第23話 番外編 マリーへインタビュー

え?当時のことを振り返ってどう思ったか?

そんなの、驚いたの一言よ。

エレンが襲われたこと?

そんなの気にしてないわ。まぁ物凄く心配したけどね。無事に帰ってきてくれたことだし、身分上、今までも何度か命を狙われたことはあったからそこまでは驚かなかったわ。

そんなことより、エレンに好きな子が出来たことの方がもっと驚いたわ!!

エレンは王女、しかも容姿は王国一って言っても過言じゃないわ。親の私から見ても嫉妬するくらいの美しさよ。縁談はとてつもなく舞い込んできたわ。

一応自称婚約者候補も何人もいたかしら。

まぁエレンは誰にも興味無し、寧ろゴミを相手にしてるかのような扱いだったけどね。

そんなエレンにも遂に!春が来たのよ!

親として娘の初恋を応援するのは当然よ!

もちろん私の旦那には絶対内緒。

あの人エレンに恋人ができたら何するか分からないもの。

私としては、ちょっと早いかもだけど、とっとと既成事実でも作って欲しかったわね。


ライトくんは私から見ても凄くかっこいい男の子で、エレンが惚れるのも納得だったわ。

彼身なりを整えれば引く手数多でモテモテになってたでしょうねぇ。

まぁエレンもそれを内心分かってたから、あんなに必死で頑張ってたのよね。


本当に驚いたんだから。朝起きてみて、メイドさん達が騒がしかったから聞いてみたら


「エ、エレン様が料理をするとか言って、厨房のシェフ達を困らせてるんです!!助けてください!!」


って泣きつかれちゃった。


エレンは今まで本当に何にも自分でしてこなかったから、料理なんて作るところからおかしかったもの。なんで炎魔術使うのかしら。結局エレンが料理器具の使い方を理解する頃には、城中のキッチンが吹き飛んだわ。しかも私の旦那ったら「エレンの手料理が早く食べたい!いや、エレンの料理姿をこの目で見ないわけにはいかぬ!!」とか興奮しまくって爆発に巻き込まれて病院へ運ばれ、病院を抜け出してまた見に来て爆発に巻き込まれ病院へ運ばれ、また抜け出して…の繰り返し。


結局エレンは厨房で料理をつくって、それを私たちに食べさせる日々が続いたわ。


正直言って味はかなり酷かった。

愛情じゃなくて怨念込めてるのって言うくらい。


毎日エレンの従者さん達はエレンが料理するたびに震えていたわ。

可哀想だったから内緒でボーナスあげちゃった。


まぁ唯一旦那だけは喜んで食べてたけどね。

(もちろんその後体調崩して病院行き)


親として、王妃として私は娘の暴走を止めなきゃいけなかったんだけど。


「…男を落とすには胃袋からって書いてあったもの。」


そう言って毎日一生懸命料理を練習して、しかも本まで取り寄せて頑張ってる娘の姿をみたら、やめろなんて言えないわよ。


まぁ取り寄せた中に強力な媚薬の瓶があったのを見た時は、ちょっと止めたけどね?


休暇が終わる頃にはエレンの料理は少しはマシになったわ。まぁ不味いことに変わらないけど。


それと同時に毎晩コッソリ私にお化粧を教わりに来るようになったわ。


初めは


「エレンはお化粧しなくても可愛いわよ!」


って私は言ってたんだけど、


「お母様だけに言うわね…。私、ちょっと気になる男の子がいて。べ、別に好きとかじゃなくて…えっと、その、大好きなんだけど…。やっぱりお化粧した方がもっと可愛く見えるし?だから彼のためってわけじゃない、わけじゃないけど…、と、とにかく綺麗になりたいの!!」


と、エレンは目をグルグルさせて顔を真っ赤にして言ってきたわ。


ツンデレなんだか素直なんだかハッキリして欲しいわね。


それにお母様だけにって言ったってこの城中の人は全員気づいてるわよ。あぁ、あの娘溺愛親父たった1人をのぞいてね。


もう、エレン可愛い!!


エレンをこんなにしたライトくんには、キッチリ責任とってエレンを幸せにしてもらわないとね。


私も出来ないこともあるけど、全力でサポートしようって誓ったわ。


え?王妃だから大概のことは出来るんじゃないかって?


ウフフ。そんなことはないわ。


私がしたことなんて、あってもなくても変わらないような小さなことだけよ。無茶苦茶な事は『少し』しかしてないからセーフよセーフ。


他に聞きたいことは何かあるかしら?


え?その後の2人?


「秘密」って言いたいけど、


そんなの、見てみれば一目瞭然よ♡?

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