魔法と紅茶
バブみ道日丿宮組
お題:紅茶と車 制限時間:15分
魔法と紅茶
「紅茶には魔力があるの」
「それがこれ?」
少年が少女に問う。
そこには軍服をきた兵士が静かに紅茶を飲んでる。
つい数分前にマシンガンを撃ってた人物とは思えないぐらいに静寂だ。
「そう。人を従わせることができるの」
少年は知ってる。普通の紅茶にこんな力はないと。
「気になる? なら、あなたも飲んでみればいい」
紙コップに入れられた紅茶を受け取ると、それを一睨み。
「成分は秘密。ただ飲んだら車の運転は控えたほうがいい」
アルコールかなにかなのだろうかと、少年は疑いながら口に含む。
「……ん」
そこにあったのはほんのりと甘さ。自販機で売ってる味と大差ないように感じた。
「これであなたもわたしのいうことを聞くようになる」
「……そうなの?」
「嘘。成分は同じだけど、魔力は込められてないの」
なんだと少年はがっかりする。
自分が誰かに従う姿を想像して、少し楽しみであったりしたのだが。
「それも嘘。やる気がでる魔力は込められてる」
「ほんと?」
「えぇ、ほんと」
手をにぎにぎと動かしてみるも違いはない。立ち上がり、座ってみても同じ。
そもそもやる気が出るというのはどういう効果が現れるのだろうか?
「そろそろここも激戦区になるから行きましょう」
少女は紅茶セットを鞄にしまい始める。
「この兵士はどうするの?」
「運転手になってもらう」
「車の運転は控えたほうがよかったんじゃないの?」
当然生まれる疑問に少女は笑う。
「それも嘘。真実はわたしだけが知ってればいい」
少女が手を叩くと、兵士は立ち上がり部屋の扉をあける。
その動きはまるで執事だ。
「ついてくれば、魔力の秘密がわかるかもしれない」
ならと、少年も腰を浮かす。
紅茶には興味はこれっぽっちも浮かばないが、魔力には興味津々。
「ほら、あなたたちも行くわよ」
「? 僕ら以外に誰もいないだろ? えっーー」
少年が振り返ると、壁という壁から人が滲み出てた。
それはまるで水に浸される紙のよう。
「これも魔力?」
「そう。監視者。警備をお願いしてるの」
ここは激戦地。いつ火種が飛んでくるかわからない。
そういって、少女は部屋をでたので、慌てて少年はあとを追った。
魔法と紅茶 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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