姉と妹

バブみ道日丿宮組

お題:神の月 制限時間:15分

姉と妹

 朧月夜。

 それはいかなるものであっても、到達できない剣術の奥義。

 かつてはその技を使って、正義をなしたといわれる一族がいた。

「はぁ……はぁ」

 だが、それはかつて。

 今の一族は落ちぶれた貴族階級に属してる。

 そんな状況であっても、長女である少女は稽古を怠らない。

 竹刀を振るうと、風を切る音が道場にこだまする。

 

 神の月。

 

 風を切る技はそう呼ばれてる。

 人に使えば、四肢が飛ぶとまでいわれたその一撃は、禁忌ともいわれてる。

 少女は主にこれを掃除に利用してる。切った風を完全にコントロールしてた。ホコリが舞い、一箇所に集まる。音は凄いが、起こってることは小さなこと。そのため人に向かって打っても多少は問題ない。

 もっとも少女は剣を人に向けて使うことはない。

 戦うことを嫌った少女は、学校であっても力を出さない。

 鍛えられたその身体はなにごとであっても対処が可能。だが、少女は下手なふりをする。そのため、上級貴族からは毎日のようにバカにされてる。

「お姉ちゃん、終わった?」

「だいたい」

 道場に入ってきたのは次女。

 学校の制服を手に少女へと近づく。

「お疲れ様。着替えてご飯にしよう」

 手慣れた様子で竹刀と制服を交換する姉妹。

 次女は道場の端にある台座へと向かい、竹刀を下ろす。

 その様子を見ながら、少女は道着を脱ぎ、制服を着た。

「お姉ちゃん、そろそろブラしたほうがいいよ」

 振り返った次女はジト目で少女を睨む。

「まだ必要ない」

「いや……大分大きいから」

 少女の胸は一般高校生の平均以上。つまりはぼいんであった。

 そうであるのだが、少女はブラジャーを付けず、そのまま上に学生服を着る。

「今度一緒に買いにいくからね」

「機会があればね」

 もうと唸り声を上げる次女を労いつつ、少女は道場を後にした。

 残されたのは、汗を含んだ道着。

「脱いだら、洗濯カゴに入れてよね」

 それを広い、次女は姉を追った。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

姉と妹 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る