第12話 あの記憶の追憶(夏夜マート)
和樹君と夏夜駐屯地に言った日から1週間経った。
今日も1人で公園にいた。
いつものように一人ぼっちな私は公園のベンチに座っていた。
何もすることが無かったので、同じクラスの子達の鬼ごっこを見ていた。
見ていても虚しい。
でも本当は入りたい。
「入れて欲しいな」って言いたいけどその言葉さえ簡単に出ない。
こんな事を普通に言えないのは情けないよね。
分かってはいるけれど、苦しい。
「仕方ないや、諦めよう」と心の中で呟いた。
そうする事でどこか心が楽だった。
呟いた後に下を向いていると、聞き覚えのある声がする。
この声は和樹君だ。
「春奈ちゃん、何してるの?」
いつものように一人ぼっちな私を見かけると声をかけてきてくれる。
私が1人で可哀想だから声を掛けてきてくれているのかと思ったら
申し訳なさでいっぱいだと私は思った。
「何もしてないよ…」
和樹君に対する申し訳なさで胸がいっぱいになった私はこう静かに和樹君に
言葉を言うしか無かった。
罪悪感が酷い。
「夏夜マート行かない?」
和樹君はいきなりコンビニに行こうと誘ってきた。
これも私が一人ぼっちだからか。
「うん」
でもそんなこと考えていても、仕方ないので和樹君のお誘いを了承して
夏夜マートに行く。
その間の会話だなんて夏の暑さのせいで掻き消される。
何かを言っても無駄だという事がわかる。
だから私は何も言わなかった。
そして夏夜マートに着くと、アイスコーナーに向かう。
「春奈ちゃん何がいい?」
「チョコミントアイス食べたいな」
私はそう答える。
アイスと言えば自分の中ではチョコミントアイスが好きだ。
変かもしれないけど、爽快感が好きだ。
「良いよね、チョコミントアイス。
俺もそれにしようかな」
和樹君も同じのを取った。
分かってる、ただ合わせているだけだ。
そしてアイスを買って公園で食べた。
私は相変わらず、話せなかった。
「情けない」と心の中で呟く。
罪悪感が私の心を圧迫する。
その瞬間のアイスはどこか苦かった。
苦しいけれども、簡単に思いなど吐き出さない。
吐き出すだけ無駄だ。
今は彼の顔など見ていられないほど苦しい。
私は下を向いて、アイスをスプーンですくって食べた。
すると私の目からいつの間にか溢れたであろう涙がアイスに溢れる。
溢れたアイスは少し溶けていた。
そこからはさすがに思い出せなかった。
でも予想はできる。
和樹君に慰められていただろう。
そこで記憶の追憶は終わった。
長いようで短い記憶の追憶が。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます