189話_シェイドの普通な一日
天寿宅に住まう守護天使シェイド。
シェイドの一日は朝早くから始まる。
今日はそんな守護天使の1日を追ってみたいと思う。
・AM 4:00
ベッドで眠らないシェイドは、リビングのソファに腰掛けている。
別に寝ること自体しないでよいのだが、周りに合わせてそういうことにしている。
周りは静寂に包まれ、誰も起きる様子はない。
上の階ではシオリ、ソフィアがそれぞれの部屋で寝ている。リビングで寝ているはずのレティの姿が見えないので、おそらくシオリの部屋に潜り込んでいるのであろう。
音を立てないように上へ上がると、シオリの部屋へと入る。案の定、苦しそうに呻くシオリとその隣でべったりくっついているレティが眠っていた。
レティを片手でひょいとつまむと、下の階へと戻り、元の布団へとレティを放り投げる。
・AM 5:00
日課の庭掃除を始める。日が徐々に明けはじめる中、昔ながらの箒で小石やごみをまとめていく。
早起きをしているご近所のお爺さんに軽く挨拶をしながら掃除をすませる。この町の人達は皆穏やかだ。深く干渉することもないが、人の嫌がることはしない。気持ちの良い人たちだと思う。
掃除を終え、家へと入る。リビングで寝ているはずのレティの姿がまた見えなくなっているので、再びシオリの部屋へと入る。
苦しそうに悶えるシオリの両側にはレティとソフィアがいる。ソフィアは、ここ最近でシオリの部屋に潜り込むようになった。前は一切そんなことはなかったのだが。
心境の変化もあるのだな、と思いながら、ソフィアに掛け布団をかけ、レティだけをつまんでシオリの部屋を後にする。
・AM 7:00
上の階からシオリとソフィアの驚く声が聞こえる。
おそらく、どちらも目を覚ましたのだろう。
これが最近の朝の合図になっている。
いつも通り、朝食の準備を始める。ベーコン目玉焼きにトースト、シオリはコーヒーで、ソフィアは紅茶。今日の当番はシェイドなので、簡素な朝ご飯になる。
レティが当番の時は、豪華な和食になるので、最近では家計の財布と突き合わせて必要不要の判断をしている。
縛って動けなくしていたレティの紐を解いてやる。
・AM 10:00
シオリ、ソフィア達を見送り、シェイド自身はやることがなくなる時間帯。
この時間帯は、大体はドロドロした昼ドラや、買ってあった雑誌に目を通す。海外ではゾンビモノのテレビ番組が流行っているようだが、この世界で起きたらどうなってしまうのだろうか。シェイドはゾンビに対して何も感情は抱かないので、ただ淡々と眺めているだけだったりする。
昼ドラは、シオリに試してみたら面白そうなシチュエーションを記憶しては、ストックをしている。今日も興味深いケースを発見したので、今度試してみようとメモリーに記録する。
「私、出来ちゃったの───と。」
・PM 13:00
昼の時間帯、今日はエデモアのところに行く予定があった。たまにボディのメンテナンスで彼女の骨董屋を訪れることがある。
骨董屋を訪れると、今シェイドが使っているボディの年齢を更に幼くしたボディが眠っていた。顔立ちは今のシェイドそっくり、胸とお尻が少し控えめになっている。年は14歳くらいだろうか。
どうやら別のボディを試しているらしい。上手く動くか試してほしい、とのことで、早速その小さな体に移ってみることにする。
悪くない。体は軽く、同じ場所でも違った風に見えるのは新鮮だった。
しばらく、様子を見るために外に出て歩いてみることにする。
PM 14:00
体を入れ替えた後、慣らし運転も兼ねて外を適当に歩いてみる。いつもより低く見える周りの景色は、まるで違う世界に迷い込んだかのようだ。
天気も良く、せっかくなのでシオリ達の様子を見に行ってみる。
校庭では、丁度シオリ達のクラスが体育の授業をやっているようだった。
「(あれは…シオリか)」
男子はサッカーの授業らしい。シオリは敵のボールを奪おうと、ボールを追い続けている。
修行でタフになったのだろう、試合後半になってもバテることなく動き続けているのはシオリくらいなもので、他の男子は皆足が止まっている。
その隙をついて、ボールを奪ったシオリはそのままドリブルでゴール付近まで持って行き、得点を決めた。
楽しそうにクラスメートと喜ぶシオリの顔を見て、シェイドは嬉しくなった。
横のコートでは、女子が休憩中で男子のサッカーを見ていた。体育座りをしているソフィアの視線はシオリに釘付けになっているのを、シェイドは見逃さなかった。
PM 16:00
シオリ達の授業も見終え、エデモアの骨董屋へと戻る。
特に不調はなかったことを伝えにきたのだが、元のボディにどうやら修繕箇所があるらしく、その修理をしてもらうために、しばらくこの小さい方の体で過ごすことになった。
そろそろシオリ達が帰ってくる頃なので、家へと帰ることにする。おそらく、このことで一波乱起きそうな気もするが、まぁそれも良いだろう。
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