正直な狼
飲過ノ目覚
嘘つきな子供
...辺境の小さな村に、羊飼いをしている人間の男の子がいました。
ある日、男の子は、仕事の退屈しのぎに『狼が来た!』と村人達に嘘をついて
騒ぎを起こす遊びを思いつきました。
だまされた大人たちが、武器を持って慌てて出てくるのが予想以上に面白かったようで、
男の子は何度怒られても懲りず、繰り返し同じ嘘をつくようになりました。
そしてある晩...
羊飼いの家に狼の群れが押し寄せました...。
少年は、命からがら家から飛び出し、
他の村人に助けを求めましたが、全く信じてもらえず、誰も助けに来てくれませんでした。
そして村の羊は全て狼に食べられ、家は荒らされ、少年は居場所を失ってしまいました...。
ーーーーーーーーーー
「ねぇ...お母さん...?」
「ん?どうしたの?」
「どうして...村の人は助けてくれなかったの?」
お話しを聞き終えた子供は内容が難しかったのか恐る恐るお母さんに聞きます。
「それはね。物語のこの子が嘘つきだったからよ。」
「そうなんだ...。」
「どうかしたの?」
子供の様子がおかしいことに気づいたお母さんは子供に寄り添って尋ねます。
「実は昨日ね。向かいの家のおじさんが、生きるには嘘が必要って言ってたの...。」
「でも...嘘つきは、助けてもらえないって言うから、どうしよう!って思ったの...」
「お母さん...どうしたらいいの?」
正直な狼 飲過ノ目覚 @koluku871
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