第189話 みんなが来たよ
(本編の前に。ごめんなさい。ポカやって187話ちょっといじってます。当初の予定でこの後避難予定だったメンバーを先にパパラギ村で離脱させたの、失念してました。その点の書き直ししてます。内容そのものには変更はありませんが、違和感持った方、申し訳ありません。2021年12月27日筆者。
ということで、以下本編に入ります。謝)
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モーリス先生のところに行った日、不屈の美蝶メンバーがやってきて、その2日後、虐殺の輪舞も到着したよ。
モーリス先生のところに行ったこと?ハハハ、ちょっぴり怒られました。
でもね、サマンお姉ちゃんが、自分が無理矢理連れてったって、謝って、僕が無理矢理お願いした、て謝って、ってしてたら、みんなため息ついて、あんまりは怒られなかったよ。まぁ、ママが、僕と先生は会うべきだったって言ってくれたのも大きいかな?
そうそう、僕たち以外の行動。
バフマはやっぱり、気付いてたみたい。
ママがね、僕を行かせて上げて欲しいって、こっそりお願いしてたんだって。で、こっそりついてきてて、なんと、モーリス先生のおうちの外で、変な人が来ないか見張っててくれたんだって。全然気付かなかったよ。
町を探索していた男組。
どうやら、分かっている領主の持ち家とかを中心に、戦力の把握をしようと、見て回ったんだって。うん、戦力。
一応、大きいのだけで3つ、関連とか入れたら両手ぐらいの数の建物に分かれて、それなりの規模の兵隊や魔導師が訓練をしているようだ、だって。
ちなみに領主。
もともとは、ザドヴァから逃れてきた商人を中心とするグループの、今で言うギルドマスター的な存在だったのだそう。
タクテリア聖王国に庇護を求めてきたんだけど、当時は我が国もまだ不安定だったし、場所が場所だけに自分たちで統治をするようにって、時の王様がその代表者である領主のご先祖様を領主に任命したのがはじまり、だそうです。
てことで、領主としての顔を持ちつつ、商人としての顔も持っていて、この領内でのでっかい商会の会頭でもあるんだって。
一応商業ギルドに加盟してるんだけどね、当時はまだ地区ごとのギルド、的な組織だったけど、今は国際組織になったでしょ?だからっていうわけでもないけど、ギルド特有のルールとか、理想、なんてのもできてきてるんです。
で、一地方で一商人が無駄に幅をきかせるのはよくない、っていう方針の下、年を追うに従って、領主の商会の力はどんどん削ぎ取られ、今はむしろ追いやられちゃった感じ、なんだそうです。
でね、そのこともあって、ママが呼ばれたんだって。
ほら、僕のお披露目?ていうかね、ママが正式にナッタジ商会を受け継いだときに、王様の前で参列していたのは、貴族だけじゃなくて、商業ギルドの有力者。そもそも商会を受ける儀式だったからね。あのとき、なぜか、僕まで王様に抱っこされて、この国の至宝、なんて宣言されちゃって・・・
まぁ、いいや。
そんなこともあったから、ママも僕も王様のお気に入りの将来有望な商人、ってギルドには認識されているんだって。
でね、ここの領は商業ギルドが政治的にも力を持っていること、また商人のメッカ、ていうかな?商人にとってあこがれの地、でもあるんだそうで、だけど、最近の懸念が、ギルドを無視した派手な危ない商いをする領主の持ち商会とその関連商会。それらをなんとか押さえ込みたい、ていうお話しをされたんだって。
それでね、たまたまやってきたナッタジ商会会頭に、ここへの支社出店、いやこっちを本店にして貰っても!なんていう打診があったそうなんです。
まぁ、ナッタジが宵の明星と一心同体なのもバレてるしね、領主が危ない橋を渡っているなら、戦力を確保したい、なんていう打算もあるんだろうね。
そうそう。
打算、といえば、マークのお話し。
商業ギルドとして、あのマークはナッタジ商会の許可なく使っちゃダメです、ていうルールを作ってくれたそうです。なんでもギルドに登録して、商会専用のマークの掲載を認め、マークを保護する、なんていう、いわば商標登録、みたいなルールができたんだって。
他の商会も、でっかいところは次々に登録しているそうです。
で、その第一号の登録はナッタジ商会のそろばん模様、という栄誉が与えられた、んだって。
何がすごいって、その功績でママってばB級に昇格、だそうです。えっと、C級で商会が持てる、でしょ?B級はそれを領だけじゃなくて国を超えて持てる、だったっけ?
今のところ予定はないけど、すごいことになっちゃった。
トレシュク領への出店?
今は、考えていないよ。
てことで、みんなのお話し的にも、領主なにかやっちゃってるぞ、と。で、それはモーリス先生のお話でも補強された、ってことらしく・・・
ところで、捕まった鍛冶師さんってどこにいるの?って聞いたら、なんと、塀の外だって言うんだ。
と言っても、隣接してるみたいなもんなんだけどね。
えっとね、この領都ヨートローってのは、他の領みたいに塀で囲まれてる。でもね、南側はでっかい湖。で、湖の岸に接したところまで塀があるけど、湖のところにはない。
なんかね、別荘地みたいに湖畔に貴族の別邸がポツポツあるんだって。
そのうちの1つ。領主の別邸に捕らえられているようです。ちゃんと、この辺りは先行組がモーリス先生の協力もあって確認できている。
なんかね、地下に倉庫とか牢屋とかあるんだそうで、積み荷も鍛冶師たちも地下、だそう。
「のうアレク。前にカイザーと話していた潜水服、じゃったかのぉ、あれ、できるかのう?」
みんな集まっての作戦中、ドクが聞いたよ。
あのね、カイザーは身体強化、とか火や土の魔法はできるけど、僕ほど魔力に恵まれていないんだ。でね、前世であった技術を自分の魔法だけじゃ無理だけど、僕の魔法とカイザーの技術で代用できないかなぁ、なんていうお話しをよくしてるんだ。ドクも興味津々で、魔法と技術の合体、ていうのは僕ら3人での大きな話題の1つなんだ。
そのうちの1つが潜水艦。
船を作ったから、次は水中と空だよね、っていう、まぁ男の子の浪漫話。
でね、潜水艦のお話しをしていたときに潜水服の話しになってね、あ、なんでかは聞かないで。だって、そんなもんでしょう、普段の無駄話なんて。
結局水圧が御せるなら、体の周りを風の魔法で酸素を取り込みつつ、潜れるかもね、なんて話をしたんだ。
って、ドクの言ってるのはその話のこと?
「風魔法で空気つくって水に潜る、ってやつ?」
「そう、それじゃ。それはできるかのぅ?」
「練習しないとわかんないけど、理屈じゃできる、かな?」
「風魔法だけでできる、と話していたのう?」
「たぶん、ね。本当は重力魔法があればもっと楽かも、って思うけど、風でジェットエンジンみたいにビューンって移動もできるはず。」
「そうか。アーチャとミランダ、3人でその技術を身につけてみんか?」
風魔法、といえば、確かにこの二人だもんね。
「風で水に潜る?またわけわかんないことを。」
うん、ネリアってば、新発想の魔法、嫌いだもんね。
「それって、誰でもできるんですか?その風魔法が使えたら?」
不屈の美蝶のサマンお姉ちゃんが、おそるおそる聞いてきた。
魔法って特殊技術でもあるから、内緒にしてる人も多いんだ。だから、こんなこと聞いてもいいかな?なんて遠慮してるんだね。
でも、ここにいる人は悪いことに使わないだろうし、僕としては別にいいけど・・・そう思って、ドクとゴーダンに目で尋ねると、二人とも大きく頷いてくれた。
「サマンお姉ちゃんとノアお姉ちゃんは風使えたよね?一緒に練習する?」
「え、いいの?」
「ダー君、そんな簡単に魔法なんて教えちゃダメなんだよ。」
「信頼する人にしか教えちゃだめ、なんでしょ?だったら問題ないよね?」
「「ダー君!!」」
うわっビックリした。サマンお姉ちゃんとノアお姉ちゃんが、飛びついてきて、僕はわちゃわちゃだ!
「もう!やめてよ!あのね、理屈はできてるけど、どのぐらいの魔力がいるか分かんないし、できるかは分かんない。それとね、知ってるかもしれないけど、僕の魔法って詠唱がないんだ。だからできるかどうかはやってみないと分かんない。教えられるかも分かんない。それでもいいなら、一緒に練習しよ?」
二人はうんうん頷いてるよ。
本当は公平を期して虐殺の輪舞からもメンバー出れば良かったけど、風魔法使う人いないからなぁ。
「うむ。潜水の魔法ができたら、地下からの侵入が可能になる。こうなるとカイザーを置いてきたのはまずかったかのぉ。儂が行く、しかあるまいか。明日、儂は、パパラギ村へと向かってカイザーにあるものを作らせようと思う。アレク、リュックは借りるぞ。必要なものは全部出しておいておくれ。ゴーダン、それに諸君、いいかのう?」
「つまりは、カイザーに秘密兵器を作らせる、その間情報収集と作戦のための訓練、ということだな?分かった。博士にはラッセイ、とアル、同行たのむ。いいよなバンジー?」
「おう。力仕事が必要なら俺も行くが?」
「んー、そうだな、頼もう。ミミ。ミミはダーたちの監督な。おぼれられたらかなわんからな。」
「ん。」
「後は、おいおい指示するが、もう少しやつらの組織の把握がしたい。とくに領主。噂以外に出てこない。実体が見えないのが不安だ。」
はい、っと全員の元気な声。
こうやって、僕たちのミッションは、まずは鍛冶師の救出、というところから動き出したんだ。
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