第19話 明かされる過去 ライトの真実2

「今、貴族たちが躍起になって探してる、カイト=エスティーはライトってこと?」


シオンが尋ねる。


「そうだ。まぁ、カイトは偽名だけどな。」


「まぁ正直、心のどこかで、そうなんじゃないかって思ってたよ。」


シオンが苦笑する。


「隠していてすまない。あまり目立ちたくは無いんだ。それに、『カイト=エスティー』って言う名前は、俺は『あの時』捨てたからな。」


「あの時?」


「…ヨルンがベルゼブブに殺された時だ。」


苦しい表情をするライト。


「それからもう一つ、お前らに伝えなきゃいけないことがある。特にニーナさん、トランさんに。」


「え?」

「ワシらに?」


突然のことに驚く2人。


「えぇ。これからを考えるのに重要なことです。」


深呼吸をするライト。


「今回、騎士たちがニーナさん達を連れて行こうとした理由が分かりました。ようやく、ようやく繋がった。」


「え?それはカイトを…ライトについて、聞き出す為じゃないの?2人はヨルンと接点があったみたいだし。」


エレンが首を傾げる。


「…いや。狙いはその赤ん坊のライトちゃんだ。」


「え?どういうこと?」


「先日、冥界から霊灰を持ち出されるという事件が発生した。おそらく、クレザーノ家の連中だろう。しかし、量はごく僅か。人1人の魂の分すら無い。」


「なるほどのう。そういうことか主人殿。」


ルシファーが赤ちゃんを見て目を細める。


「ど、どういうこと!?」


「お前ら、魂の遺伝性質は知ってるよな?」


「え、えぇ。」

「確か、親近者の魂の本質は近くなるってやつじゃなかったっけ?」


「その通りだ。つまり、親子の関係なら、魂の性質が似通っているんだ。」


「だ、だから?」


「連中は、クレザーノ家は、とある人物の魂を新たに生成しようとしているんだ。しかし、霊灰の量が足りず、満足に魂を生成出来る状況ではない。故に、として、その上に霊灰を使って魂を生成しようとしてるんだ。」


「ライトちゃんの魂を、その魂の核ってやつにするってこと?」


「そうだ。」


「じゃ、じゃあまさか…まさか…」


トランとニーナはライトが何を言いたいのか察したらしい。震えながら青ざめている。


「どういうこと?ちゃんと説明して、ライト。」


「分かった。ならハッキリ言おう。クレザーノ家が蘇らせようとしてるのは希代の英雄、ヨルン=ハルザーノだ。そして、その復活にはこの子が必要不可欠になってくる。」


「え?」


ライトは赤ちゃんを指差した。

視線が赤ちゃんへと集まる。


「その子の本当の名前は、ライト=。」


「え?ハルザーノって…まさか…」


「そのまさかだ。この子の父親の名前はヨルン=ハルザーノ。ニーナさんと、ヨルンの子供だ。」

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