第十四章 勇者ペルセウス、魔界に連れ去られる
第十四章 勇者ペルセウス、魔界に連れ去られる
あれから
「カイン、もう
パパがやつれた顔で言った。日が昇る人間界での生活は合わなかった。
「でも勇者と
「
パパは疲れ切った声で言った。
「本当にもう
「そうだ。ペルセウスの
パパが悲しそうに言った。
「それだけは
私は
夜が明ける前にペルセウスの家を
「何だよ。こんな時間に。」
ペルセウスが目をこすりながら玄関の扉を開けた。
「ペルセウス君、カインの
パパが最大限の
「お父さん、最初から行くって言ってるじゃないですか。頭を上げて下さい。」
ペルセウスが
「ペルセウス、悪いんだけど、今から
私はそう言って、マスクを手渡した。ペルセウスは何も言わずにマスクを頭から
「これでいいか?」
何も見えなくなったペルセウス言った。
「さあ、行こう。」
パパが言った。
「あ、カイン、待ってくれ。俺は何も見えないんだ。手を引いてくれよ。」
ペルセウスがそう言って私に手を伸ばした。大の男に手をつないでくれとせがまれて、
パパが死ぬ気で私とペルセウスを
魔界に着くと、へばっているパパを置いて、マスクを
「カイン、どこに行ってたんだよ。一週間も姿を見せないなんて、探したんだから!」
マリウス王子が怒って言った。
「すみません。ちょっと
私はそう言いながらペルセウスの手を引いて王子から遠ざけた。
「誰かいるのか、カイン?」
ペルセウスがマリウス王子の声を聞いて尋ねた。
「誰だよ、そいつ。」
マリウス王子が見逃すはずなかった。
「あ、えっと、この人は・・・」
しどろもどろしていると、マリウス王子はペルセウスの
「カイン、そいつ勇者じゃないか!?」
マリウス王子が目をまんまるくして驚いた。
「
私は口ごもりながら言った。
「ペルセウス!?そいつ勇者ペルセウスだよね!?」
「・・・そうです。」
「何でいるんだよ!?」
「ですから本日の
私の言葉にマリウス王子は
「勇者と魔王の息子を戦わせるなんて、えげつない・・・。えげつないよ、カイン。ドン引きだよ。」
マリウス王子が悪魔を見るような目で私を見た。何て言われよう・・・悪魔はそっちだろう。それに私だってこんなの望んでない。何も言い返せないのが
「私は先を急ぎますのでこれで失礼します。」
私はペルセウスの手を引いてマリウス王子の横を突っ切った。
「カイン、今のは知り合いか?何か言い争ってたみたいだけど、相手は誰だ?」
ペルセウスが心配して尋ねた。
「家庭教師している生徒。気にしなくていいから。」
私は早口にそう言った。
「なあ、もうこのマスクとってもいいか?」
「まだ。ダメだ。中庭に着いたら取っていいから、もう少しだけ歩いて。」
私は早足で歩いた。ペルセウスはしっかりついて来た。
「カイン。」
「何?」
「決闘、必ず勝つから。そしたら、俺と一緒にローゼンバーグで暮らさないか?」
「は?」
ペルセウスがわけの分からないことを言って来た。イライラした。
「俺はお前の正体を知っている。初めて会った時から気づいていた。魔界から逃げて来た吸血鬼の女だって。」
ペルセウスが言った。私は思わず足を止めた。するとペルセウスがおもむろにマスクと外して、
「人間界で結婚しよう。」
頭の中で
ヤバい。勇者にバレてる。いろいろバレてる。
「なあ、カイン、返事しろよ。」
ペルセウスが迫って来た。カイン、本物のカイン、何でこんなバレてるんだ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます