第6話

 愛している??どういうこと??

 頭に疑問符を浮かべる私に、血皇帝はさらに驚愕の事実を伝えた。


「俺とロザリー嬢は既に何度か会ったことがあるではないか。」


 ん????

 会ったことがある??


「わたくし殿下と会ったという記憶はございませんが…。」

「忘れているのか。なら無理もないな。どっちにせよ皆が思っていたことを俺は代弁しただけだ。これで何も問題はないだろう?」


 大有りです!!!!問題しかない!

 誰が好き好んで血皇帝と婚約したがります?彼は冷酷無慈悲残虐非道なのですよ!?

 怒りを買って処刑される確率が格段に上がるわけだよ?

 あーぞっとする。


「はい、問題は何もございません、皇帝閣下。」


 へこへこする国王陛下。なっさけない。


「そうと決まれば一ヶ月後にロザリー嬢にはアルフレッドに来てもらおう。」

「いっ一ヶ月後!?ッッ失礼。」


 血皇帝の眼が恐ろしい事この上ない。


「ではその方向で話を進めましょう。皇太子殿下はソフィーナ嬢と新たに婚約を結ぶということで。」

「かしこまりました。」


 何も良くないんですけどね?

 私とコレットとソフィーナを置いて国王陛下と皇帝殿下はどんどん話を進めていく。


 ちょっと酷すぎでしょ!信じらんない。なんて私の気持ちをよそに、一ヶ月後に私がアルフレッド帝国に向かい、そして二ヶ月の婚約期間を経て結婚するという事まで決められた。



 やってられないと思った私はそそくさと自室へと戻ったのだった。

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