第26話高嶺の花⑭

「まぁー考えてもしょうがないですから楽しみましょうか」

 まぁ、そうだな。 

 いつかいく為の予行演習だと思えばいいか。

 絶対無いと思うが。


「それで、どこ行くの?」

「とりあえずワイキキビーチに行きましょう。あ、私の水着に見とれないで下さいよ」

 庄内は腰をクネクネ動かし、自分がスタイルいい事を強調していた。

「多分大丈夫」

 一応、男だし、そこは曖昧な返事しかできない。


 水着はレンタルの物を借り、パラソルの下で座って待っていると、突然視界が暗くなった。

「だーれだ?」

 なんか背中に柔らかい感触が当たるのは気のせいか。

 俺はそういう、エロいキャラじゃないからやめて欲しいのだが。

 と、いいつもやはり男だから、全神経を背中に集中した。

「庄内さん」

「正解」

 この前の電車の時は優しい感じがしたが、今日は大胆というか、積極的な気がする。

 何、最近ジョブチェンジはやってるの。

 振り返ると、そこには見事なプロポーションの庄内がいた。

「どう?」

 どうと聞かれても困るのだが。

「いいんじゃない」

 やはり素直には褒められない。

 ただ何となく恥ずかしいから。


「美咲」

 声の方向を見ると1人の爽やかな、男からみてもイケメンのブーメランパンツをはいた人がこちらに走ってきた。

「誰?」

「私の彼氏」

 あれ彼氏いたんだ。

 別に落ち込んでるわけじゃないんだけど、まぁいて当たります何だけど、それならなぜ気のある素振りをみせた。

 並の男なら勘違いしちゃうぜ。

 俺はしてないけど………嘘です。

 ちょっとぴり期待してました。


「何で俊介がこんな所にいるの?」

「モデルの撮影」 というと俊介は親指を肩の位置まで持っていき、モデル現場を示した。

「美咲この人は?」

 舐める様に俊介は俺の足元から頭の先まで見てきた。

「吉良悟さん。訳あって一緒にハワイいるんだ」

「ふーん。最初見た時、美咲の彼氏だと思っちゃったよ」

「そんなわけないでしょ」

「もし、そうだとしても俺負けねーから」

 そう言って手を差し伸べてきた。

 どうぞどうぞ。

 俺は他人様の彼女とるきはありませんので。

 むしろ嫌われて捨てられるタイプの人間ですので。

 差し伸べた手を握り返すと力を入れられ手が痺れた。


「俊介もう仕事はいいの?」

「大丈夫。今ちょうど終わった所だから。美咲達は何時までいるの?」

「後、5日間位滞在するよ」

「そんじゃあ俺も」

 勝手に2人で決めてるし、完全に透明人間になってるし。


 いろいろ不満はあったが、俊介が泊まっていたホテルを俺達も泊めて貰える事になった。

「聞きたかったんだけど美咲の何?」

 部屋は俺と俊介が一緒で、庄内は別の部屋だ。

「ただの友達だよ」

「ただの友達がこんな所に来るわけないじゃん。俺だってまだ旅行一緒に行った事ないのに」

「まぁ良く分からないけど大丈夫だと思うよ。庄内も彼氏って言ってたから」

 この言葉を聞いて安心したのか、俊介はベットの中に入り眠りに落ちた。

 俺もそろそろ寝ますか。


 全然眠れねー。

 目が完全に覚醒していた。

 やっぱり寝付き慣れてないベットはダメだ。


 あまりにも寝れなかったので、ビーチ沿いを歩いていると、庄内を発見した。


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