第24話高嶺の花⑫

 ただいまの時刻午前6時。

「まぁ当然まだこないわな」 と誰もいない空港でひとり言を呟いた。

 松本とは普段から一緒に生活していた事もありメールアドレスなどは交換していなかった。


 ただいまの時刻午前9時

 ようやく人も増えて来て、空港内の静けさがガラリと変わり騒がしくなった。

 空港内の出入り口はたくさんあり、はたしてここていいのかと不安になったが、一瞬にしてその不安は消えた。

 遠くからでも分かるくらいの神々しいオーラが近付いてきた。


「吉良さんお待たせしてすいません」

 松本がきたらどやしつけてやろうと思ったが、いつも着てる制服ではなく、当たり前だが私服姿の松本は一段と綺麗になっていて、そんな考えはふっとんだ。

「今来た所だが全然大丈夫」

 カップルが待ち合わせの時に使うテンプレートをついつい使ってしまった。

「りほ何でこの人連れてきたの。大型連休はいつも私達だけっていう約束じゃない」

 庄内は2人の時は優しいのだが、周りに人がいると、ついつい毒をはいてしまうのだろう。

「みんないた方が楽しいよ。あ、吉良さん紹介するね」

 みんな横一例に並んで俺の所をみてきた。

 そんな見つめないでよ。

 好きになっちゃう。

 だって男の子だもん。

「美咲とは面識があるから省きますね。美咲の横にいるのが、佐々木栞です。あだ名はシオシオです」

 見た目は綺麗系のスッとした顔立ちで、身長は170以上で俺よりデカイんじゃないかって思えるほどだ。

 おいそんなあだ名でいいのかシオシオ。

「どうも」 と言って軽く会釈をした。


「続いてシオシオの横にいるのが、轟まりさんです。あだ名はトド」 

 これは完全にディスってるでしょ。

 みろ、庄内なんて笑い声を必死で抑えてる。

 見た目は可愛い系で身長は170センチ以下で俺よりは小さいな。

「トドです。よろしくです」

 いいのか。

 本当にトドでいいんだな。


「そしてこちらが吉良悟さんです」

 松本が俺の所を見て手をむけ紹介してくれた。


 好かれ道6日目の事である。

「何事も最初で印象が決まってしまいます。だから最初は笑顔で元気よく挨拶」


「チューっす。おいらが吉良悟っす。よろしくっす」

 大きな声で挨拶したから、これで暗い奴とは思われてないだろう。

 女性達の目線を確認すると、思いっ切り3人から目線を避けられ、轟、佐々木、庄内は後ろを振り向きヒソヒソ話しをしていた。

 松本は親指を立ててグッジョブとやっていた。

 松本本当にこれであっているのか。

 みんなから余計嫌われているというか、引かれてる気がするのは俺だけだろうか。

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