第25話高嶺の花⑬
「それで今日はどこに行くのかな?」
「今日はみんなでハワイに行こうと思ってます」
ハワイかー。
ハワイは新婚旅行で行く予定だったけどまぁいつ行けるか……多分行けないから行ってくるか。
「といいたい所何ですけど、今日は沖縄に行こうと思っています」
「了解」
俺達が乗る飛行機に向かうまで距離があるので、一緒に歩くのだが俺は距離をとった。
「吉良さんどうしたんですか?」
心配そうに松本が歩み寄ってくれた。
「ちょっと視線酔いした」
「視線酔いって何ですか?」
「あれだよ。人の目線があまりにも自分に向けられると酔っぱらってしまうあれだよ」
「私なった事ないですよ」
「職業から慣れてるのもあるんじゃないの」
「あーそうかも」
嫌われていての視線と、羨望のまなざしは違うということか。
「ちょっと俺休んで行くから、先に行ってて」
「ちょっとどうしたのりほ」
あまりにも俺と松本が遅いので庄内がこちらにきた。
「美咲私吉良さんとここで休んで行くから先に行ってて」
「私が残るから、りほ先に行ってて」
「でも?」
「今回はりほが主役なんだから」
「2人共ごめん。すぐに復活するから…ウェ」
松本は俺のもとから離れ庄内が看病してくれる事になった。
「ちょっと大丈夫ですか?」
「な…なんとか」
『パイナップル航空110便、那覇行きは、まもなく致しますと搭乗手続きを締め切らさせて頂きます』
「やばい私達の乗る便だ。早く良くなって下さい」
「そう言われても体が全然動かなくて」
体がふわっと一瞬浮いたと思ったら、庄内が俺の肩を抱き寄せて、無理矢理立たせてくれていた。
あのー完全に絶対領域ぶち壊してるんですけど。
しかもなんだ女の子、独特の柔らかい感触は。
「早く行きますよ」
いかんいかん。
そんな事気にしてちゃいかんな。
人目がさらに注目されていたが、そんな事も気にしちゃ…ウェ。
「いやーギリギリセーフだったね?」
あの後何とか間に合い庄内と2人で機内に乗っている状況だ。
「間に合ったんですけど、みんながいないんですよ」
「どっかにいるよ。庄内さんまだ体調が悪いから着いたら起こして」
俺はそのまま眠りに落ちた。
「吉良さん起きて下さい吉良さん」
眠たい目を擦りながら目を開けると、機内には俺達だけになっていて、庄内が頭を抱えていた。
「どうしたの?着いたんだよね」
「一応着きましたよ」
「それならいいじゃん」
俺と庄内は飛行機を降り、空港からでると、英語で 『ようこそハワイ』 と書かれていた。
「別の所ですけど」
「あれこれどういう事?」
「目にした通りです。あの時慌てていたんで乗る飛行機間違えたっほいです」
「それなら今からすぐ戻れば」
「ダメです。新婚さんツアーだったらしくて、大型連休最終日まで飛行機が飛ばないみたいです」
「そ…そんな」
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