第九章 魔王アルデバランの息子たち
第九章 魔王アルデバランの息子たち
魔王アルデバラン。彼には二人の息子がいた。第一王子シリウス、第二王子マリウスだ。
二人は対照的でシリウス王子は
そう軍部はシリウス王子派なのだ。
隠し通路から城に忍び込むと、シリウス王子は真っ先にレグルス将軍に会いに行った。レグルス将軍もシリウス王子の帰りを待っていたかのように
「待たせたな。レグルス。」
「お帰りなさいませ。シリウス王子。全軍あなたに従います。」
レグルス将軍がそう言うとシリウス王子は満足そうに
あれよあれよという間にシリウス兵とレグルス将軍の部下たちがカノープス軍を
「シリウス王子、どうかお助け下さい。命だけは・・・私は
カノープスは最後の
私は戦闘に巻き込まれないように部屋の
「誰に
シリウス王子が尋ねた。命乞いに耳を
「私は
カノープスは涙を流しながらそう言った。
何ですと!?
シリウス王子が私の方を見た。その表情は
「カイン、申し開きすることはあるか?」
シリウス王子が私に尋ねた。耳を
「そんなことしていません。」
私は信じてもらえる訳もないことを言った。命乞いするカノープスの言葉だ。この
とにかくシリウス王子はカノープスの言葉を信じている。私を殺すつもりだ。逃げなければ。私は扉に向かって走り出した。
「逃げるということは認めたということだな?」
シリウス王子は当然私を追って来た。
「違います!」
無意味だと分かっていたが、私はそう叫んで扉を開けて飛び出した。
どちらに逃げてもシリウス兵とレグルス将軍の配下がウヨウヨしていた。
「捕らえろ!」
背後からシリウス王子が叫んだ。兵士たちが一斉に私を見た。
「待て!」
兵士たちを制止する声が響いた。少年の澄んだ声だ。
「マリウス王子!」
私が名前を呼ぶと、一瞬こちらを見て
「カインは第二王子であるこのマリウスの家庭教師だ。僕の許可なく手を出すことは許さない。」
マリウス王子が
助かった。
私を追って来たシリウス王子とマリウス王子がかち合った。火花が散る音が聞こえた。
「マリウス、遅かったな。」
「兄上、先にいらしたのですね。」
マリウス王子が冷たい口調で言った。やはり兄弟だ。似ている。
「ああ。魔王の危篤に乗じて、
シリウス王子が低い声で言った。
「
マリウス王子が嫌味っぽく言った。まだ子供のあどけない顔でよく言った。
「
シリウス王子が
「さあさあ、お
二人の王子の嫌味の
「ヴラド
シリウス王子もパパに
「兵を
パパは自分が
「まあ、いいだろう。
シリウス王子がそう言って先頭を切って歩み出した。血にまみれながらも王族の風格と
「カインは僕の味方だよね。」
シリウス王子の背中を見つめながらマリウス王子が私に言った。
「はい。もちろん。」
私はそう答えた。
「カインの
「え?」
マリウス王子は
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