森崎真司 視点(5)
6月27日(日曜日)
運命の日、彼女の家のリビングで僕の家族と彼女の家族が揃った、夕夏の両親から彼女の名前と、証人の欄には彼女の両親の名前が書かれ、印鑑が押された婚姻届けを渡された「あとはお前だけだ、書きなさい。」と言われたが、彼女の名前は、彼女の筆跡ではない事が見て取れた、多分
「書きます、その前に、ただ今から夕夏と話があります、僕が何を言ってもしばらく怒らず聞いててください。」
了承を得て、そして彼女に真実を問いかける。
「君を妊娠させた相手は誰だ?」と。
半狂乱で僕を責める彼女の両親、夕夏はガクガクと震え、何も言えないでいる。
僕は
「・・ど・・・・どうして・・・」
やっと反応があった、夕夏は笹山将市の名前が聞こえると同時に体が大きく跳ね、瞬時に僕の顔を大きく見開いた瞳で見つめている、その瞳からは(どうしてその名前を・・・)と言っていた。
彼女の両親も夕夏の反応で、僕が無関係な人の名前を出していないと悟ったのだろう、黙って彼女を見つめていた。
「正直に言ってくれないか。」
僕は彼女に懇願するように、真実を彼女の口から言うように促すが、彼女は僕を見つめながらも首を横に振ってしまった。
(僕がここまで言って、夕夏が
・・・真実を言ってほしかった・・・たとえ犯されていたとしても一緒に歩んで行きたいと思っている、だけど言わないままだと笹山将市はどうなる?このまま誰にも裁かれずに逃げることになる。それだけは許されないことだ。
僕の言葉だけでは夕夏の両親が納得しないと思い、仕方がなく携帯電話に録音した音声を再生した。
この時、僕はもっと彼女を説得すべきだったのだろう、そして安心させるべきだったのだろう、そして夕夏自身が真実を打ち明けるまで、何時間でも待つべきだったと、この後の後悔の引き金はここにあったと言える。
録音されたゲスな内容がリビングに響き渡る。
驚愕な真実に、彼女の両親は放心状態となり、夕夏はヒュー、ヒューと変な呼吸をし始めていた。
録音の再生が終わり、彼女は過呼吸気味になりながらも真実を両親に打ち明けた、衝撃な事実として、最初に脅された写真には角度的にキスだけしか見て取れなかった、それに気が付いたのはHな動画で脅され、何度も犯された後だった「最初に落ち着いて画像を確認すれば違う結果になっていたのに。」と悔やんでいた。
話が終わり僕はゆっくりと婚姻届を破り捨てる。
婚姻届を破り捨てた理由は、お互いに納得し、そして妻になる人の欄には夕夏自身が記入してほしいから。
友達が調べた笹山将市の女性関係の資料を渡す、結局ハメ撮り動画の情報は書けなかった、夕夏の両親に『お嬢さんが犯されている動画がこのサイトで売られていますよ。』って言えなかった。
彼女の両親は資料を受け取った後、僕に暴言を吐いたことを謝罪をしてくれた、その後促されて帰る事になったが、その晩夕夏は再びリストカットをした。
病院に見舞いに行ったが会ってくれず、僕との連絡も絶ち、 知らない間に退院した後、夕夏は学校には来ず、心配になり先生に確認すると、既に退学届けが出ていた、慌てて夕夏の家に行ったが、売家の看板が立っていた。僕は喪失感でただ立ち尽くした。
この結婚の話を一旦なくした後、三島家に協力をして笹山将市の断罪、その後再度告白をしてやり直したいと思っていた、だけど僕がしたことは夕夏に対しての断罪だけでしかなかった。
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あとがき
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