第2話 囲碁

 エデンの存在を知ってから数週間後。ケビンとマイケルは、仕事が終わるごとに遊びに行き、二人のルーティンになっていた。中山達のおもてなしのサービス、料理が一流で、異世界の二人にとっては、見た事も無い中国、イギリス、フランス料理などを舌鼓を打ち、他のゲームも遊びながら、より仲を深めていった。

 今日も仕事が終わり、いち早くエデンへ入った。


「いらっしゃいませ、ケビン様、マイケル様。今回もお越しいただきありがとうございます」

「今日も楽しませて貰うよ」

「今回は、どうします? オセロ? スピード? それとも、ジェンガですか?」

「そうだな。今回は」

「何やら、最近変なところへ行くと思えば、こんな所だったのか」

「げっ! 騎士団長!」

 二人が後ろを向くと、そこには、同い年で水色の髪と冷たい瞳をした青年がいた。

「お知り合いですか?」

「あぁ、この方は、騎士団長のエレンです」

「騎士団長のエレンだ。この二人がこの施設に入る姿や、変な会話をするのを見たり、聞いたりしたから、尾行したらこんな豪華な場所とは、しかし、こんな内装は、見た事が無い。それに、ガラスの中に魚がたくさん」

「そんな事よりも、このエデンで遊びになりますか?」

「エデン?」

「ここは、様々な遊びが沢山用意されています。ボートゲーム、カードゲーム、スポーツゲームなど、三十種類以上もあります」

「ほう? そんなにあるのなら、楽しませてもらうか?」

「はい。貴方様の期待に応えます。ところで、エレン様? 高度なボートゲームは、お好きですか?」

 中山は、そう言うと、エレンは自信に満ちた表情でこう答えた。

「あぁ、もちろんだ」

「それでは、ご案内します」

 中山は、エレン達三人をそのボートゲームがあるところへ案内した。


「これが、そうか?」

「はい、囲碁でございます」

「囲碁?」

 そのテーブルには、囲碁盤と白と黒の碁石があった。

「それでは、ルールを説明します」

 中山は、囲碁のルールを説明した。囲碁は、白と黒が交互に置き、最終的に陣地が多い方が勝ちというゲームだ。また、敵の石を自分の石で囲むと、その石を取ることが出来、終盤で行う陣地数えで、敵の石を使って、その陣地に置き、減らすことが来出る。

 ただし、石を多く取れば良いというのは、大間違いで、自分の石で陣地を作ったり、敵から取りにくい体制にするなど、様々な方法を駆使しないといけないので、かなり奥深いのだ。

 この囲碁でエレンと戦うのは、マイケルに決定した。二人は、中山の言葉に従いながら、ゲームを進める。


「くそ! 陣地が少なってきたな」

「どうした? マイケル? お前なんて、その程度だからな」

 オセロと対戦した時よりも、かなり苦戦しており、かなり劣勢になっていた。エレンは、同じ年だというのに、騎士団のトップに立てたという事もあり、かなり頭がきれる。

「これで、どうだ?」

「そこは、着手禁止点だぞ?」

「ぐ!」

 エレンは、マイケルを嘲笑しながら言った。ちなみ、着手禁止点とは置いても相手の石を取る事が出来ないところを指す。例えば、白が一つの黒の石を囲んで取る。その後に、黒がそこを置いた場合、それが、白の石のどれかを取れるなら、大丈夫だが、どの白い石でも取れない場合だと着手禁止点になり、違反となる。

 その後も、マイケルは策を練るが、エレンにあっさり潰され最終的に十対百二十でエレンの圧勝になった。

「ははは! 余裕だったな!」

「くそ!」

 マイケルは、エレンにもう一度リベンジするが、また返り討ちにされ、マイケルは、魂を抜けたような表情になっていた。


 エレン達は、複数のボートゲームに遊んだ後、エデンを出た。

「いやー、こんなに楽しめたとは! お前ら、どうして教えなかったのだ?」

「すみません。生きがいを見つけたので、考えていませんでした」

「そうか。中山、この店の営業を許可する。これからも楽しませてくれよ?」

「はい。またのご来店をお待ちしております」

 中山は、エレン達を深々と頭を下げて見送った。後に、エレンは、知り合いにも伝えて、やがて大きな出来事が起きる事になる。

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異世界遊び屋「エデン」 サファイア @blue0103

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