第十三章 友人ペルセウス
第十三章 友人ペルセウス
人間界と聞いて、勝手に自分が暮らしていた場所を思い浮かべていた。
日が暮れた頃にパパと町に入ってギラギラと目を光らせて立っていると、どうみても
「もしかして、カイン?」
弓を持った男が言った。私の名前を知っていた。
「やっぱり!ちょっと感じが変わってて、分からなかったよ。久しぶりだな。」
弓を持った
「あ、えっと、先日頭を打って
私がそう言うと、男の顔から笑みが消えた。
「俺のことが分からないのか?ペルセウスだよ。お前の大親友じゃないか。」
ペルセウス・・・。もしかして、腰に
「パパ、あの
私が小声で横にいるパパに
「カイン、あれだ!間違いない。ペルセウスの
パパも小声で言った。私は本物のカインじゃないから分からない。
「カイン、一緒にいるそちらの人は?何か吸血鬼みたいでいかにも怪しげなんだけど。」
ペルセウスがパパをジロジロと見て言った。さすが勇者。ご
「やあ、ペルセウス君、私はカインの父でヴラドといいます。人間です。」
身の危険を
「あ、お父さんでしたか。失礼しました。最近ここら辺でも吸血鬼が出るんで。カイン、お父さんと仲がいいんだな。二人で飲みに来たのか?」
ペルセウスはパパの言葉を信じた。単純な奴だ。お仲間はまだ疑いの
「うん、まあそんなところ。」
私は
「じゃあ、皆で一緒に飲もうぜ。お父さんも
ペルセウスは
「えっ、あ、どうも。」
パパも私も
「カイン、周りが勇者だらけなんだが・・・ここは勇者の町か?人間たちの罠じゃないのか?本当にいつもこんなところで飲んでるのか?なぜここへ来ようと思ったんだ?死にに来たのか?」
パパが周囲を見渡しながら怯えて言った。
「記憶がないので、昔のことは分からないです。生きて帰って来ているんですから、死にに来た訳じゃないと思いますよ。」
私はパパに小声で答えた。
「なあなあ、カイン、仕事はどうしてるんだ?順調か?前に会った時は
ペルセウスが陽気な笑顔で尋ねて来た。
「家庭教師の仕事は順調かな。生徒に殺されかけたけど、生きているし。」
「それ本当に大丈夫か?ずいぶん
「いえ、それは結構。」
私は
「そうか。何か困ったことがあれば俺に言えよ。」
ペルセウスはもう酔っぱらっているのか、赤い顔で人の良さそうな笑みを浮かべた。ニコニコとよく笑う男だ。仕事でこういう先輩とか友達が欲しかったな。頼りになりそうだし、信頼もできる。言うだけ言ってみようか。
「ねえ、ペルセウス、頼みがあるんだけど。」
「何だ?」
「その
私はペルセウスの顔を
「いいけど。何に使うんだ?」
ペルセウスはすんなり
「え、いいの?」
私は驚いて思わず聞き返した。
「何だよ、貸して欲しいんだろ?でも使い道くらい教えといてくれよ。まさか人殺しに使うとか言わないよな?」
ペルセウスは自分で言って、
「人殺しには使わない。
私がそう言うと、ペルセウスは急に
「
ペルセウスの言うことは
「実は・・・カミラという女性を巡って
私は表向きの事情を話した。
「魔王の息子だって?そんなのと
「いやいや、それはいい。私の
勇者と魔王の息子の
「ペルセウス、
「
ペルセウスはそう言って
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