13、戦いの後に

GM:エリックの一つ目の拳がデュラハンの胸部の装甲を打ち砕き、もう一つの拳が、黄金の兜を捉えた。黄金の兜が粉々に砕け散ると、その中からは、金髪の青年の顔が現れた。血の気はすっかり失っているが、きっと、そう。ロレーナが探してくれるように頼んでいた『魔法剣士』こそ、彼なのだ。


エリック:倒れる彼を見下ろしながら、ゆっくりと、[獣変貌]から元の姿に戻る。


GM:デュラハンは首のないものだが、これは、首のある死体だ。それが弄ばれている。恐らく、敵方の操霊術師の仕業だろう。


イヴ:あのクソ人間のせいだろうね! あー、本当、酷い事するやつも居るもんだ。


GM:戦闘中に感じていた『誰か』の気配は既になく、君達が出来る事はもう、彼等の遺体を運んであげるくらい。


ヨル:「……依頼は、黄金兜の蛮族についての調査、だったよな」と言いながら奈落の魔域シャロウアビスを見る。


ナタリー:「危険よ、今の私達では。報告だけする方が良いわ」


イヴ:「無理、ぼろぼろ、早く帰りたい、やだ」


エリック:「……身元の分かるものでも、持って帰ってあげればいいかな」


GM:そうだね、魔法剣士の方は遺体そのものだけれど、弓使いの方は、確かに黒い髪が所々に残っているだとか、持ち物がハーヴェス王国軍のものだとか……。その程度しか、もう残ってない。


ベルジ:「一度ダイケホーンに戻って、狩人さんの力を借りよう。彼等だったら遺体を運ぶ術を知っているだろうし、ハーヴェスに遺体を返還するのだって手伝ってくれるはずだから」略式ではあるけど、祈りを捧げておこう。「貴方の神の導きがありますよう」


ヨル:……見様見真似で祈りを捧げておく。


ナタリー:黙祷だけはしておこうかな。


エリック:そういうのは似合わないと思ってるから、砕け散った黄金の兜ってやつを、布にでも包んでおく。危険な物みたいだし。


ベルジ:「……帰る用意を、しないとね!」よいしょ、と立ち上がる。GM、『皆が移動できるくらいにはHPを回復しました』って宣言だけでいい? 


GM:構わないよ、もうエンディングだから。


ベルジ:じゃあ帰ろうか、皆。


GM:ちなみに遺体に剥ぎ取りも出来るけどどうする?


イヴ:外道じゃん……。


エリック:この人達の遺体を魔物の死骸と同じ扱いしたくないんだけど!!


GM:はい。


ベルジ:取り敢えず、ダイケホーンの人達に、黄金兜のデュラハンは倒したよって報告をしに行こう!


エリック:この二人って、俺達で運んであげられそう?


GM:地図で教えてもらった横道を使えば、苦も無く連れて帰ってあげられそうだ。


エリック:だったら、連れて帰ろう。


ベルジ:了解、抱えて行くね。


GM:では、君達はダイケホーンの砦まで戻ってきた。


ベルジ:あ! ご遺体を街中に突然搬入する訳にも行かないし、僕は砦に入らずに外で待っていようと思うから、誰かが街の偉い人に事務報告しに行ってほしい。


エリック:あー、じゃあ俺が行くよ、兵士さんにでも話通せばいいだろ? 「新しく遺体が見つかったんだが、対処してくれるか」ってぐらいだけど。


GM:兵士が遺体を確認した後、町のえらい人が呼ばれてきて、「こりゃ大変だ! 急いでハーヴェス王国に使いをやらないと!」……って流れで、君達がハーヴェス王国に帰るより先に、ダイケホーンの方から使いが出るね。後日、ハーヴェス王国の方から遺体を回収しにくる、という形になる。


ヨル:その間に俺は、アールの家に寄っても、良いだろうか。


GM:アールの家には祖父のバートランドしかいない。ヨルの顔を見ると、「ああ、貴方は昨日の……。アールは今、狩りに出ているから、日が暮れるまでは帰ってこないと思うよ」


ヨル:「……わかった」門で待ってる仲間を待たせる訳にはいかないから、今は待たないでおこう。


GM:では、遺体はダイケホーンによって回収、保管され、荒らされないような場所で暫し眠ることになった。君達が黄金兜のデュラハンを倒したことがじきに周知されると、「よかったらうちで食べてきな」と、食事を振舞ってくれようとする狩人がわらわらと集まってくる。挙句の果てに、「こんなに人が居るなら宴会でもするか!」という誰ともつかぬ人の冗談が本気になって、食った飲んだの宴会が冒険者たちを中心に起きるね。


ベルジ:「イノシシ食べたい!」


イヴ:「たまにはお肉も食べよう。肉を食べよう。疲れにはお肉」


GM:この宴会、何か無ければ寝るような時間までひたすら続くから、抜け出したい理由なんかある人は申請して!


エリック:俺は率先して宴会を楽しんでます! 昨日話したリカントの狩人たちとなかよくなったり、なんかコネを広げようとしていると。


イヴ:途中で抜け出そうとして絡み酒のやつに捕まって、ヤケになってお酒飲んでは飲み潰れてると思う。「いいよ! もう! 今日はもらったもの全部飲む!!」


GM:エルフが珍しいからそれはもうなんか、モテてる。「おお! ねえちゃんすごいね! ほそいのに良く入るもんだ!」


ヨル:部屋の隅の方で飲んでいて、誰かが絡んで来たら大人しくその人と飲んでる感じ。


ナタリー:弓使い……狩人たちと、弓あるあるを語っています。「弓、楽しいんだけどさあー。鎧にカンッてなると、つらいー」


ベルジ:弓女子のユミトーク? わけわかんないなこれは……。


GM:「え! ネティちゃんの弓軽くな~い?! 華奢~」


ナタリー:「ええ! もしかしてもっと重いの使ってんの~? かたくな~い?」


ベルジ:人のいっぱいいるところで、自分達の冒険譚をちょっと大袈裟に脚色しながら語ってる。「その時! ネティ姉ちゃんが、大きな弓をぎいと引いてッ!」


ヨル:あの、抜け出してアールの所に行きたいん……だけど……その……。


GM:うん? 許可出来るよ? 何を迷って、……あっ、迷子。


ヨル:そうなんです、此処を出たら迷うんです俺。


GM:あの……ほら。アールが宴会に興味を持って、傍まで来てたことにしよう。


ヨル:いいの! 助かる! じゃあちょっと、アールに話をするために宴会を抜け出そうかな。ドライフルーツか何か買っておいて、朝に貰ったけれど使わなかった干し肉とかと一緒にアールに渡す。「使わなかったから」


GM:ドライフルーツだけ受け取って、「あげたものだから、受け取っておいてくれよ」


ヨル:「……悪いな」


GM:「……中は大騒ぎしてるみたいだけど、貴方は、うちで泊まってくの?」


ヨル:「……迷惑じゃないなら」


GM:「これくらい、なんてことないよ」……そんな会話の後は、二人でアールの家に向かいながら、またぽつぽつと「金ぴかを倒してくれたんだってな」


ヨル:ほんの少し笑って、「依頼だからな」


GM:元々アールも口数が多い方じゃないから、ヨルが静かに歩いていくなら、アールの方も特に何も言わずに自宅を目指すだろう。


ヨル:「恐らく、事件現場の横穴に、奈落の魔域シャロウアビスというダンジョンが発生している。お前が見たオーロラは、そのありかを示すものだった。これから、ハーヴェス王国の方へ報告して、ことが動くのを待つが……。お前も、狩人たちには其方に近付かないように言っておいてくれ」……それから、ちゃんとアールの方に視線を向けて、「オーロラのこと、お前が話してくれたおかげで、警戒出来たし、解決も早まるだろう。ありがとな」


GM:「ん。たまたま気付いただけだし、どうってことない。シャロウアビスってやつのことは、俺が言っても信じてくれないだろうし、大人が酔ってない時に言っておいて」


ヨル:「ああ」頷く。


GM:酔っ払い4人はどうする? というか、その場で寝潰れてもおかみさんが2階に運んで泊めてくれるから、色々な心配は無用なんだけど。


イヴ:机に突っ伏して寝始めたから2階に運ばれました。


ベルジ:女将さんを手伝ってイヴを2階に上げました。


エリック:あー、その頃には多分、足取りちょっとおぼつかないくらいの、気持ちいい酔い方をしてるので『手伝おうか』っていうか否かをちょっと悩んだ後、「ベルジ、頼んだ」


ベルジ:「まっかせてよ、エリックの兄貴!」


エリック:「はは、ちょっと飲みすぎちゃったみたいだ」


ベルジ:「いいじゃん、こんな時くらいは。大人って飲みたいもんなんでしょ?」子ども面しておこう。


エリック:「たまにハメを外すくらいならいいんだよ」


ベルジ:ネティ……姉ちゃんも……楽しそうだもんね……喋ってて……。


ナタリー:仲良くなった弓女子の家に泊まって、弓女子会を続けたいです。


GM:べろんべろんに酔ってる弓女子は「あーいいよ! うち来なよー!」って感じであげてくれるよ。


ナタリー:陽キャっぽ~い!!


GM:皆それぞれ眠りにつく感じで良いかな?


ベルジ:明日イヴが起きたら水を渡せるくらいの位置で寝る!


エリック:ベルジが2階から降りてくるのを待ってる間に、1階のテーブルで寝ちゃって、そのまま寝かされていたい。


GM:個性的な一行だ……おやすみなさい……。そしておはよう。


ベルジ:入眠から目覚めまでの間隔があまりに短い。


GM:ダイケホーンでやっておきたいことがあればお聞きしよう。


ナタリー:真剣に移住を考えつつ、酒場の方に合流する。特にやりたいことは無い。


イヴ:朝なら多分寝てる。二日酔いで。


ベルジ:イヴの介護してる……。


エリック:酒場寝落ち組の、三人分の朝食を買ってきてあげようか……。


ヨル:奈落の魔域シャロウアビスに関する注意喚起をしたいんだけど、何処に行けば良いかな? というか、いけるかな……?


GM:人脈の広い相手を狙うなら、圧倒的に、酒場のおかみさんかな。酒場まで迷子にならずに行けるかは…………。


ヨル:……一度門の方に行ってしまって、「酒場はどこだ」って門番に聞いて案内してらおう……。


GM:歩いて案内してくれるよ、酒場です。


ベルジ:これ多分、酒場三人組の身支度はまだ終わってないんだよなあ。


イヴ:だと思います。酔っ払いが起きられる訳がない。


ベルジ:「イヴ、もうちょっと、もうちょっと頑張ったら動けるようになるよね、ね?」


イヴ:「ええ? うー。うーん。わからん。1時間後の私に聞いて。無理」


エリック:「あのなベルジ、酔っ払いってどうしようもないモンなんだ」


ベルジ:復活するまで僕が担いで歩くか……。


エリック:ベルジの荷物、ちょっとこっちで持ってあげるよ……。


GM:酔っ払いを背負っていても、エンディングだから大丈夫。


ベルジ:やったー! なら、ヨルが女将さんに報告をしたら、後は下山しよう。


ヨル:あー、じゃあ、内容としては、『奈落の魔域があるから、横穴には近付かないように』、くらいで。上手い喋り方は、女将さんが考えてくれると思うから!


GM:そんな感覚で構わないよ! じゃあ、下山という形で良いかな?


一同:はーい!











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