第13話 王女の命を狙う者 災厄と最悪の状況
《災厄召喚:冥王ルシファー》
森全体を覆うかのような巨大な漆黒の魔法陣が形成される。
そして
銀色の長い髪、赤い眼、背中には3対の白い翼。片手には杖を持ち、全身に紫色の禍々しいオーラを纏った天使が現れる。
彼女こそ、何度も人類を滅亡の危機へと追いやった災厄。
冥界の女王 ルシファー。
ライトが唯一召喚できる「魔神」である。
「ほう?今度は何の用事じゃ?また見せつけるためだけに呼び出されたので有れば承知せぬぞ?わが主よ。」
そう、学園に来る途中、ニックとロイドに見てもらう為だけにルシファーを呼び出したのだ。
「あんときはすまなかった。だが今回は、お前の力が必要だ。頼めるか?」
「其方と契約した時から妾は其方の手足。答えは決まっておる。
…貴様はワイバーンデビルじゃな?」
ルシファーはワイバーンデビルを睨みつける。元々ルシファーの方がワイバーンデビルより何倍も大きい。
ルシファーの凄まじいオーラでワイバーンデビルは震えている。
圧倒的な格の差。
「妾の主を殺そうとした罪、その身をもって償うがいい。」
そういうと共にルシファーは杖をふるった。
《極大禁忌魔法 消滅の波動》
白い光が広がる。
神のみ使える「魔法」
その威力は凄まじく、ワイバーンデビルを一瞬で消滅させた。
残ったのは綺麗に抉られた森。
「なんじゃあっけない。出力の1割もだしておらんぞ。あんなのに負けたのか?主よ?」
「五月蝿い。無駄口を叩く暇があるならとっとと冥界へ帰れ。」
そう言うとライトはもう一度魔法陣を作り出す。
「つれないのぅ。…まぁよい。次はもっとマシな用件にしろよ?」
ルシファーは魔法陣の中へ吸い込まれるように消えていった。
ライトはガクリと膝をつく。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
流石に疲れた。
ルシファーめ…。禁忌魔法なんて使う必要なかっただろ。
アイツがエゲツないモノを使う度、こっちも疲れるんだよ。絶対楽しんでやがるな。ちくしょう。
「え…え?え?」
…エレンには見られてしまった。
まぁこればっかりは仕方ないな。
他の生徒は多分大丈夫だろう。
ルシファーレベルのオーラだ。召喚した瞬間、おそらくこの森全体の動物は皆耐えきれず気絶したんじゃないだろうか。
だが、ルシファーの主人である俺に抱きついていたエレンには効果はなかったらしいな。
…さて、どうするか。これからまた襲撃されないとも限らないし、一旦エレンを連れてレナード先生たちと合流しないと…
ここでライトは気がついた。
…待てよ?なんでレナード先生達はエレン達が森へ入ることを止めなかったんだ?
エレンが森へ入ることを知っていた…?
どうやって?教師でさえ見下すゴミクズのエレンの性格上コイツが言うことはないだろう。なら、教授達もエレンの行動は読めていなかったはず。
まさか今回の黒幕は教授達の中にいる?
…いや、それはないだろう。
今回の引率の教授3人のうち誰かが黒幕だったとして、その場合、最優先で動きを封じなくてはいけなかったのは俺のはずだ。いくらステータスを偽造していたとしても教師として接していれば不自然な点を見つけ、真実へ辿り着くのはそう難しいことではないだろう。おそらくだが、学園の教授の殆どが、少なくとも俺の「身体能力」に対してのステータスの不自然さを感じ取っている。そんな不可解な人間を、王女殺害(?)の計画において野放しにするはずがない。
となると、残された選択肢はただ一つ。
俺たちが襲撃されると同時に…、
教授達も襲撃されている可能性が高い!!!
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