第一話「ギルドで依頼を受けよう!」【前編】

GM:それじゃあ早速セッションを始めよう。——さて、キミたちは今ハーヴェス王国の首都の近く、ヴァールの街にいます。近くといっても首都から歩いたら二日か三日はかかる距離ですが……最近パーティを組んだキミたち四人は、その街に拠点を置いて活動をしているところです。

アザレア:はーい。

クリム:冒険者仲間だ!

GM:とはいえ、パーティを組んだばかりなので、お金も無ければ実績も無い……まだまだ駆け出し冒険者。そんなわけで、今日も今日とて新たな依頼を探すべく冒険者ギルドを訪れます。冒険者ギルド〈プロブキウス〉です。

アメリア:〈プロブキウス〉?

GM:ヴァールの街にある冒険者ギルドの一つです。この街の中では大きい方のギルドですね。そのギルドに連れ立ってやってきたわけですが……あ、パーティ名とかある? あと誰がリーダーとか。

アザレア:パーティ名かー。

クリム:何も決めてないね。

グラウム:どうするか。……リーダーはやっぱりプリーストだろう。

クリム:いやいや、ここはじゃんけんでしょ! 神は言っている。じゃんけんで決めろと。

アメリア:いや、その声私たちには聞こえないから。(一同笑)もしくは年長者とか?

クリム:僕は成人したてだぞ。大人誰だー?

アザレア:アメリアが十八で……グラウムの三十一才が最年長かな。

グラウム:うぐっ。……我、成人したてだぞ。(一同爆笑)


 成人年齢は種族によって異なる。このパーティだと人間・エルフ・ナイトメアは十五才で成人に対して、リルドラケンは三回の脱皮、約三十才で成人になる。いろんな種族がいると難しいなあ。

 当然のように誰もやりたがらないリーダー役。こんな時は悩んでもしょうがないということで——。


アメリア:……よし、ダイスで決めよう。どうせ話し合っても決まらないでしょ。(一同笑)

アザレア:その通りだね(笑)。1d振って大きい人でいいかな。

クリム:よし、リーダーにはなりたくなーい。(ダイスを振る)あー、6!(一同笑)

アザレア:これは一発で決まったか?(笑)


 他のメンバーは4・1・1と6は出ず、そのままクリムがリーダーとなることに。


アメリア:それじゃ、クリムお願いねー。知力高いし、できるできる。

クリム:ううー、仕方ない。——じゃあみんな、依頼を探しに行くよ! いいかげん薬草集めはやめたい!(一同笑)

アザレア:もうちょっと別のことで日銭を稼ぎたいね。

GM:それでは、そんなクリムを先頭にキミたちはギルド〈プロブキウス〉のドアをくぐります。中は酒場兼宿泊所のようになっており、横には冒険者向けの依頼が貼られた掲示板もあります。

グラウム:ほうほう。

GM:掲示板の前は既にたくさんの冒険者たちが集まり、掲示板を眺めては気に入った依頼を取って受付に出している様子が見えます。

アザレア:何か手頃な依頼は残っているかな?

クリム:とりあえず薬草探し以外は無いかなー。どぶさらいでもいいんだけど……。(一同笑)

アメリア:なんにせよ見に行かないとね。

GM:そこで、キミたちに話しかけてくる人物がいます。「おお、クリムたちか。今日も依頼探しか?」と話しかけてきたのは多少年老いたドワーフの男性だ。テオドルというこのギルドのギルドマスターです。

クリム:そうなんだよおっちゃん。そろそろ違った依頼も受けたくて。街から出たくないけど。

アメリア:いい加減薬草採取も飽きてきたしね……。

グラウム:戦闘系の依頼とか受けたいもんだな。

アザレア:何か手頃な依頼はないかな?

GM:「手頃な依頼と言われたら、その掲示板で探してくれとしか言えんが……そういうのは早い者勝ちだからな。早く行かないとみんな無くなっちまうぞ」と言ってテオドルが指差した先では、掲示板からドンドンと依頼が取られていくのが見える。

クリム:それじゃあ街系の依頼はないかなー、と掲示板を見に行くよ。

GM:クリムが依頼を見ようと掲示板に近付きますが……人が多過ぎてなかなか依頼が見えるところまで辿り着けません。

クリム:し、身長が足りない。リルドラケン! リルドラケンの方はいませんか!(一同笑)


 この世界の人間の平均身長は一七〇センチ程度に対して、リルドラケンは二二〇センチ。格が違うとはこのことである。


アザレア:でかい人(笑)。

グラウム:あいよ。それじゃあ見に行こう。

GM:クリムよりは見えるけど、他のリルドラケンなど背の高い冒険者はいるのでやはりうまく見えない。もう少し前の方に出る必要があるだろう。

グラウム:それじゃあ、ちょっと失礼するよと言いながら前に出るとしよう。

GM:人混みの中に入ろうとすると、同じく掲示板を見たい冒険者から「横入りはさせないぜ」と言わんばかりに邪魔が入る。——では、前に進みたい人は腕力判定をしよう。

グラウム:お、腕力か。

アザレア:早速筋力を振れるね。

クリム:よし、みんな押し込めー!(一同笑)

GM:掲示板を見たい人は全員挑戦していいぞ。腕力判定なので基準値は[冒険者レベル+筋力ボーナス]で、目標値は7だ。


 ここでは「人混みをかき分けて掲示板を見に行けるかどうか」を行為判定の一つである腕力判定で成否を決めようとしている。

 ソード・ワールド2.5の判定は基本的に[基準値+2d]が「達成値」となり、達成値が目標値以上ならその行為は成功する。この「基準値」は行為判定によって異なるが、ほとんどは「何らかの技能レベル+何らかの能力値ボーナス」だ。

 今回の腕力判定は基準値に[冒険者レベル(=取得している最大の技能レベル)+筋力ボーナス]を使用し、これに2dの出目を足して達成値を求める。例えばグラウムは冒険者レベルが2、筋力ボーナスが4あるので基準値は6。つまり[6+2d]で7以上となれば成功、ということ。

 「それって絶対成功じゃない?」とも思えるが、2dで「1・1」を出してしまうと「自動失敗」となり、値に関係無く判定は失敗になる。ただ、「失敗から学ぶことがあった!」という意味で自動失敗すると後の成長に使える経験点がもらえるため、「どうせ失敗するなら1・1出ないかなー」という夢を見る冒険者は多い。


 この判定に全員チャレンジして、無事に全員成功。ちなみに最大はグラウムの16だった。さすがリルドラケン。


クリム:成功! おらー、薙ぎ払えー!

GM:薙ぎ払うまではいかない(笑)。キミたちは他の冒険者を腕力で押しのけつつ、掲示板の前まで辿り着くことができました。

アザレア:よし!

グラウム:余裕だな。

GM:前に出てパパッとみた感じですが……自分たちのレベルに合いそうな依頼を三つほど見つけることができます。こちらです。


 そう言って、ボイスチャットソフト内のテキストチャットの欄に文章を貼り付ける。一行が見つけた依頼の文面だ。


●蛮族を退治してくれ

内容:村で蛮族の小集団を見かけた人がいる。近くで集団を作っていると思われるので退治してほしい。

報酬:二〇〇〇G(一人当たり五〇〇G)


●遺跡を調べてくれ

内容:路線工事中に小さな遺跡の入り口らしき横穴を発見した。危険がないか調査してほしい。もし危険があり、それを排除できたら追加報酬も出す。

報酬:一六〇〇G(一人当たり四〇〇G)


●村人を探してほしい

内容:村の近くの森に狩りをしに行った村人が帰ってこない。探して連れ帰ってほしい。

報酬:一六〇〇G(一人当たり四〇〇G)


クリム:うーん……どれもめんどくさそうだなあ。

グラウム:一番報酬が良さそうなのは蛮族退治か。

アザレア:いかにも荒事の依頼だものね。

アメリア:戦闘があるのは確実でしょうね。

GM:他にも依頼はあるんですが、そっちは「ドラゴンを退治してくれ」とかそんななので……。

グラウム:(即座に)それは無理だな。

クリム:そんな危険なのは無し! ……村人探しとかどうかな? それともアメリアは村滅ぼされてるし「蛮族憎し」な感じ?

アメリア:いや、そこまでの思いはないかな。私の村を滅ぼした蛮族本人とかなら別だけど……。むしろ「蛮族憎し」はプリーストじゃないの?

クリム:フルシルはそうでもないと思うよ。ライフォスとかティダンはそうかもしれないけど。


 このラクシア世界には様々な神がいて、一口にプリースト(神官)と言っても信仰する神様が違えば教義も異なります。蛮族は人族共通の敵ですが、信仰と教義から蛮族全体にどれほどの怒りや憎しみを感じるかは神によって違うのでしょう。


アメリア:私としては「いなくなった村人を探してほしい」という気持ちはわかるから、それもありかなと思ってる。ただ、遺跡の探索も捨てがたいわね。

アザレア:なるほどね。

クリム:遺跡は何かありそうだもんねー。蛮族も放っておくと危なそうだけど……。

グラウム:とはいえ、今すぐ危なそうなのは村人の方か? 俺としては確実に戦える蛮族退治もいいとこだが。

クリム:悩むなー。……ちょっと一回ギルドマスターに話を聞いてみる?


 決め手に欠ける一同はもう少し詳細な話を聞くため、一度掲示板の前を離れてギルドマスター・テオドルに声をかけることに。


クリム:テオドルー。あそこの依頼が気になってるんだけど、もうちょっと詳しい内容聞けない?

GM:「ん? ああ、そこの依頼か。蛮族退治に遺跡調査……お前たちのような駆け出しの冒険者にはオーソドックスな依頼だな」

クリム:蛮族退治の蛮族ってどんな奴ら? ヴァンパイア?(一同笑)

アザレア:それは駆け出しの冒険者がやる依頼じゃないから!(笑)

GM:「そんな高位な蛮族が出てきたら大騒ぎだよ。この依頼の蛮族は詳しい姿までは聞いてないが、小集団で大して強い蛮族はいないだろうことは確かだ」

クリム:おっちゃん、それフラグだよ!?(一同笑)本当に弱い蛮族かなあ……?

GM:「詳しい蛮族の姿とかは村に行って直接聞いてくれ」

アザレア:この場ではそれ以上の情報はないわけね。

クリム:もし自分たちの手に負えないような予定外に強い蛮族がいたら引き返してきてもいいの?

GM:「それはもちろんだ。命あっての物種だからな。それに、万が一そんなに強い蛮族がいればこの報酬で受けるものでもないだろう」

クリム:そうだよね。でも引き返してきたら報酬は?

GM:「あるわけないだろう」

クリム:世知辛いよー。……ちょっとメンバーと相談しよう。どうする? なんか強い蛮族が出てきそうで怖くなってきたんだけど。

アメリア:私たちまだ範囲攻撃を持ってないのよね。

グラウム:そうなんだよな。

アザレア:確かに、思ったより多い集団とか強いのが出てきたら辛いね。

クリム:レッサーオーガとか出てきたらだいぶ辛いけど。

アメリア:それはGMを殴る。(一同笑)


 いや、それは勘弁してほしい。そんなに無茶しませんって。


アメリア:まあ、戦闘不安なら違う依頼にするのもいいんじゃない?

クリム:うーん……あ、蛮族退治の村までの距離ってどれくらい?

GM:「村までは一日歩けば到着するくらいの距離だな」一日と言っても二十四時間じゃなくて、明るい時間のうちに着くけどその日はもう終わりって意味ね。

アメリア:朝出れば夕方くらいに着くイメージか。

GM:そうそう。「まあこの蛮族退治の依頼は、まだ蛮族を見かけただけのようだからそこまで焦って向かう必要はないだろう。早いに越したことはないが、まだ襲ってきてるわけではないからな」

クリム:なるほど……。というか依頼まだ残ってる? 掲示板の方をチラッと見る。

GM:さっき見た三つの依頼は残ってるね。

クリム:人気無いの?(一同笑)

GM:いや、集まってるみんなが駆け出し冒険者なわけではないから。もう少し上のレベルの依頼は見てる間にも取ってく人がいるよ。

アメリア:もうちょっと中堅くらいの冒険者が多いのね。ま、街でも大きいギルドって言ってたしそんなものかしら。

クリム:(テオドルに)それじゃあ、あと二つの依頼の説明も聞いていい?

GM:「ああ、構わんぞ。説明している間に取られても知らんが」と言って説明してくれる。


 テオドルによると、遺跡調査の依頼は今ハーヴェスで進んでいる魔導鉄道の工事の一箇所で、路線を通すトンネルを掘っている最中に起きた軽い崩落によって横に伸びる穴が見つかり、作業員が中を見たところ遺跡だとわかったらしい。

 遺跡では稼働を続ける魔導機や住処にしている魔物などの危険が潜んでいる可能性があるため、工事中にそれらからの被害が出ないように調査をしてほしい、という依頼のようだ。何も無ければそれで終わり、もし実際に危険な魔導機等がいてその排除までやってくれれば提示の報酬から追加報酬を出す、とのこと。


アザレア:ふーん、なるほど。

GM:「追加報酬の額は排除した危険度のレベルに応じて出すとのことだ。この辺は相場ってものもあるから、ちゃんとした額が出るから安心しろ」

クリム:でも、何が出てくるか分からないのはリスクが高いかなー。


 もう一つの『村人を探してほしい』という依頼は、ヴァールの近くの村——さっきの蛮族退治とは別の、狩猟や牧畜で生活するごく普通の小さな村からで、森に狩りに行った村人が帰ってこない、という相談のようだ。帰ってこない理由は不明だが、怪我をして動けなくなってる可能性もあるので、探して連れ帰ってほしいとのこと。

 狩人が入った森はたいして危険な森ではないが、動物などはいるので狩人でもない普通の村人が行くには少し危なくもあり、念のため冒険者に頼ることにしたらしい。


クリム:なるほどー。ちなみにこの村までの距離は?

GM:「さっき言った蛮族退治の村よりは近いな。半日ぐらいで着くぞ」

クリム:うーん……こっちの方が緊急性が高いかなあ。(他のPCに)緊急性が高い方から行くってのはどう? 危ないかもしれない村人の命は助けないと。ほら、僕一応神官だし?

グラウム:最後の言葉には疑問があるな。(一同笑)

アザレア:(笑)——私もそれで問題ないよ。確かに他の依頼より急いだ方がいいかもしれないしね。

アメリア:私もそれで構わないわ。

クリム:それじゃあ『村人を探してほしい』の依頼を受けよう。依頼書取ってくるね。


 ようやく受ける依頼を決めた一行は、未だに掲示板前に集まる冒険者たちを再度の腕力判定でかき分け(クリム「まだそんなにいるの!?」)、目的の依頼を取ることに成功。ギルドマスターのテオドルに差し出した。


GM:「それじゃあこの依頼を受けるでいいんだな」

クリム:うん。この街からそれほど歩く必要が無いってのがいいよね。(一同笑)

GM:「今からそんなこと言ってたら冒険者なんてやってられんぞ」とテオドルは笑いながらも依頼書を受け取ります。

クリム:楽して金を稼ぐ! それが一番!

GM:「はは、まあそうできたらいいんだがな。——それじゃ、依頼の村の場所はここだ」と言って地図を渡してくれます。ここヴァールの街から半日ほど南東に移動した場所にあるようです。

クリム:半日かー。食料とかいるかな?

GM:あ、村から前払い報酬として一人当たり四日分の食料を付けてくれてるよ。テオドルが渡してきてくれる。

クリム:お、やったね。それじゃあ食料をもらって……。

グラウム:早速行くとするか。

GM:さて、依頼を受けて出かけようとしたところだけど……ふとギルド内がざわつき始めたことにキミたちは気が付きます。

アザレア:ん、なんだ?

アメリア:ざわ、ざわ?

GM:よく見ると、周りの冒険者たちの視線はギルドに入ってきた一組の冒険者パーティに向けられています。近くの冒険者から「おい、あれは〈クワイシトル〉の連中じゃないか?」と言っている声が聞こえるね。

クリム:クワイシス?

アザレア:有名どころのパーティなのかな。

グラウム:クワイシス……知らんなあ。

GM:「〈クワイシトル〉な」とテオドルが訂正してくる。見ると一般的な四人パーティで、先頭にいる比較的若いリカントの男性が率いている様子です。ただ、そのリカントから感じるオーラ……迫力は並々ならぬものがあると、キミたちはすぐに感じ取ることができる。

クリム:う、マジか。

アメリア:強そうなパーティね……。

GM:テオドルが説明してくれるね。「あいつらは〈クワイシトル〉という冒険者パーティだ。このギルド、〈プロブキウス〉に出入りするパーティの中でも特にレベルが高い連中だよ」

グラウム:ほう、なるほどな。

アザレア:どんなパーティ構成なの?

GM:「先頭を率いているリカントの男がいるだろう? 彼がリーダーのラーヴァで、ファイターだな」とテオドル。それ以外はまだ考えてない。(一同笑)

グラウム:あ、はい(笑)。

アザレア:リカントのファイターがリーダーね。

GM:「年齢こそ若いが、経験豊富で実績も実力もある非常に力強いパーティだよ」とテオドルは評してくる。周りの冒険者たちからも「あいつら、冒険者ランク『センチネル』になったんだって?」などとひそひそ声が聞こえてくるぞ。

アザレア:センチネル……ああ、2.5から冒険者にランクが付くようになったんだっけ?

GM:そうそう。名誉点を支払うことで「冒険者ランク」というのを得ることができるよ。


 冒険者ランクは、冒険者ギルドが公式に実力を認めた証とも言える指標のことだ。はじめは何のランクも持たないが、強敵を倒したりした時に手に入る〈剣のかけら〉をギルドに上納することで得られる「名誉点」を支払うことで、「ダガー」「レイピア」……と剣の名前が当てられたランクを得ることができる。詳細は基本2のP137を見てね。


GM:「いやいや、今は『センチネル』だけど、すぐにでも『ハイペリオン』になるんじゃないかとも言われてるし、〈始まりの剣〉になるのも近いんじゃないか」とひそひそ声は続く。

グラウム:(ルールブックを見ながら)センチネルにハイペリオン……げ、かなり高ランクだな。

アザレア:センチネルでも累積名誉点500点以上!? 雲の上の存在だね……。

アメリア:冒険者レベルも少なくとも8以上はありそうね。かなりやばいレベルだわ。

クリム:僕らはグレートソードくらいかなー。

GM:まだ「なし」です。名誉点得てすらいない。(一同笑)

アザレア:まだまだ何もないね(笑)。

GM:そんな有名人が入ってきたので、冒険者たちがつい見てしまったわけだ。ただ、本人たちはそんな視線を気にすることもなく掲示板の方へ向かう。掲示板に近付くとそれまで集っていた冒険者たちも思わずサッと道を開けてくるね。

アメリア:お、道が開いたなら今のうちに依頼取れるじゃない。(一同笑)

アザレア:肝が太いな(笑)。

グラウム:太過ぎるだろ(笑)。ま、もう依頼は受け終わってるから必要ないぞ。

GM:そのまま掲示板をパッと見たラーヴァは一枚の依頼書を取り、キミたちのすぐ横にいるテオドルに依頼書を渡しながら「この依頼を受ける」と話しかける。

アメリア:何の依頼かしら。エンシェントドラゴンの討伐とか?(一同笑)

アザレア:いくらなんでもランクが違い過ぎるよ(笑)。

GM:そこまではいかないけど……掲示板で見かけたドラゴン討伐の依頼ですね。「おお、これを受けてくれるか」と言ったテオドルはそれを手早く受諾して「それじゃあ、今回もしっかり頼むぞ」と返す。ラーヴァは言葉は返さないものの、小さく頭を下げてギルドを出て行く。

クリム:ラーヴァさんは礼儀正しい人なのかな?

GM:クリムの言葉にテオドルは「ああ、そうだな。今勢いのあるパーティだが、ラーヴァ本人は非常に実直で真面目なやつだ」と返す。

グラウム:なるほど……冒険者の鑑だな。

GM:「いつもこの街にいるわけではないんだが、今日は珍しくここに来たみたいだな」

アメリア:なるほど。——ま、私たちには関係のない話ね。

グラウム:それもそうだ。

アザレア:私たちはまだ他人のことを気にしてられるレベルじゃないからね。

アメリア:そんな向上心など持ってないの。(一同笑)

アザレア:そっちなの!?(笑)

GM:周りでは「俺たちもあんな風になってみてえなあ」とごしょごしょ喋ってる連中がいっぱいいるけど——。

クリム:僕たちにそんな向上心は無い!

アメリア:一緒にしないで!

GM:「誰もお前らを一緒にしてないから安心しろ」とテオドル。(一同笑)「ま、なんにせよしっかりと実績を稼いでいくことだな」

クリム:だね。……それじゃあ、僕らは僕らで依頼をこなしに行こう。

アザレア:うん、依頼の村へ向かおうか。

GM:OKだ。では、キミたちはギルドを出て依頼の村へと向かって移動を始めるぞ——。


【中編】へ続く

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