第6話 侵入者
三〇分後。会議室
「・・・ソヴァル。君はどうやってガイアスの変装を見破った」
クマラは口を開いた。
「まずたくさんのノイズが入ってきて映像が入ってきた。ガイアスの場合は破壊工作をやっていてインテリジェンサーの誰かからの指示で偵察兵を送ったというイメージが入ってきた。そして雪風のソナーとセンサーがあのアラブ人と不定形な紫色の人型のアメーバとして感知した」
上目使いで思い出しながら言うソヴァル。
「あれはいったいなんですか?」
ミラーがたずねた。
「侵入者と呼ばれる者たちで時空侵略者だ。異世界に本拠地を持っているがそこでも対策チームがいるから計画が失敗して一番やりやすい世界にやってきた」
クマラは推察する。
「一番やりやすいって地球はいろいろ問題を抱えているからやりやすいでしょうね」
あきれる京極。
「あの人型アメーバみたいな姿は?」
タリクがわりこむ。
「侵入者の本当の姿で彼らは六次元の高次元生命体だ」
デグラが答える。
「気配すらわからなかったです」
セシルが口をはさむ。
「六次元以上の高次元生命体になると気配すら消して実体化する。中継点や結び目を巧みに使って出没する」
ルミナスが難しい顔をする。
「それをこの子は見破った」
クマラはチラッと見る。
「六隻の戦闘艦に侵入者を見破るようなソナーやレーダー、センサーまでは装備していない」
ルミナスがうーんとうなる。
「僕のクリスタルとグレースのクリスタルの影響でそのセンサーやソナー類が進化したとみている」
黙っていたロドリコが口を開く。
「そして私たちよりもその能力は高い。最初のモンゴルの襲撃で偵察兵を見破り、南シナ海で海賊とモンスターの接近を察知して謎の施設のコアリアクターを見つけて破壊した。ハノイステーション沖で「雪風」と融合してレギオンの下っ端を撃沈。今回の基地では侵入者を見破った。すごい優秀よ。プレアデスのコブラアイや軍に推薦して雇いたい位よ」
グレースは世界地図を出して場所を指さしながら説明した。
「銀河連邦でも優秀な人材を求めている。そんな金属生命体はいないからね」
クマラが口をはさむ。
「もしかしてスカウトしたいとか?」
アンナが割り込む。
「プレアデスも一発で時空侵入者を見破る人材はほしいわね」
しゃらっと言うグレース。
「それは時空管理局としても同じ事が言えるわね」
ルミナスがうなづく。
「銀河連邦も他の団体も同じ事を言うわね」
黙っていたマリアが口を開く。
「僕はガイアスや偵察兵を見つけただけだし、エネルギーの流れを感じてコアリアクターを壊しただけ」
困惑するソヴァル。
「エネルギーが漏れている事やエネルギーの流れはどこで覚えた?」
クマラが核心にせまる。
「僕には生身の部分はなくて金属と機械で出来ているし人間の五感と呼べるのはセンサーやソナー、赤外線、レーダー、視覚装置や聴覚装置、味覚センサーといった物だけ。入隊訓練を受けてエネルギーの流れがなんとなく見えるようになった」
ソヴァルは説明した。
「それはね君には人間や異星人にあるような痛感神経や五感はないからだよ。全部、センサー類が認識している」
シドは重い口を開く。
「僕には生身の部分はないし全部、センサーやレーダー、赤外線とソナーだし、視覚装置にヘッドアップディスプレイのように情報が入ってきて表示される。耳は聴覚装置だし臭いも味も味覚センサーだし、心臓はコアと雪風の動力炉とつながっている。僕の本体にも戦闘機の能力がくっついている。その戦闘機の動力も雪風と共用している。僕は船と一緒だよ」
うつむくソヴァル。
自分は人間でもない。機械と金属だけでできているし宇宙船でもある。
「ガイアスが言っていたけど雪風と切り離すのは可能なの?」
セシルが核心にせまる。
「簡単じゃないよ。ある意味、雪風と戦闘機の動力は彼の動力である心臓と共有している。切り離すには別の宇宙船が必要だね。シエナの種族・・・宇宙ジプシーと同じだ」
クマラはテーブルの端末から映像を出して雪風と潜水できる戦闘機とソヴァルのコアの関係を指でさしながら説明した。
「それってヤドカリ生活になったと言っているようなものね」
腕を組む京極。
「なんで時空侵略者が宇宙ジプシーを狙うのかわかる気がするわ」
アンナはため息をついた。
黙ってしまうシエナ。
「雪風と戦闘機を切り離せば死ぬと?」
ミラーは声を低めた。
「僕たちと同じようになったから宇宙船を切り離せば元の姿に戻るけど今までの能力は失われる」
申し訳なさそうな顔のシエナ。
「両親にどう説明したらいいのかまったくわからないよ」
肩をすくめるミラー。
「私も政府に説明しなければいけないけどどう説明すれば思いつかない」
頭を抱えるタリク。
「それは銀河連邦も同じだね。彼は雪風と融合した。それは銀河連邦軍の戦闘艦とも融合が可能なの事を意味する」
クマラは難しい顔をする。
「でも彼が十五歳なのを忘れてない?」
それを言ったのは如月である。
「え?」
「十五歳の時は学校に通学して高校行く連中は高校へ、ハンターになりたい奴や、モンスターと戦うって決めた奴はコブラアイやハンター協会に入隊した。僕の場合は韋駄天走りだけだったから中学を卒業したらそのまま入隊したけどね」
如月は思い出しながら説明する。
「それは私も同じよ」
京極とアンナがうなづく。
「僕は科学者になりたくて大学院まで行って博士号を取ってNASAに入った。勉強漬けの青春時代だった」
ロドリコはうーんとうなる。
「僕の場合はガキ大将と同じような物だったからね」
ヨセフがわりこむ。
「僕は機械いじりばっかりだった」
「私も進路はいろいろ悩んだわね」
マグーやカイルもうなづく。
「私も青春時代はそんな感じだったわ」
納得するルミナス、
うなづくデグラ。
「一回地球に戻ろう。我々が対処しなければいけないのはインテリジェンサーやミュータントやモンスター、輝きの海をなんとかしないといけない問題を抱えている。宇宙の事はそちらで話し合いして決めてください」
結論を言うとミラー。
困った顔のマリア、クマラ、ルミナス。
「僕は雪風に変身して帰ったらダメ?」
ひらめくソヴァル。
「構わないが問題は起こすな」
釘をさすミラー。
「了解」
ソヴァルはシエナの腕をつかむ。
「え?」
戸惑うシエナ。
「君も戦艦と融合しているんでしょ」
ソヴァルはきょとんとした顔で言う。
「そうだけど・・・」
「ほら行くよ」
ソヴァルはシエナの腕を引っ張りながら退室していく。
「じゃあこれで。ヨセフさん帰りのタクシーを頼みたい」
タリクは肩をたたいた。
「わかった」
ヨセフが席を立つ。
「いろいろ問題はあるけど一つ一つ片づけるしかないわね」
グレースはうなづく。
退室していくミラーたちを腕を組み難しい顔で見送るクマラ、マリア。
深いため息をつく二人。
「問題が増えたな」
ふいに声がしてテレポートしてくる一〇人の男女。
「マート評議長。あの子はクリスタルに選ばれている」
クマラは真顔になる。
「それは同意見だ」
マート評議長と呼ばれた八の字ヒゲを生やした初老の男性はうなづく。
「アルダー評議員、ヴァイワムス評議員。時空ポータルから目を離すな」
マート評議長が語気を強める。
アルダーと呼ばれた金髪碧眼の若い男性はうなづく。
「目を離してはいけないのは「侵入者」やインテリジェンサーだけでなくドライデン、ディープビジョンといった連中もだし、「雪風」を外してもいけないと思う」
ヴァイワムスと呼ばれた白髪まじりのあごひげを生やした男性の眼光が鋭く光る。
「戦闘艦と融合したのは十五歳の少年よ。能力が鋭すぎるし、まだ幼い」
黙っていたマリアが口を開く。
「あの子に発信機を取りつけないといけないだろうね」
難しい顔をするクマラ。
「わかった。様子を見よう」
マート評議長はうなづいた。
発着デッキから離岸する輸送船。
船尾のエアロックから宇宙に飛び出すソヴァルとシエナ。
緑色の蛍光に包まれ二人の姿が崩れ、拡大して融合している戦闘艦に変身した。
雪風の隣りに赤色の紡錘形の戦闘艦がいた。
二隻とも艦橋の窓に二つの光が灯る。
「シエナ。君が融合している戦闘艦の艦名とかあるの?」
雪風ことソヴァルが聞いた
「僕が融合したのはアルファケンタウリの惑星アヴァロンの軍艦だ。あの領域の軍艦は船足が早く、攻撃力が高い重武装の戦艦や駆逐艦が多いから拝借した。ラトルスネイク級二五番艦で艦名は「ロゴス」号だ」
シエナこと「ロゴス」号は艦内図を送信して説明する。
「同じ仲間ができてうれしい」
ソヴァルが声を弾ませる。
「僕もうれしい。船に変身している時は船名や艦名で呼ばれる。マシンミュータントもだけどジプシーも船に変身している時はほとんど船名か艦名だよ」
「そうなんだ・・・」
言い淀むソヴァル。
「そんな深く考えなくても慣れるよ」
ロゴス号ことシエナが言う。
黙ったままの雪風ことソヴァル。
エンジンに精神を振り向けた。二基のエンジンが始動した。車やバイクのように簡単に始動した。
ふと電子脳に映像に円柱系の物体が入ってくる。それがガイアスとその物体が結びつくという映像になった。
艦首を九時の方向に向けて近づく雪風。
「どこに行くの?」
シエナことロゴスはあわててついていく。
「どうした?」
ロゴスの艦内通信にミラーの声が入る。
「何かを見つけたみたいです」
困った声のロゴス。
「何かって何を?」
ルミナスが割り込んだ。
「僕にもわからない」
船体から二対の鎖を出すロゴス。
「カイル。追って」
グレースの声がわりこむ。
輸送船が向きを変えた。
量子魚雷に精神を振り向けるソヴァル。量子魚雷が一発発射され手前で爆発した。
陽炎が揺らぎぬうっと円柱形の物体が出てくる。大きさは五〇メートルでアンテナやらなんかの部品がいくつもついている。
船体から鎖を出し先端を鉤爪に変えてそれをつかむ雪風。
「これは何?」
まじまじ見つめる雪風。
「それは中継装置だ。銀河連邦のでもどの組織の物ではない。これがあれば「時空ポータル」が作動してたくさんの艦船をワープさせる事ができる物だ」
デグラがあっと声を上げる。
「雪風・・・ソヴァル。アノマリー基地に来て。それをデッキに置きに行くの」
グレースが基地の図面を送信する。
「了解」
ソヴァルは答えた。彼は発着デッキに近づいた。デッキから回収船が離陸して接近。中継装置を光線を出して引き寄せて別の場所へ飛んでいく。
「あの引き寄せる光は何?」
雪風が聞いた。
「トラクタービームだよ。まだ六隻には装備されていない」
ロゴスが答える。
輸送船のエアロックから飛び出すグレースとロドリコ。二人とも宇宙服を着用していない。グレースはオレンジ色に輝き、ロドリコは緑色に輝き包まれている。
地球に飛び去って行く輸送船。
「雪風、ロゴス。地球と月の周囲にさっきの中継装置や怪しい物があったら回収よ。終わったら地球に戻っておかしな物がないか調査よ」
グレースがくだんの装置の図面を送信する。
「雪風。君はお手柄だよ。敵側の装置を見つけたんだ」
ロドリコが笑みを浮かべる。
「そうなの。僕はノイズや映像が入ってきて見つけただけ」
雪風ことソヴァルは戸惑う。
「僕にもぜんぜんわからなかった」
ロゴスが口をはさむ。
ソヴァルは精神をエンジンに振り向ける。アノマリー基地を離れ、月の周回軌道に乗る。
アノマリー基地から少し離れた場所にドーム型の基地があるのが見えた。少し離れているといっても約五〇キロである。
「あれはディープワンの居住区でしょ」
錨で指さすソヴァル。
「そうだよ。一時的な居住区」
ロドリコがうなづく。
「火星人や金星人もいるの?」
ソヴァルは話題を変えた。
「いるわよ。地下に都市や基地を造って住んでいる。地球やアノマリー基地にも派遣されている」
グレースはタブレット端末を出すと概要を送信した。
「マーズアタックという映画見たけどあれには気持ち悪い火星人が出てきたけど普通に人間と変わらない。金星人も普通に変わらないけど細面で尖り耳だし、火星人に両方のはほっぺたに斜めの突起が一列に並んでいる」
声を弾ませるソヴァル。
「雪風。任務が終わったら紹介してあげる」
グレースはうなづく。
「了解」
ソヴァルは答えると長距離スキャンやソナーに精神を振り向ける。すると電子脳に機雷の映像が入ってくる。
火星に艦首を向ける雪風。
「月と地球の周囲の探索・・」
ロゴスがあっと声を上げる。
グレースが口に指をあてて前に出る。
黙ってしまうロゴス。
しばらくして立ち止まると雪風は量子魚雷を五発発射。数百メートルの所で爆発した。
陽炎が揺らいでカーテンを開けるように何かがいくつも出現した。イガイガ状の形といい機雷にしか見えない。
「これは?」
雪風が聞いた。
「銀河連邦でも火星でもどの組織が敷設した物ではないわ。銀河連邦とアノマリー基地に報告して回収してもらわないといけない。私はここに残るからロゴスとロドリコと他の怪しい物を探して」
グレースはタブレット端末を操作しながら指示する。
「了解」
雪風は艦首を月に向けて彼女から離れた。
「・・・ロゴス。時空ポータル装置ってなんなの?」
黙っていた雪風が聞いた。
「だいたいの勢力が使用しているタイムジャンプ装置だよ。ディープワンもそれに似たジャンプ装置を造って地球に来ている。それがあれば多少のタイムラグは発生しても一瞬でどんなに離れていてもワープできる。いつか地球もできるようになると思う」
ロゴスが説明する。
「なるほど。スターウオーズやスタートレックのようなワープ装置の一種なんだ」
声を弾ませる雪風。
「僕の場合は魔術だけどSF映画も好きなんだ。それがきっかけでNASAに入ったんだけどね」
どこか遠い目をするロドリコ。
「映画やドラマは一五〇年前の物ばかりだよ。モンスターやミュータントの出没でみんなそれどころじゃないのが本音。でもいつか退治できたら映画やドラマだって制作できると思う」
雪風ことソヴァルは地球に艦首を向ける。
父親と母親の背中を見てきた自分としてはミュータントやグール、モンスターを一刻でも退治して楽せてやりたいと思っている。でも苦労しているのはロシアだけでなく日本も世界中の都市同盟がモンスターやロードランナー、海賊、盗賊、ミュータントに手を焼いている。
「あせってはいけない。「少年よ。大志を抱け」とどこかの偉人が言っていた。君はまだスタート地点にいる。これからだ」
ロドリコは真剣な顔になる。
「了解。地球の衛星軌道を回ったらマニラ基地に帰ろう」
ソヴァルは言った。
五時間後。マニラ基地
飛翔音と轟音が響かせてマニラ沖一〇キロの沖合に滑り込むように着水する雪風。
続いてロゴスが着水して雪風と一緒に基地に接近した。
桟橋に着地するロドリコ。
接岸する二隻。緑色の蛍光に包まれ縮小して元の姿に戻った。
「門限に間に合った」
官舎の裏口にある時計を見て破顔するソヴァル。
すでに一七時を回り夕日が水平線の向こうから顔をのぞかせている。
「門限があったんだ」
驚くロゴスとロドリコ。
うなづくとソヴァルは早足で官舎の裏口から二階のミーティングルームに入った。
部屋にミラーたちの他に草薙司令官がいた。
「ただいま戻りました」
報告するソヴァル、シエナ、ロドリコ。
「ソヴァル」
ミラーが顔を上げた。
「はい」
ドキッとするソヴァル。
「よくやった。あのクマラとかいう議員が褒めていた」
ミラーは笑みを浮かべる。
「え?」
「銀河連邦本部からもお礼を言われたわね。誰が敷設したかわからない宇宙機雷を発見したし、中継装置を見つけた。まさかそんなものを敷設してあったなんて誰も気が付かなかったし考えなかったからね」
グレースは肩をたたく。
「敷設したのはガイアスだろう。彼がインテリジェンサーや他の勢力をそそのかして機雷や中継装置を敷設したと思っている」
デグラが推察する。
「ガイアスの種族はみんなあんな感じなのですか?」
セシルがたずねた。
「あんな感じよ。太古の昔は次元の門を超えて高次元生命体に進化したけど狂暴な性格は変わらない。元いた世界でも同じような事をやってその世界の対策チームに追われているの」
ルミナスが答える。
「連中は人喰い種族とも手を組んでいて子供の拉致やそこにいた住民を奴隷として売り飛ばす手伝いもしている」
ヨセフがわりこむ。
「人喰い種族?」
聞き返すソヴァル。
「一五〇年前。地球の総人口が九〇億にたっしていたが子供や女性、住民が行方不明になることが相次いでいた。その原因は政府と警察が黙殺してインテリジェンサーやディープビジョンが暗躍。その裏にはレプテリアンとドラゴという種族が関わっていたらしい」
複雑な顔をする草薙。
テーブルの端末から映像を出した。
緑色の皮膚にトカゲ顔の異星人の写真と薄茶色の皮膚に彫りの深い顔にどことなく恐竜を思わせる異星人の写真が出てくる。
「彼らに言わせるとドラゴとレプテリアンとインテリジェンサーやディープビジョン、ドライデンという海賊と銀河連邦と他の六団体は対立しているらしい」
ミラーが腕を組んだ。
「ガイアスの種族とレギオンとも対立している。レギオンはマシンミュータントも宇宙ジプシーも好物で人間や異星人も食べる狂暴な連中だ。でも元々は僕たちジプシーとレギオンは太古の昔一つだった」
シエナは重い口を開いた。
「あんなトンボとタガメが?」
驚く如月とアンナ。
「僕たちはクロノスという時空侵略者にそそのかされて太古の昔に対立して大きな戦争になって別れた。それだけならまだしも自分たちが住んでいた惑星までそいつらに取られて僕たちの先祖は放浪生活になった。だから自分の住んでいた惑星を取り戻すための戦いをしている。僕たちから見れば地球やディープワンはまだマシな方だ」
シエナはうつむいた。
「確かにそうかもしれない」
セシルは視線をそらす。
「苦労しているのね」
京極が口を開く。
「でも取られた惑星を探し出すのは地獄だと思うがね」
それを言ったのはタリクである。
「・・・同じことを銀河連邦や他の団体にも言われた。惑星ごと取られるという事はそいつら好みにテラフォーミングされて改造される事を意味する」
ため息をつくシエナ
「でも彼らの使う時空ポータルから漏れるノイズをたどれば時空侵略者にたどりつくんじゃないかな」
それを言ったのはソヴァルである。
「え?」
「ガイアスの種族・・・侵入者もクロノスという時空侵略者も高次元生命体だ。でもいくら進化して次元の門を超えて肉体を捨てても無から物質は造り出せない。他の異星人をそそのかしてだまして目的の装置を造ってもらうなら痕跡が残る。ガイアスをまた捕まえるかクロノスを捕まえるかによるけど座標とか何か探せると思っただけ」
ソヴァルは部屋内を歩き回りながら考えをまとめる。
「それはいい案だ」
ポンと手をたたく草薙。
「ものすごい遠回りで気が遠くなるような作業ね」
難しい顔をするルミナスとデグラ。
「遠回りだけどインテリジェンサーやディープビジョンにはたどり着けるかも」
セシルがポンと手をたたく。
「運がよければたどれるかもしれないと思った」
言い淀むソヴァル。
「ソヴァル。それはいい案だ。でもなんで僕たちのために?」
シエナが聞いた。
「君は僕の恩人だからね。僕は五歳の時に地雷を踏んで手足が吹き飛んだ。その僕に死んだジプシーの手足をもらってチームにくわわっている。でもまさか宇宙戦艦と融合するなんて思わなかったけどね」
ソヴァルはフッと笑う。
困惑するシエナ。
「機械と金属でできた自分が宇宙戦艦と融合してその能力活かして変な装置や機雷を見つけるなんて思ってなかった。明日は太平洋やインド洋の海底を調査してみませんか?」
ソヴァルは提案する。
「よし手伝おう」
カイル、マグーが手を上げる。
「そうしよう」
ヨセフがうなづく。
「行ってもいいが「輝きの海」へは行かないように」
釘をさすミラー。
「なんでですか?」
ソヴァルが聞いた。
「除染装置を銀河連邦から借りないといけないからよ」
草薙がわりこむ。
「そういえばそうだった」
納得するソヴァル。
「調査に協力します」
セシルが名乗り出る。
「警備艇を借りてこないといけないな」
ミラーは少し考えてから言った。
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