第12、2話孤児院⑬

「それじゃあこのスペシャルメイドパフェをお願いします」

 一瞬みくは嫌そうな顔をしたが、すぐに接客する顔に戻り、みくは厨房に消えていった。

 お客様は神様って習わなかったのか? もうちょっと俺をおもてなししてくれてもいいんじゃないか。

 

 みくが厨房からこちらに戻ってくる時に、お盆の上には大きな誕生日ケーキにロウソクが数本と花火が刺さっていた。

「それではこちらのお客様にはスペシャルなおまじないをかけますので、みなさんもご唱和下さい」

 ちょっとあの格闘家じゃないよね。

 今は全然メディアに映らないけど。

 部屋の灯りは消されてロウソクと花火に火が点され、写真で撮ったら映える事間違い無しの豪華な誕生日ケーキが完成した。

「ニャンニャンニャンニャンニャンニャン」と言葉と同時に周りにいたお客さんも同じように「ニャンニャンニャンニャン」 と訳の分からない言葉を発し店内は盛り上がった。 

 おい、何でそんな意味の分からない言葉で盛り上がれるんだよ。


 そしてみくはケーキを一口サイズに切り俺の口の中にアーンとされた。

 めちゃくちゃ恥ずかしいのだが。

 何で人前でみくはこんなにも堂々としているんだろう。

 多分仕事だからだと思うが。

 だが俺も思わず大きな口を開いてみくのケーキを一口食べたらこれまたうまい。旨すぎる。

 俺はもう一口みくからもう一回アーンが来ると思っていたが来ることはなく席を離れどこかに消えてしまった。

 一人でそのスペシャルメイドパフェを食べ終えたら、俺は店内を後にした。

 さすがにスペシャルメイドパフェを食べ終えたのに店内にいる事など俺には出来なかった。

 だって何かめちゃくちゃ恥ずかしいんだもん。

さてとみくの秘密を知った俺はある方法を思いついた。



 昨日思い付いた事を実践しようと俺はみく達が通う正門の前にまた二番のりで来ていた。

 一番は当然雀さんだ。

 生徒達が学校の中に入ろうとした瞬間、生徒の鞄の中に瞬間的に『メイド喫茶募集中』と書かれた、ポケットティッシュを一枚忍ばせた。

 まさに忍者みたいに。

 あーそっか今さら自分で気付いたけど俺はストーカーでもなく刑事でもなく忍者だったんだ。

 ちょっと今度手裏剣投げる練習しないとな。

 ちょっと話しが逸れたがこれを見た生徒は少なからずメイド喫茶に興味を持つ事は間違いないだろう。


 俺の考えではこうだ。

 教室に着き、鞄の中を開けたらポケットティッシュを発見して、その上に書かれたメイド喫茶アルバイト募集の紙を見て夕方みくの働いている所に向かうだろう。

 そこでみくと鉢合わせをして、先生に報告する生徒が出て来て、みくは校則違反をくらって自宅待機もしくは退学になるだろう。

 完璧だ。我ながら完璧過ぎる展開に驚くぜ。

 俺はそんな期待を込めて、みくがアルバイトしているメイド喫茶に夕方向かう事にした。


 メイド喫茶の扉付近でうろちょろしていると、とある二人組の生徒が歩いてきた。

 この行動端からみたら間違いなく不審者だけど気になどしてられない。

 みくへの復讐の為に。

 見るからに俺が朝配布したティッシュを手に持ちながら歩いてきてるので、間違いないだろう。

 さぁ扉の中に入れ。

 そしてみくを追い詰めるのだ。

 メイド喫茶には何時間も前から待機していたから、みくが今メイド喫茶に入って働いているのは立証済みだぜ。


 二人組が入ったのと同時に俺も後に続いて行くようにこっそりと入った。

 

 俺の前に入った二人組の生徒はみくメイドさんが向かい入れていた。

 よし、これでお前の短い学校生活は終わりを告げるぜ。

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