191話_恋焦がれ心情日和2
こうして、シオリとのデートに着て行く服も決まり、ソフィアは恥ずかしそうにしながらもシオリの待つリビングに降りていった。
チャミュは不思議そうにミュウに尋ねる。
「それにしても、ミュウから私に相談の連絡とは珍しいな」
「姉様のためだからね、仕方なくよ」
あくまで気を許すつもりはない、というミュウの意思表示だ。とは言っても、前より態度は軟化しているようではある。
「ソフィアも様子がおかしかったな。あまり衣服には頓着しない方だと思っていたが」
「姉様は恋をしているのよ」
「恋!!?」
チャミュは思わず聞き慣れないフレーズに、目をまん丸くしてしまう。
「そう。そうとしか思えないわ。今まであんな風に悩んだことなかったもの」
「しかし、ソフィアは前からシオリのことを好きだったんじゃないのか?」
「それは変わらないわ。むしろ、姉様の中でもっとシオリのことが気になるようになったんだと思うの。好きな人にこう思われたらどうしよう、なんて今までの姉様は考えたことがなかった。今はシオリがどう思うのか気になって仕方ないんだわ」
ミュウの言葉を聞いて、考える態勢をとる。
「なるほど……。まさかソフィアがそんな風になるとは」
「私もびっくりしたわよ。でも、あれは本物ね」
「じゃあ、この後のデートがどうなるのかは」
「尾行しないわけには、いかないわよね」
2人の見解は一致したらしい。
◆◆◆◆◆
「シオリ、お待たせしました」
ソフィアの支度を待っていたシオリは、久しぶりに家に戻ってきていたフーマルと相変わらずくだらない小競り合いをしていた。
「あ、あぁ」
大丈夫だよ、と言おうとしてソフィアを見たシオリの目の前には、普段見たことのない白いワンピースを着た天使が立っていた。
正確には、シオリがそう見えただけで、恥ずかしそうに脚を隠すソフィアが立っていたのだが。
「ソフィア、その格好」
ソフィアが生足を見せるのはあまりないことだったので、つい口に出てしまう。
「えっ、あっ、その、シオリとのデートなので、たまには…いいかなって」
ボッとソフィアの顔に灯がともる。
恥ずかしそうなソフィアの顔を見て、シオリの顔も赤くなる。ソフィアが服装を意識したことは、記憶の中ではあまりなかったからだ。
「そ、そうか。似合ってるよ」
ボッ。
ソフィアの顔が更に赤くなる。
「新婚のカップルのようだな」
「青女がいなくて良かったわよ、いたら面倒くさいことになってたわ」
幸いなことに、レティは学校の授業で家を空けていたのだった。この光景を見ていたら、邪魔していたに違いない。
「ソフィアがいつもと雰囲気違うようだが」
ソフィアの変化に気が付いたシェイドが隠れて観察していたチャミュに尋ねる。
「かくかくしかじかで───」
「なるほどなるほど。そんなことがあったとは」
「で、私達はこれから姉様達を尾行するの」
面白いことを考える、とシェイドは頷いた。
「私も同行しよう」
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