第5話
「…よって、ロザリンド・エレナ・コーデリアは皇太子フランク・エルドリーとの婚約を破棄し、ハリー・アルフレッド皇帝閣下と新たに婚約を結ぶ事とする。」
ダンスホールがざわつく。
私は俯いてこの国王陛下の宣告を聞いていた。
いくらなんでも血皇帝と?可哀想。という声。本人がすぐ近くにいるのに恐れ多い人達…。皇帝も慣れてるのかな?なんてことない顔してる。
ロザリーはこの時、人混みに紛れてほくそ笑みを浮かべている人物に全く気付いていなかった。
ダンスホールに戻っても扉の"ドンドンドンッ"という音は止んでいなかった。一体誰がずっと叩いているのだろう。
その時だった。バンッと音がして扉が開いた。
『国王陛下!!!』
現れたのは私のメイド、コレットと、なんとなんとなんと!ソフィーナだったのだ。
「国王陛下!ロザリンド様はそのようなことは一切私にしておりません!」
「私からも申し上げます!ロザリンド様はその罪状の時全ての間、絵を描かれていらっしゃいました!!」
またざわつくダンスホール。
どういうこと?となるのもこれは不可避だろう。
「しかしだな、もう宣言してしまったのだよ。」
宣言してしまったって何よ!取り消せばいいじゃない。
人々のざわつきは収まらない。
「黙れ。」
そう言ったのは血皇帝。一瞬でシーンとしてしまう辺り恐ろしさが重々わかる。
「いいか。グランファーレ嬢と皇太子は愛し合っている。ならそこで結婚すればいい。俺は余ったロザリンド嬢を頂く。何か問題があるのか?」
「余ったって!ちょっと酷すぎやしません!?…ゴホンッ失礼。」
つい本音が。
「ハリー皇帝殿下は!ロザリンド様を愛していらっしゃるのですか!?一生守り抜くと誓いますか!?」
そう叫んだのはメイドのコレット。心から優しくていつも私の事を想ってくれる、そして超が付く程の天然だ。
「勿論だ。私は彼女を愛している。」
勿論?????愛している?????
私の頭の中ははてなマークのお花畑になった。
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