第100話 クッデのギルド
僕らはクッデ近くの港から再びこの大陸に上陸。
上陸したところからちょっとだけ内陸でちょっとだけ北にクッデの村はあった。
村の規模は本来はパッデと変わらないんだってて。でもあそこは獣人族の隠れ里だから、他の人種はいないし、文化的にも随分違う。あっちは、言っても、ひいじいさんの入れ知恵があった、日本の昔話的集落だしね。
一方クッデは、木でできた家がポツポツと建ち並ぶ、小さな村です。
一応、最低限のお店とか、レストランや宿屋もある。
なかでも武器や防具といったお店は、商品が充実しているみたいだね。
ちゃんとした鍛冶の工房はないけど、修理ぐらいは出来る鍛冶屋さんもあるし。
この村で、冒険者や騎士といった、外から来ているであろう人を除くと、僕らと同じ人族と、ドワーフ族が多いみたいです。
冒険者はいろいろ入り交じっているけど、トゼよりエルフ率が高い?
あと騎士はエルフと人族が7対3ぐらい。従士っぽいのはほぼほぼ人族?
どうやら、この村は本来の人口の3から5倍にふくれあがってるらしい。ただ、その時間が10年とか20年とか言ってるから、もうこの人口が普通でいいんじゃない?て思っちゃった。エルフ程じゃなくてもドワーフも、僕らよりずっと長生きだから、彼らの「この前」という言葉は、ずっと前のことって思わなきゃ、話がずれちゃいそうです。
ここは、ちょっと前まで、虐殺の輪舞さんが滞在していた町。
依頼の討伐もいっぱいこなしたって。
てことで、道案内は彼らにお任せです。
まずは、たった2件しかない宿の一つへ案内して貰ったよ。
あのね、もう1件のお宿は騎士団が借り受けちゃって、他の人は泊まれなくなっちゃってるんだって。こっちのお宿はその分、人が集まります。
でもね、ここらが冒険者過多だってのは、冒険者はよく分かってる。宿泊場所が足りないのも、全部知ってる。そのおかげで、お宿はそれなりにお高いです。
てことで、僕らみたいに稼いでるパーティはともかく、中堅以下のパーティなんてのは、ほとんどテントで寝泊まりだって。
村の周辺に適当に野営、ってのが、多くのここらで働く冒険者たちの実情。
まぁ、テント暮らしっていっても、そこそこみんな楽しそうです。
別のパーティと意見交換したり、人材交換したり。
冒険者が集まる周囲に屋台なんかの店を出して、購買欲を高めたりしている強者商人さんもいるのだとか。
なんだかんだで、朝方までこの一帯はカオスなようです。
翌朝、といってもちょっとのんびりして、お昼に近い時間、僕らは連れだって、冒険者ギルドに行ったよ。あまり朝が早いと、人が多いからね。
このギルド、一応、小さな酒場は併設してるけど、そこを仕切ってるのは、年配のドワーフ一人。
それどころか、受付は小さな女の子が一人。そして、もう一人いるのは・・・
「ヤーヤン?」
ドクがその人に声をかけた?なんだ?また知り合い?
「幼なじみってやつじゃよ。しかし、ギルドで働いてるのか?最後に会ったときは世界中を見て回る冒険者になる、なんて言っとったがのお。」
「ひょっとして、ワージッポか?」
いかにも、な、精悍なドワーフだ。
「なんだ、博士とギルド長は知り合いだったか。」
とバン。
てことは、あのドワーフさんがここのギルマスなんだ。あれ?ドクと幼なじみってことは、
「ひょっとして、セスの人?」
「ん?これはまたかわいい坊主じゃな。そうともよ。儂とワージッポはセスの2大変人と言われた仲じゃよ。」
「それって、セスの外に出たから?」
「ほぉ、坊主は物知りだのぉ。」
「セスの集落から来たからね。」
キラリ、と、ギルマスの目が光った気がしたよ。
「おい、マーシー、ちょっと席を外す。なんかあったら家に呼びにきてくれ。」
「ん、分かった。」
あんな小さい子にお留守番で大丈夫かな?
僕よりは随分大きいけど、それでも成人はしてないと思うんだ。
「ん、坊主?マーシーが心配か?ああ見えて、強いぞ。それにこのギルドに儂の娘に手を出そうなんて命知らずはいないからのぉ。」
え?娘?
えー、似てない!
人族の女の子かと思ったよ。それも、かなりかわいい感じ?
「あの子は母親に似たからのぉ。」
僕は口に出さなかったけど、表情で言いたいこと、バレちゃったみたい。でもそっかお母さんは人族なのかな?
「まぁ、もう50年以上前に亡くなったがのぉ。」
へ?
50年以上前?
てことは、あの子ああ見えてオーバー50?
「マーシーももうそろそろ100だしのぉ。」
うわぁ、マジですか?
人の年齢、分かんないね・・・
そんな話をしながら僕らはギルドの裏口から出て、すぐ向かい合っている同じような平屋建ての家に案内されたよ。
「さて、セスのことなんじゃが、おまえさんたちは、どういう立場か、まずは教えてもらえるか?」
お茶を自分の手で入れてくれたギルマス。
自分も一口、口に含むと、そう言ったんだ。
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