第十七章 いとこのクララ?
第十七章 いとこのクララ?
私のいないところで話が進んでいて、
私はと言うと、ペルセウスとシリウス王子の
ドラキュラ公国は首都ディアボロの北に位置し、独立性が強く、魔王に忠誠を誓いながらも、自ら国と
大公はパパのお兄さんで、つまりは私の伯父にあたる人で、きっとパパみたいに、お茶目でいい人なのだろうと勝手に想像していたが、実際に会ってみるとずいぶん
大公の玉座はその姿が見えないようにレースのカーテンがかかっていた。それでもパパよりも大きな人影が透けて見え、背がすらりと高くて、威風堂々とした風格を備えていた姿がそこにあった。驚いたのはその声だった。パパみたいに渋い声ではなく、まるで青年のような伸びやかな声だった。
「遠路はるばるよく帰って来た。カイン。疲れただろう。ゆっくり休むといい。」
大公が言った。問題を起こして逃げて来た甥っ子に優しいこった。
「ありがとうございます。伯父上。」
私は深々とお辞儀をした。
「・・・」
大公はそれ以上何も言わなかった。私も何も言わなかった。いや、言えなかった。トラブルを起こして逃げて来たのだから、ペラペラ世間話したり、おべっかを使ったりできる雰囲気じゃなかった。
あっさりしたものだ。
快適な部屋だ。ワンルーム
どうなることかと思ったが、これは神様のお
翌日、のんびり
私はツヤツヤの金髪をとかしながら、
「
私は
私は
すぐに席について食事を楽しみたいところだが、私は席につくのを
大きなつばの
「おはよう。カイン。」
ご令嬢が
「おはようございます。」
とりあえず挨拶しとこ。
「座ったら?」
ご令嬢が席をすすめた。気を
「ありがとうございます。お言葉に甘えて失礼します。」
私はご令嬢の向かいに座った。ご令嬢はじっと私の顔を見た。落ち着かない。
「あの、私の顔に何かついてますか?」
ベタだけどそう尋ねた。
「私が誰だか分かる?」
ご令嬢が
「すみません。最近頭を打って
何度も言って来た
「その話、本当だったんだ。じゃあさ、勇者を
ご
「本当です。」
「勇者の
「いえ、気持ち悪くて。まずかったです。」
「そうなんだ。アハハ。」
ご令嬢は顔に似合わない笑い声を上げた。氷のようにすました美人かと思ったが、
「あの、私たち知り合いでしたよね?すべて忘れてしまったので、もう一度お名前を教えてもらえませんか?」
私は初めて友達を作ろうとしている小学生の女の子のような気持ちで言った。
「ああ、名前?クララだよ。」
クララはそう言って笑った。真っ白な歯が見えた。吸血鬼らしいに大きく
「私たち、いとこなんだよ。」
クララが言った。
「そうだったんですか!?じゃあ、クララは
「それが
クララはそう言っておもむろに大きな
「俺、男だよ。いとこのクラウス。君のいとこは俺だけだ。
クラウスは
「ちなみに昨日、
クラウスは
「実はさあ、
クラウスが笑いながら言った。何が
「
クラウスは
「ところでさ、カイン。君、このままここでタダ飯喰らいになるつもりじゃないよね?」
クラウスが私に
「俺は
クラウスは聞き捨てならないことを言った。負け犬だと?一体私が誰に負けた?
「何か言いたそうだな。」
クラウスは私の顔を見て言った。
「私は問題を起こしてここへ送られて来たのは事実ですが、負け犬と呼ばれる覚えはありません。」
私は静かに、
「分かってないなあ、カイン。教えてあげるよ。君がいつ、誰に負けたのか。」
クラウスはそう言って、紅茶を一口飲んだ。こっちはまだ何も手を付けていないというのに。いいご身分だ。
「カイン、君は
クラウスが言った。マーガレットの件は
「
クラウスが少し
「
何を悔しがればいい?私は分からなかった。パパが領地をもらったのはドラキュラ公国から兵士を
「カイン、君は自分が得るはずだったものすべてを
私が
「命がけでマリウス王子を連れて逃げて、マーラ
クラウスは怒っているようだった。
「
クラウスが言った。そんなふうに家族を思ったことはなかった。
「カイン、君は家族に身ぐるみはがされたんだ。
クラウスが
「俺も奪おうと思えばカインの命を奪える。
言葉の
「君が再び一人で飛べるようになるまで、俺が
クラウスのこの言葉で私の休日は終わった。
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