第4話

 立ちすくみ唖然とする私の前に「氷冷の血皇帝」は立ちはだかった。


「…は、はい」

「ロザリー嬢は見返りを求めているのだろう、これから結婚する身として何か要求があるのなら答えよう。」

「結婚するのは避けられないのでs…」


 最後まで言い切る前に国王陛下から必死に頭を下げられた。まあアルフレッド帝国は強大な帝国だし敵に回したくない気持ちは分かるけど…。

 それにどうせ皇太子にはソフィーナがいるし、婚約破棄になるんだろうから私も早いとこ次の結婚相手を探さないと行けないという点では良いのかも知れないけれど…。


「嫌なのか、私との結婚は。」

「いえ…そういう訳では…」


 こんな所で死にたくないからなんか言えないし…。

 なんで婚約すっ飛ばして結婚なのかもすごい気になるし…。


「何が欲しい、言ってみろ。金か?財宝か?」

「そんなもの欲しくはありません!!私が欲しいのは…」


 そう、私が欲しいのは絵を描く環境だけ。あと、"生きて"普通の生活を送る事。

 でもそんなの言えないでしょ!!こんな"血皇帝"とまで言われてる皇帝殿下に!


「……いえ、何でもございません。」

「遠慮してるのか?」

「いやいやそんな、滅相もない。」


 怖い、怖い…!!!!

 しかしそんな雰囲気を打ち破ったのは呑気な国王陛下だった。


「そうと決まればすぐ宣言じゃな。よし!」


 満面の笑みを浮かべた国王陛下がものすっごく憎たらしい…。

 皇太子殿下も申し訳なさそうな顔してるけど、ソフィーナといちゃついてんの知ってっからな!こっちは!


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