第14話高嶺の花②

 高嶺の花と言う言葉を聞いた事があるだろうか。

 遠くで見ているだけで、絶対に自分の手に届かないという意味らしい。

 何か手が届きそうなんですけど。

 何故なら横にはクラス一…いや学年一の美少女が俺と一緒に下校しているのだから。


 こんな最高な出来事が起こったのは先生が「松本さんここに来て間もないから学校の中だけじゃなく外も案内してやれ」

 と言われたのがはじまりである。


「ねぇーあの人誰。めちゃくちゃ綺麗じゃない」 

 松本のあまりにも綺麗な顔立ちと日本人離れした体型に街にいる人はザワついていた。

「横にいる人誰」 「全然釣り合わないんだけど」

 まさしく俺の所を指しているんだろう。

「しかも何あの距離感」

 半径1メートルが俺の絶対領域。

 それ以上は足を踏み入れたら、あんたも嫌われちゃうかも知れないぜ。


「吉良さん」

「……」

「吉良さん」

「あ、はい」

 周りから聞こえてくる声と心の中で葛藤していたら、松本から名前を呼ばていた。

「どこに向かってるんですか?」

 まて。

 今名前を呼ばなかったか。

 しかも俺の名前を。

「今何て言った?」

「どこに向かってるんですか? って言いました」

「その前」

「吉良さんって言いましたけど」

 じーんと心に響いてくる。

 例えるなら炭酸ジュースを初めて飲んだ時の感覚に似ている。

 ただもう一度言わせたのはこんな可愛い人に言われるの何て、人生で一度もないかも知れないからもう一度ちゃんと聞きたかった。

「吉良さん」

「……」

「吉良さん」

「あ、はい」

 どうやら俺は余韻に浸り過ぎていたみたいだ。

「どこに向かってるんですか? って話しですよね。まずはこちらをご覧下さい」

 目の前には高校生ご用達のゲームセンターがあった。

「さ、中に入って入って」

 なかば無理やり松本をゲームセンターの中に入れた。


 店内は外の静けさとは違いアーケードゲームやら音ゲーなとが入り交じってガヤガヤしていた。

「さてとなにから遊ぶか?」

 ただ質問する為に顔を見ただけで、可愛いと思ってしまう。

「私こういう所初めてで」

「あ、そうなんだ。前の学校とかで行かなかったの?」

 気のせいかも知れないが、松本の表情が少し暗くなった気がした。

 やべー地雷践んじまったか。

「今の質問は忘れて。何か欲しいぬいぐるみあったら取ってあげるよ」

 これって完全にカップルの会話だよね。

 松本はクマのぬいぐるみを指差した。

「よっしゃ!」

 と気合いを入れて100円玉を入れクレーンを動かした。

 クマのぬいぐるみが置かれいるちょうど真上にクレーンを落としたが、アームの力が弱いのか全然クマのぬいぐるみを持ち上げなかった。

 これ完全にやらせだよ。

 この店高校生のお小遣いふんだくるきだよ。

 もう1度100円玉を入れリベンジしたがやはりクマのぬいぐるみは動かなかった。


 結局何回やったか分からない位やって何とかクマのぬいぐるみを手に入れた。

「ありがとうございます」

「いえいえ」

 取れたの奇跡だよ。

 ぬいぐるみ取る時何かわっかみたいな所掴んで取る方法があるだろ。

 あれが奇跡的に成功したんだよ。

 松本は本当に嬉しそうにクマのぬいぐるみを抱いていた。

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