第168話 おうちに帰・・・れない・・・
いつものお宿にチェックイン。
で、代官屋敷に向かいます。
代官屋敷ではバフマの両親、代官のセジさんとその補佐で夫のサダムさんが迎えてくれた。ってなんで、メイド服に執事服なのかな。ハハハ。
一応ね、ここの領主予定のドクだったりゴーダンだったりが納まってくれないから、代官のまねごとをしてるけど、あくまで代官代理で自分たちはメイド・執事だっていう主張らしいです。さすがにバフマのママとパパ。頑固だねぇ。
ここの領地ってばほんとややこしい。
一応は、ドクがメインなの?ドクが名目上でゴーダンが実質上?え?逆?お互い押しつけ合ってるけど、よくわかんないや。
エッセル島を明け渡さないための、国王からの指令、ってやつだから、もうセジさんでいいじゃん、なんて、言ってるよ。
ここに来る度、こんな話してるみたいです。永遠の堂々巡り。
「ということで、ここを出ましたら、王都にお願いします。」
?
なんで王都に?
ダンシュタに帰りたいんだけど・・・
「少なくとも、博士とゴーダン様、ダー様、そしてかの国ご出身のかたは一度出頭するようにとのご命令です。」
かの国ってザドヴァだよね。
てことはバッデとバンミ?あれ?バンミはいいのかな?この国出身だし。
「バンミにもいろいろ聞きたいんじゃろ。アレクは、張本人だしのぉ。実際は王がアレクに会いたいだけじゃろが、何事も理屈が必要なんじゃ。」
と、ドク。
ていう感じで、なんか、僕、王都にいかなきゃならないんだってさ。
ああ、おうちに帰りたい。
いろいろ途中で放りっぱなしの案件だってあるんだし、みんなにも会いたいのになぁ。
結局は領都までみんなで南下して、そこから僕はゴーダンとドクとパッデとバンミで王都へ、他はおうちへと帰ることになったよ。
しばらくおうちはまだお預けだね。あーあ。
で、領都トレネーへ。
おや?
これは!
ところどころで見る、みたことのある草で編んだ籠。
ひょっとして!
あのね、僕の案でね、商品を売ったときに、一応有料だけど草で編んだ籠に入れる、っていうサービスを作ったの。あの籠は、村の子供たちと採ってきた丈夫な草で編んだ籠。ちょっとした前世の記憶を引っ張り出して、クロスさせるみたいに編んでいったんだ。使い捨てでもいいけどちょっぴり丈夫なもので、おうちに帰っても使えるよ、みたいな。
発想は前世のお買い物袋。
でね、ここに、カイザーに作って貰った大小のコテでロゴマークの焼き印を付けて販売しようって、言ってたんだ。
まだ実用段階になかったんだけどね。
うちの人達優秀だな。
その、見覚えあるロゴを焼き印した草の籠を持った人がチラホラ領都で目につくんだ。
そういや、領都での出店は成功したのかなぁ?ナン兄ちゃんが確か支店を任されるはずだっけ?
「すごい、すごいですよ、ダー君!」
なんかパッデさんの勢いがすごいです。
領都の商業ギルドで登録してきたんだけどね、ほら一応拠点をこちらに移すとかで。うちに入るにしても、ギルド員として登録した方が将来独立するときとか、あと、相手が上流階級の人とかだと、便利だからね。
で、そこで、あの草の籠について聞いてきたんだって。
どうやら、ダンシュタではアレを持って歩くのが大流行、そしてその流れが、ここ領都までやってきてるんだって。
「おたくの坊ちゃんがまたやったんでしょう。本当にすごいですねぇ。アレクサンダー様がいれば我が領の将来は安泰ですよ。」
受付のお姉さんに、ナッタジ商会の商人として登録してもらっていたら、そんな風に言われてビックリしたんだそうです。
パッデさんもね、なんかロゴマーク付の籠を持っている人が目についていたんだそう。まさか、それが僕発生だったなんて!って、大興奮です。
うん、でも、あれは前世では普通だったからね?
ほら、デパートの袋とか、他にもブランドの袋とかね?
持っている人はステータスになって、持って貰ってる会社は宣伝して貰ってる。あんなウィンウィン関係、できたらいいな、とは思ってたんだけどね。
うちでは、この世界ではあんまりないロゴをつくって、あらゆる商品に押印し、外に見えるこの袋にも焼き印したってわけ。
うちの商品、乳製品とか燻製とか、最近では食器とかがメインだから、焼き印は付けやすいしね。まぁ、なんちゃって商品も出回っちゃってるから、その防止も。
焼き印なんてすごいんだよ。
まずは高級品の場合、開けたら模様が崩れるようにした。
それと、焼き印のコテ自体は天才カイザーの作品。
よくよく見るとね、1つ1つの線の中に文字があるの。小さなナッタジ商会って文字が細かく細かく入れられている。これは偽造防止だね。
こんな細かい字でコテを作れる職人がいたら、偽造になんて手を貸さないって。
で、商品の販売の時は、これをしっかりお客様に浸透させてね、って、みなさんにはお願いしたんだ。
うちは他の商店よりも、質が高いつもり。
だから、どんな製品でも負けないぞ、って売ってる。お値段は抑えてね。
てことで、ダンシュタの製品は質が高い、っていう評価から、ナッタジ商会の製品は質が高い、っていう評価になればなぁ、と打ち出した僕のアイデアだったんだけど、うん、不在の間に形にして、いつの間にか領都まで進出してました。
ちょっと感動だね。
パッデがゲットした情報によると、僕の思惑どおりにナッタジのブランド化は進んでいるようです。
ありがたいことに、ナッタジの草の籠は持っているとおしゃれ、なんだって。
籠自体の単価は安いけど、安い物でも何でも何か商品を購入しなきゃ籠は売らないようにしてるみたい。だから持ってるってことはナッタジの商品の良さが分かる、いけてる人って見られる、のだそうです。
ハハハ。なんか、口で聞くと照れくさいね。
とまぁ、こういう情報を見聞きしたパッデ。
なんか、大興奮。
そんなに説明してもらわなくても、アイデア出したの僕だし、それも突き詰めれば前世の常識だし・・・
うん、すごいのは分かったから、このお話しはもう終わりで良くないかなぁ?
ちょっぴり疲れてしまった僕。
そんな僕を見てバンミ。
「俺、一生ダーについていくわ。」
・・・
なんでさ?
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