11、横穴

エリック:「成程な……」


ベルジ:「もしかして、その特別なデュラハンも、その奈落の魔域シャロウアビスから出てきたのかな……?!」


イヴ:「あー、無くはないね、可能性は。とにかく、現場に行ってみようか。明るい内に目指した方が良いよね。夜の山はもう嫌。有り得ん」


ベルジ:「ありえんかー!」じゃあ早速、ささっと地図を買って来よう。「店長さんいる?!」


GM:「おう、いるよー」狩人が早朝に買って行くこともあるから、ってことで、しっかり開いてるよ。


ベルジ:「この周囲の最新の地図をくれ……襲撃地点の側の地図だ……」


GM:路線変更か? 「地図か、じゃあ、ちょうどまた地殻変動で新しい道が見付かったから……この辺な」と指し示す。


ベルジ:「うわ! ありがとー!」


GM:ダイケホーンから襲撃地点を通る大きな山道があるんだけれど、それとは別に、襲撃地点に向かえる歩きやすい脇道が出来ているみたいだ。その横道を伝っていくことで、襲撃地点まで身を隠して行動出来そう。


ベルジ:助かるー!! 地図のお金お幾ら?


GM:手間考えて、10ガメルくらいかな?


ベルジ:この人の頑張りを、10ガメルで買いました。「地図有難う! どうにかしてくるよ!」


イヴ:ベルジが地図を買ってる間に、魔晶石を買っておこうか。魔晶石売ってる?


GM:売ってていいよ、ちょっとしたやつなら。


イヴ:じゃあ、MP4点分の魔晶石を2つ買っておく。


GM:どうぞ、お金減らしておいてね。


イヴ:よし、以上。


ベルジ:「今教わった横道通って、現場に行こう! 皆もそれでいい?」


一同:賛成!


GM:了解、では……。日が昇っているから蛮族の気配は遠く、脇道を通って行けば敵と遭遇することも無くスムーズに現場まで到着出来るね。その付近、特に何かが居るというわけでもなさそうだ。判定はしなくても大丈夫だよ、本当に何もいない感じ。


ナタリー:本当に?


GM:これはマジ。


エリック:じゃあまあ、ロールプレイ的な話なんだけど……上からまた【スパーク】撃ち込まれたら嫌だし、高台があれば警戒したい。


GM:了解。大丈夫だけど、ロールプレイ的に格好良く警戒してて。無事、現場に辿り着くと、荷物や遺体は残っていないが、血の跡がこびりついていたりして、まあ何かあったな、というのが一発でわかる有様だ。結構激しい戦闘があったのがわかる。この周囲に蛮族やアンデッドの気配はなく、噂の横穴がぽつんとあるだけだ。


イヴ:横穴かあ。


GM:横穴の中、真っ暗です。


イヴ:エルフだから〈暗視〉があるんだけれど、それでも見えない?


GM:見えないね。外から見る限りでは限りなく真っ暗だ。


イヴ:こわ。


ベルジ:シャロアビでは?


ナタリー:シャロアビっぽいなあ。


GM:穴自体が奈落の魔域シャロアビって訳ではないから、其処の所はご注意。


ベルジ:くろくてまんまるなやつだもんね、シャロアビ。


ナタリーネティ先生:そうよ、くろくてまんまるよ。


GM:まあ、ダイケホーンの人々が気味悪がって入らないのも納得の暗がりだね。


イヴ:……此処で気付いたんだけど。【フラッシュライト】より【ライト】の方がMP消費少ないんだね。トロールの目潰しする時、【ライト】でも良かったかも。


※【ライト】

任意の地点を光らせる真語魔法。この魔法は物体に掛けて持ち歩くことも出来るので、光る剣が作れるぞ。


※【フラッシュライト】再掲

マギスフィアを変形させ、灯りを点す魔動機術。真語魔法にも【ライト】という似た効果の魔法はあるが、【フラッシュライト】の方が、名前からして眩しそうなイメージがある。


ベルジ:いやほら、【フラッシュライト】の方が眩しそうだから! 目潰し出来そうだから!


イヴ:確かに名前的に眩しそうだな。あの時の判断は間違ってなかった。今はちょっと光らせたいだけだし、その辺の石に【ライト】掛けて放り込んでみようかな。横穴に。


GM:いいね、行使判定どうぞ。


〈魔法行使判定〉【ライト】

イヴ(ソーサラー):[1,3]+9=13《成功!》


GM:この光る石、入り口からどのくらい奥まで投げる?


イヴ:うーん、5mくらい?


GM:その辺りなら、ライトがぼんやり周囲を照らしているのが見えるくらいだ。岩肌が見える感じ。


イヴ:ふむ。入り口入ってすぐ駄目、という訳ではなさそうか。


GM:石に反応して動く蛮族がいる訳でもなさそうだね。


イヴ:ほいほい。


ベルジ:一応、この現場に対して探索判定を振っておいてもいいかな? ……僕は固定値がゴミだから、あんまり振らせても意味ないけど。


ヨル:じゃあ手伝おう!


ナタリー:私も一緒に見てみよう、何かあるかな?


エリック:俺はちょっと、別の所探索してみようかな……今回は振らないでおく。


GM:じゃあ、3人か。判定どうぞ、目標値13で。


〈探索判定〉

ベルジ:[3,1]+4=8《失敗》

ナタリー(レンジャー):[3,3]+7=13《成功!》

ヨル(スカウト):[4,5]+6=15《成功!》


GM:では、成功した二人は、車輪の後や馬の蹄の痕など、デュラハンの特徴には一致することがわかる。特に深い情報はないけれど、こんな感じかな。


ヨル:一応、全員に情報共有しておこうか。「デュラハン、だろうな……」


エリック:うーん、他のメンバーよりほんの少し探索範囲を広げて、深く探すってよりはぱらぱらーっと周囲を見回してみようと思う。


GM:そうだなあ、周囲は切り立った崖のようになっている。少し山を切り開いて作った道のようだ、って感じ。襲撃を受けやすい形はしてるね。


エリック:桶狭間みたいな?


GM:割とイメージはそんな感じ。登って来る相手に対しては待ち伏せがしやすそうだ。


エリック:ふむ……。あ。穴の中って、レンジャー技能は死にますか?


※レンジャー技能は死にますか

人工的建造物内だと、探索にレンジャー技能が使えないことから始まった表現。グリーンベルトというアイテムを身に着けることで、装備者が常に自然環境にあるという扱いで判定を行うことも出来るが、このレベル帯では高価すぎるアイテム。


GM:大丈夫。岩肌が見える感じの、自然環境の洞窟。


ナタリー:自然環境だー!!!


ベルジ:「周辺は、何もなさそうだなあ」


エリック:「じゃあ、調べるとしたらこの穴の中か」と、穴の方に視線を向けよう。


ベルジ:「真っ暗だなー、何も見えないなー、何か、灯り、うん? え、何あれ、5m先くらいで光ってる何あれ」


イヴ:「私がやった」


ベルジ:「なんだ、イヴがやったのか。ならいいや」


イヴ:「すぐ傍に蛮族が居るって訳ではなさそうだよ」


エリック:「まあ、何かいれば少しは反応があるだろうな……」


イヴ:「待ち伏せしてるならわからないけど」


ベルジ:「……試しに入ってみようか」皆! 先頭は、防護点の高い僕と、レンジャーやスカウトの高い人、どっちが良いと思いますか!


ナタリー:防護点ベルジかなあ。


エリック:防護点ベルジに……お任せしたい……。


ベルジ:任せて! じゃあ、何か罠があったら堂々と引っ掛かって、防護点と高いHPで受けます!!


エリック:純粋なステータスって暴力だから。


ベルジ:HP51、防護点13! 行きます!


GM:これは……ベルジが『先頭で』入る? それとも、『単独で』入る?


エリック:先頭で。ちゃんとついて行くよ。


イヴ:殿しんがりは務めよう。スカウトあるし。


ナタリー:エリックの後ろに!


ベルジ:【ライト】を掛けられた石を拾って、それを前に翳しながら、行こう。


GM:了解、では……。暗視持っている人はわかるんだけれど、途中までは普通の暗がり。ただ、10m程奥には、本当に何もない『黒』が広がっているのがわかる。


ベルジ:【ライト】された石を近付けても、真っ黒な場所がある、と。


ナタリー:シャロアビですねえ。


エリック:道幅はどのくらいある?


GM:そうだな、4、5人が隣り合って歩いても問題ないくらい。


ナタリー:某ロックバンドみたいな感じで、ボックスステップで前進出来るじゃん!


エリック:ええ?


ヨル:どうしてそんなことを……。


ナタリー:ほら、丁寧に丁寧に描きそうな感じで。


ベルジ:しょうもな!


イヴ:これリプレイに書かれることわかってる? もしかしたらバンド名が文字起こしされるかもしれないんだよ?


ベルジ:オブラートに包んで書いておくね。


ナタリー:実際にはしないから! しませんから!


イヴ:今度変なこと言ったら、単独でシャロアビに突っ込んでもらうからね。


ベルジ:光る石を持った腕を前に掲げた状態で奥まで進んでいくけれど、どうなる?


GM:そうだね、とぷんと水の中に入るみたいに、光が見えなくなる位置がある。此処まで近付けばわかるけれど、直径3mくらいの真っ黒な球体が、横穴の奥に存在するね。奈落の魔域シャロウアビスについて今のところ理解出来てないセージ、もう一回見識判定振っても良いよ。目標値14で。


ベルジセージ:やったー!


〈見識判定〉

ベルジ:[2,4]+9=15《成功!》


ベルジ:「これが奈落の魔域シャロウアビスの触り心地……」


イヴ:「え、ベルジ腕消えたじゃん」


ベルジ:「持ってかれちゃったよー」


イヴ:持ってかれたァ!!


GM:まあ、手突っ込んだくらいなら、引けばちゃんと戻って来るよ。


ベルジ:返ってきたわ。


イヴ:明らかに異常な物が其処にあるんだ……。


ベルジ:「入ると全く違う世界が広がってるんでしょ? 顔だけ突っ込んでみようかな僕」


イヴ:「やめた方が良いと思うけどなあー?! 良くないと思うなー!」


GM:皆が奈落の魔域シャロウアビスについて触ったり考えたりしている、ところで。最後尾の……イヴ。危機感知判定を振ってくれ。


イヴ:最後尾って、言ったねえ、私。


GM:目標値は15で、どうぞ。


〈危機感知判定〉

イヴ(スカウト):[4,4]+9=17


エリック:よく当てた!


GM:では……イヴ。背後、つまり横穴の外から、【ライトニング】が詠唱されていることに気付いていい。


〈魔法行使判定〉【ライトニング】

???:[6,3]+8=17《成功!》


イヴ:【ライトニング】?! 【スパーク】じゃないのか!


GM:気付いたイヴは自動で回避出来て良い。標的はベルジに対して。他のメンバーは、【ライトニング】が貫通したかどうかを判定してくれ。


イヴ:いや、待って。今回も撃ち落としに挑戦してもいい?


GM:ああ! いいよ、試してみて。


〈魔法行使判定〉【ライトニング】→撃ち落とし、目標値17

イヴ:[3,2]+9=14《失敗》


イヴ:あー! 駄目だ……!


GM:じゃあ、全員貫通判定を。


〈貫通判定〉4以上で回避

イヴ:1d6→3《命中》

エリック:1d6→4《回避!》

ナタリー:1d6→4《回避!》

ヨル:1d6→4《回避!》


イヴ:私だけ?!


ヨル:撃ち落としに全力掛け過ぎたか?


ベルジ:撃ち落とす為に射線に立っちゃったのか。


GM:命中したベルジとイヴは、精神抵抗力判定を振ってくれ。


〈精神抵抗力判定〉

ベルジ:[6,3]+9=18《成功!》

イヴ:[6,2]+9=17《成功!》


GM:いいね、ちょうど精神抵抗力が高い二人じゃん。威力出すよ。


〈威力決定〉

???:[3,3]→4点


GM:威力が4点、魔力が8点。足して12点。精神抵抗力判定に成功しているから、半分の6点を受けてくれ。


ベルジ:HP51から6引いて、残り45!


イヴ:HP28から6引いて、残り22。


ベルジ:「イヴ!」


ヨル:これ、名前を呼んで振り向いたら、ベルジの背中を守るようにイヴが立ってるの……?


ナタリー:感動のシーンじゃん! 息子を守る親じゃん!


イヴ:「ああもう! 生意気なッ、許さないよ!!」ってキレてるけど、うん。


ベルジ:「あー……イヴはイヴだったや」(笑)


ヨル:もういっそ流石だよ(笑)


GM:イヴが睨む先で、黄金の兜を被ったデュラハンが颯爽と姿を現す。片手に持ったを振るえば、戦車を引く首なし馬が嘶いた。その後ろには、その腕に似つかわしくない質の良い大弓・・・・・・を持った骨型のアンデッドが見えるだろう。


ナタリー:……あーあーあーあー……。「なんて、酷いことを」


ベルジ:魔法・・を使う剣士・・と、大弓・・を持ったアンデッドか……。「ああ……こうなってしまっては、救われない……!」


イヴ:「最悪、胸糞悪い。マジで」


エリック:「……ロレーナさんに、いい報告は出来そうにないな」


ヨル:ただ黙って、杖を構える。


GM:——さあ、戦闘開始だ。

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