャンスがないから。」
うん。なんとなく分かったかな?
「水から出したら、お魚はアップアップしちゃう。水がないから。お魚は水の中で息をして、空中では息が出来ないから。逆に僕たちは?空中では考えないで息をしてる。でも水に入っちゃうと息が出来ない。そうだよね。」
これは分かってくれるみたい。
「僕たちは酸素を吸って二酸化炭素を出すんだよ。お魚も僕たちもそこは一緒。これが呼吸なんだ。お魚は水から酸素を取り出すし、僕たちは空気から酸素を取り出す。こうしてお魚も僕らも息をしているんだ。」
ぽっかーん。
ハハハ、だよね。
酸素とか言っちゃうと、だめかぁ。
でも、僕たちは空気があれば息が出来るから、水の中でいかに酸素を持って行けるか、ってのを考えて欲しかったんだけど・・・・
と、ママがひしゃくを持ってきたよ。
でね、湖に逆さまにひしゃくを入れた。
で水中でクルッて回すと・・・
ポコッ
でっかい泡。
そっか!
「前にカイザーが教えてくれた。」
ニコッ。
うん、そうだね。ママ、サイコー!
「今、ままがやったの分かる?」
「ひしゃくに空気が入ってたから、泡が出た、のよねぇ。」
「うん、そうそう。サマンお姉ちゃんの言うとおり、逆さまのひしゃくには空気が入っていて、水の中ではそのうち溶けちゃうけど、でも、ある程度は保っていられるんだ。外から見たら、それが泡になる。泡の中身は空っぽって見えるけど、本当は見えないけど空気が入ってるんだ。でね、空気って一言でいうけど、本当はいろんな種類の成分があって、そのうちに本当に息するのに必要のなのはごくわずかなの。」
「いろんな成分、か。そういえば、マグマの近くの水から出てる泡は臭かったわね。」
「ネリアが言うのは、きっと硫黄だね。黄色くなかった?」
「土は黄色くなってたわね。」
「毒の沼とかも、緑や紫の泡ができるわ。」
「そうそう。そういうのって、僕らが息を出来ない空気、でしょ?」
「そういうことね。息が出来る空気とできない空気がある。できない空気ってのは毒だってこと。」
「そうそう。でね、普通に息が出来るこの空気を僕らの周りに風魔法で纏わせるの。そうしたら、きっと水でも息ができると思うの。」
「常に魔法を纏うって言うのかい?魔力量勝負になりそうだ。」
そう。アーチャの言うとおりなんだ。
誰もやったことがないから、息ができるだけの空気を纏って、水に入った場合、いったいどのくらいの魔力が必要なのか、そこがさっぱりわかんない。
あとは、空気って言っても、息をすれば酸素が出て二酸化炭素を出す。二酸化炭素っていっぱいあったら、息が出来なくて死んじゃう。これを水中で濾過するなり、なんなり方法を考えなくちゃ、ダメだろう、ってここまでは以前カイザーと話していたんだ。プラス、ドクがね、空気をシャボン玉みたいに纏ったとして、水圧でつぶれちゃわないか、って。その前に水の中は気圧がって、潜水艦の形について話をカイザーとしていて、人間がそのまま外に出て、シャボン玉を保つにはどれだけの強度がいるか、って話たりしたんだ。
とまぁ、課題は多いんだよね。
まずは、僕が風の魔法で空間を仕切ってみる。
地上でこれをできるようにして、そのまま水中へ。
あ、これは出来るんだ。
あとは纏う空気の量かぁ。
これはね、魔法でいろんな結界があるけど、風を使っての結界と同じ理屈。
アーチャが僕がやってるのを見て、それに気付いたんだ。
だから、みんな、一応、風で空気の空間を作るのは成功したよ。
いえーいっ!て、ハイタッチしたのは良かったんだけど・・・
なんかね、結界ってのは強度大事。だって、人とかの魔法とか攻撃を防ぐんだから。
でもね、動かないんだって。
そんな常識、知らないよぉ。
なんでもね、でーんと構えて迎え撃つってか、防御する、ってのが結界、だそうです。うん理屈はそうだね。
でも、結界纏ったまま動けた方が、逃げられるじゃない?
そう言うと、それで逃げられるんだったら、そもそも結界なんて作らずに攻撃しつつ、全速力で撤退する!だって・・・
動くものに結界を張るのは、無理、だそうです。
いや、できるよね?
僕は風の結界?強度を強めた空間を纏って、軽い攻撃して貰ったよ。
「ほら、できるじゃん。」
「「「できるかー!!」」」
「できた。」
うん、アーチャ合格です!
だから、みんなもそんな目くじら立てないで、ミラ姉を見習ってね。
ミラ姉が風の膜を纏って動けるようになったのは、その日の夕方。
それを見て他のメンバー、やっとやる気になったようです。
前途多難だぁ・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます