14、お帰り
GM:冒険者たちは、ディガッド山脈を下り、ハーヴェス王国の門をくぐる。門番が君達のことを見ると慌ただしく動き出し、何やら報告に行っただろうことがわかる。そのおかげか、〈
イヴ:一人露骨にテンション低いやつが居ます。
エリック:二日酔いが……。
GM:ロレーナは、甲冑越しでもわかりそうなほどに嬉し気に君達を迎える……が、一人沈んでいるイヴを見ると、大丈夫か……? というような顔で見はするものの、事情は聞かず。
ベルジ:聞かなくていいです(笑) 「黄金の兜のデュラハン自体は討伐しました。結果的にデュラハンはアンデッドで、蛮族ではありませんでした」という話と、……デュラハンの正体は、近衛兵の魔法剣士の遺体だったことを伝えよう。ダイケホーンからまた遺体が輸送されてくるだろうということも。弓使いに関しては、スケルトンアーチャーとして作り替えられていたから、遺骨になるけれど。
エリック:「これがその、デュラハンの被っていた黄金の兜だ」持って帰ってきたものをロレーナに渡そう。「
GM:「ああ、ダイケホーンの方から。しかし、
ナタリー:うわー!
イヴ:ま、まさか……!
GM:「ご苦労! このヴァイス・ハーヴェスが手ずから報酬を与えよう!」
ナタリー:なんだこのフリーダム国王!
エリック:思わず「マジかよ……」って口に出すよそんなの!
ナタリー:「やば……」
イヴ:「ぶっ飛んでるね」
ヨル:思わずびっくり顔。
ベルジ:「うわ本物だ! 本物の王様だ! こんな距離で見るの初めてだ~!」
GM:そんな反応にフフンと嬉しそうにしながら、「よくぞやった勇者たち、望みの金額を述べよ」……とは言うんだけれど、ヴァイス・ハーヴェスは片手に、お金が入ってるんだろうなあという具合の袋を抱えている。
エリック:そんな雑なことある?
ベルジ:望みの金額とか言われたら、顔しわしわにして「こまるよー!!」
イヴ:王の前で酔っ払いやってられないから、頑張って顔をきりっとさせました。
GM:ヴァイス・ハーヴェス、『早く言わんか』みたいな顔してるんだけど……ええと、そうだな。ヨルかな。ロレーナがヨルの傍に寄ってって、こそこそっと、「恐らく20000ガメルほど用意しているから、その金額をぴったり言ってやってくれないか」
ヨル:ちょっと戸惑ってから、「……20000ガメルほど、あれば……」
ナタリー:空気を読んだ(笑)
GM:「中々殊勝な心掛けだ」と言いつつ、ヨルの方に寄って行って、貨幣袋を押し付けます。ずしっ。
ヨル:俺が受け取っていいのか……? って顔で他のメンバーを見ている。
ナタリー:可哀相に。(他人事)
エリック:20000ガメルだったかー。
イヴ:20000ガメルはわからん。
ベルジ:なんで王様来てるんだよーしおしお。
ヨル:俺でよさそうだな……。
GM:「さて、お前達。早速だが名前を名乗ってくれるか。特技なんかも、言ってくれれば覚えやすくあるが」
ベルジ:身体がでかいのでちゃんと片膝をついて、すーっと息を吸い込んでから、「……賢神キルヒアの敬虔なる信徒にして、イヴの養子、『ベルジ』と申します。18で未だ成人は過ぎて居りませんが、仲間たちに日々教訓を与えられながら精進しております。……此方の大楯、グレートウォールというものでして! こちらでこう、魔物の攻撃を受け止めてやるのが僕の役目であります!」
GM:「ふむ、ベルジか。其方は?」
イヴ:「今この子……あー、彼から、紹介がありましたが。イヴ……本名を、エーヴ・クリフォード・フルノーといいます。皆には、呼びやすいようにイヴと呼んでもらっています。特技は、……そうですね。魔導機を扱うエルフは私くらいかと思います。一番得意なのは、ナイフを差し込んでブラスト。ダガーブラストが一番得意です」
ベルジ:そんな名乗り方ある?
イヴ:これ以上のことは言えないです。もう足が……。
ヨル:そういえばこの人、二日酔いのまま下山してたんだったな……。
エリック:「名をエリック、見ての通りのリカントです。生まれはこの辺のすぐそこでして、日頃より、閣下のご活躍は耳にしております。リカントという種族がここまでなじめているのは、閣下の政治の賜物でありましょう。得意技は……際立った特技はないもので、手数でそれを人並みに保っているというようなものですね。こいつら4人とも凄いんで、置いてかれないように頑張ってます。へへ」
ナタリー:「私はナタリーと言います。みんなからは一応、ネティと呼ばれております。しがない森林管理人の娘でしたが、思う所があり冒険者をさせていただいております。私に出来る事といえば、この弓を用いて生きるくらいで……。やはり、敵を射抜いてこそ弓使いです」
ヨル:帽子を脱いで、胸に当てる。「……ヨルと申します。見ての通り、ナイトメアの魔法戦士です」
GM:そこで一度話を切るのなら、ヴァイス・ハーヴェスは、「種族の差か。つまらんな。なあ、ロレーナ?」と。ロレーナが視線を受けて兜を外すと、彼女の額には2つの角が生えている。
ヨル:少し驚いた顔をして其方を見る。
GM:冒険者たちが角を見たのを確認すれば、ロレーナはまた兜を被ってしまう。
ヨル:「……これまでは、定住地を持たぬ流れの身であったが、ご用命とあらば、いつでも承りたい」
GM:「ふむ……ベルジ、イヴ、エリック、ネティ、ヨル。覚えた。ああ、覚えたぞ」と頷き、ヴァイス・ハーヴェスは冒険者に背中を向ける。それから……当社比一番格好いい声で、「お前たちを頼ろう。お前たちもまた、必要な時には遠慮なく俺を頼るといい。ハーヴェス王国の有事に……無論、そんな日が無いに越したことはないが、お前たちが英雄となっていることを期待する」……それだけ一方的に言い残して、ハーヴェス王は応接室を出て行く。
イヴ:若い王って感じだな~!
ベルジ:「なんか強そうだね」
ナタリー:「そりゃ、王様だもの……」
ヨル:帽子を被り直しておこう。
GM:ハーヴェス王が出て行ったのを確認すると、ロレーナが改めて敬礼の型を取り、「いつかと言わず、もしかしたら、
イヴ:ええやん。
ベルジ:「任せて!」
エリック:あまりのビッグネームに唖然としてたけど、ここらで正気を取り戻して、「あ、勿論、お声がけいただければ」
GM:ロレーナは去る前、ヨルに対して一言残していく。「穢れ程度の事、気にする必要は無い。少なくとも彼が、この国の上に立っている限りは」
ヨル:「エリックさん、イヴさん、ナタリーさん、ベルジ。……これから、よろしく頼む。宜しく、おねがい、します」
ベルジ:「これから『も』でしょ?」
ヨル:「嗚呼」
ナタリー:「これからも、よろしくね」
エリック:「今更種族とか身分がどうとかっていう奴はいないでしょ?」
ベルジ:「そうだよ? 種族のことなんて言ったら僕は、リルドラケンのエルフだよ?」
エリック:「……イヴ」
イヴ:「これはもうね、何言ってもやめないから」
ベルジ:「あ! ねえ、折角正式に5人パーティーになったならさ。やることがあるよね?」
ヨル:「やること」
ナタリー:「あら? 何かあったかしら……」
ベルジ:「ふふん! パーティーの名前、決めなきゃ!」
このダンジョンが人族に牙を剝いたとき、立ち向かうのは、成長した彼等かもしれない。
ソード・ワールド2.5リプレイ 出目弱者達の【金頭闊歩】 篝火の翁 @takeustake
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