成人してからのその後

森崎真司 視点(6)

あれから僕は夕夏をあてもなく探し続けた、それと2カ月程で、あのアダルトサイトから夕夏の動画は消え、同時に笹山将市が退学をして姿を消した。


月日が流れ、探し疲れた僕は上京をして大学を出て社会人となった。探すのを諦めた訳ではない、ただこの街には居ない、人が多い都会の方が居る可能性が高いと思ったからだ。


大学時代には、夕夏に似た雰囲気の女性を見付けると、目で追っている自分がいることも自覚をしている。


僕はまだ夕夏をだ、そして忘れることができない。


それと大学4年になった時、笹山将市がVouNube (色々と配信して世界の人たちと共有しましょう。が売り)の配信番組を自主制作している事を友達から知った。タイトルが「俺のナンパに不可能の文字はない!」だ、タイトルで想像が付くだろう、ナンパをしてそのテクニックを紹介する番組だった。


夕夏の時に色々あったが直ぐに興味を無くした、何故なら夕夏が居ない今となっては、何をしても自己満足にしかならないからだ。


それからも元彼女の影を追い求める日々で大学生活を終えた。


就職先は2流商社に入社し、新人研修で同じグループの2人に出会う。


岸谷良太とさざなみ涼花、二人とも明るく、気さくな性格で、直ぐに仲良くなり、半年もしないうちに親友と言って良いほどの仲になった。


もし2人の欠点を上げるとしたら、良太は大学時代、ラグビーをしていたためか、たまに熱血になる事があり、暑苦しくなる時があった、涼花はからかい癖が有り、特に僕をからかっていた。


それからも順調に仲良くなり、更に半年後には3人で温泉に泊まりに行く事も、もちろん涼花は別の部屋だ。


この頃から薄々感じていた、涼花は僕の事が好きなんだろうと、ただ僕はまだ夕夏の事が好きで、気持ちの整理が全くできていない、いや、出来ないだろう。それに良太は涼花を好きになっていることも知っていた。


入社して2年目の梅雨明け。


とある休日、3人で遊びに行く事になっていたが、前日に僕に用事が入り行けなくなった、良太と涼花だけで遊びに行かせた。


その日の夜、涼花からのRINE僕たち3人の関係が変わる電話が掛かってきた。


「涼花、今日は、急に行けなくなって悪かった。」


『・・・・・』


「?…涼花?・・・急に行けなくなった事を怒っているのか?」


『・・・違うよ・・・』


「?・・・何か有ったのか?」


『・・・・・うん。・・・・・良太に・・・告白されたの・・・』


「・・・そっか・・・良太はいい奴だ、暑苦しいのがたまに傷だが。」


『・・・うん、知ってる・・・』


「・・・」


『・・・真司はまだ前の彼女の事を?・・・・・新しい恋をしたくはないの?』


「・・・・・」


『・・・・・もしもよ、・・・もしも・・・真司が・・・・・断れって言ってたら・・・断る・・・かもよ?』


「・・・それは・・・・・言えないよ。」


『・・・・・・・・・・・・・・・!…ブッ』


電話が切れた後、涼花が最後に小さく呟いた『イクジナシ!』が心に刺さった。


月曜日から涼花が変わった、接し方は親友だが、僕をからかう事を止めた。


そして次の休日、良太からメッセで『涼花と付き合う事になった。』と、報告があった。


もちろん、涼花の電話の時に、涼花が言って欲しい言葉は分かっていた、だが夕夏への想いが僕の口をふさいだ。普通に別れていれば言っていた、そして涼花と付き合っていただろう。


それからは会社が憂鬱な場所へと変わった。


涼花と目を合わす度に、責められている様に感じたから。


そして少しずつ疎遠に。


夕夏と別れて6年目の後半。僕は更に居づらくなり、適当な理由を付け会社を辞めて田舎に帰った。




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あとがき

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