第21話高嶺の花⑨
あの事件から10日後松本と一緒に学校に登校すると、松本を見て生徒達はどよめいていた。
ボサボサの髪に気怠そうに歩いている姿は以前とは比べものにならない位、変わり果てている。
それでも綺麗な顔立ちはなおも神々と輝いいた。
「松本さん」
松本に群がっていた男子生徒の1人が話しかけたが、松本から反応はない。
「僕はどんな姿形に変わろうがあなたを愛しています」
松本は相手の目線を合わせずに、相手の足下を見ただけだった。
松本が嫌われ道に弟子入りして2日後の事だ。
「どうしても口説いてくる男性がいたらどうすればいいですか?」
「俺は口説かれた事がないから分からないが、相手の目を見て話すな。足下をみろ」
これは自分が相手に人見知りだと認知していてもらえるのと同時に、相手は次どうしたらいいか分からなくなるのだ。
その男子生徒は無言のまま松本から去って行った。
教室に入るとまた主に男子生徒が絶句していた。
「松本さんですよね」
「……」
無言。
また松本は無言を発動させた。
「おいおい失礼じゃないか松本さん。クラスメイトが話しかけてくれていれのに」
俺が好かれ道に弟子入りして3日目の事だ。
「どうやったら人に好かれるかな?」
「そうですね。取り合えず困っている人を助けてみたらどうですか」
『困っている人を助けてみたら』 と言われて、今実践したが完全にみんな俺の顔睨んでるよね。
「貴様が原因で松本さんが変わったのか?」
いかにも趣味筋肉ですという体付きの男が俺に質問してきた。
名前……忘れた。
「気のせいだと思いますよ」
嘘でもこう言わないと絶対殴られる。
絶対な。
「気のせいなわけないだろ。見た目が変わりすぎだ」
「まぁ多少そうかも知れませんけど」
「ペアの交代を先生にもう一度申請させてもらう」
「ならよ。お前が松本と一緒に生活して、この女性を救えたか。今だって俺が話しかけたら震える時がある。男性恐怖症になっている可能性だってある。今こうして学校に来させたのもやっとなのに」
「……」
趣味筋肉男は自分の席に戻っていった。
教室の扉が開くと先生が入ってきて、1人1人の生徒をみながらゆっくりと教壇の前に立った。
「今日は来てくれましたか」
誰かになげかけるでもなく、ひとり言の様に呟いた。
多分 「松本さん良く来てくれたね」 といいたかったのだろう。
「明日このクラスだけ特別休暇いただいたから、明日はみんなで動物園行くぞ」
突然過ぎてみんなの顔は口をポカンと開けていた。
「先生何で突然動物園に?」
先ほどといい、この前のストーカー男の問題といい俺はみんなの前で発言をする存在となっていた。
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