第三章 カイン逃走中
第三章 カイン逃走中
隠し通路は城の外につながっていて、しかも出口の目の前に馬が
「カイン、馬に乗れる?」
王子が私に尋ねた。
「もちろん。」
私は自信をもってそう答えた。なぜなら中高共に
「行って欲しいところがあるんだ。近くの町にクレイジー・キャットっていう
王子はそう言った。『助けてくれる人』か。私は助けてくれる人じゃないのかな。心に引っかかるものを感じながらも私は引き受けた。
「その宿屋までお連れします。」
「ありがとう。カイン。」
王子と一緒に馬に
「もうすぐ例の
私は背にしがみついている王子に言った。青い顔をしていた。乗り物酔いしたのかもしれない。だが追われる身。のんびりはしていられない。
「王子、変装して宿屋に入りましょう。敵に待ち伏せされているかもしれません。」
私はそう言って
「分かった。」
そう返事をする王子の瞳は灰色で、髪はサラサラの黒髪だった。私はこの王子を私と同じ金髪の美少女に変身させようと決めていた。
「カイン、お前はとんだ
今まで礼儀正しかった王子が急に汚い言葉を使った。まったく、元気じゃないか。
「
「嘘だ!そのクルクル巻き髪の金髪のカツラとフリフリのドレスには悪意を感じる。それにお前が当然のようにドレスを着こなしているのもおかしい。日頃から
意外に鋭い王子だ。女ものの服は当然
「いいから着て下さい。待ち合わせの人、帰ってしまうかもしれないですよ。」
「そんな
「ずいぶん信頼の厚い方のようですね。誰なんですか?」
「会えば分かる。カインも知っている人だ。」
王子はそう言ったが、私は今日この
「私、
そう言っておいた。
「そうだった。でも相手の身の安全を守るためにもまだ言えない。」
王子はそう言って黙り込んでしまった。
そうか。この王子はまだ私を信用していないのだ。私が
「早く着て下さいね。外で待っています。」
私はそう言って
「私たち、姉妹に見えますかね。私のことはカインではなく、カミラとお呼び下さい。王子のことは何とお呼びしましょう?」
「マリウスだからマリーとかどう?」
王子が言った。そうかマリウスというのか。
「いいですね。マリー。」
恥ずかしそうにはにかむ王子にそう言った。
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