第47話 衝撃の真実

 彼女達は、13歳と14歳の姉妹の未成年だった。

 淡黄色の髪が姉のマダリン、タンポポ色の髪が妹のトリシャ。二人ともキレイなエメラルドグリーンの瞳をしている。


 「未成年なのに冒険者になったの? 免除になるのでは?」


 冒険者になる時に、未成年は免除になるような事を言っていたとリナが聞いた。


 「うん。でも働けるギルドがなくて……」


 二人は俯く。


 「それって魔力が足りなかったの?」


 エストキラが聞くと、二人とも違うと頭を横に振った。


 「一緒のギルドに入れなくて……だから冒険者になったの。成人するまで、採取のみでいいという条件で」

 「採取だけだと大変じゃない?」

 「……でも冒険者になれば、税金は払わなくていいって」


 マダリンの言葉にエストキラとリナは顔を見合わせる。

 確かにそうだろう。説明も受けただろうが、きっとよくわかっていない。と言って、今更どうする事も出来ないが。


 ”可哀そうに。神殿は何をしているのかしら。保護するんじゃなかったの?”


 リナは、貴族も一般人も自分たちと同じく選ばれた者だけにスキルが与えられていると思っている。そして、親を失った未成年で引き取り手がない場合は、保護すると言っていた言葉を未だに信じていた。


 「神殿はなんて言っていたの?」

 「神殿? 冒険者になれば、成人になっても税金を支払わなくていいよって」

 「何ですって!!」


 マダリンの言葉にリナは衝撃を受ける。

 そして、知っていたかとエストキラに振り向いた。


 「残念だけど、僕達が知っている神殿は繕ってるんだ」

 「え?」

 「リナ、ちょっとこっち」


 二人に声が聞こえない様に、引っ張って行く。と言ってもそこまで広くない。


 「やっぱり知らないんだね」

 「知らないとは?」


 小さな声で言うエストキラにリナも小さな声で聴き返す。


 「貴族と一般人は、5歳ごろにスキルを覚醒させるんだって」

 「……? 言っている意味がわからないわ」

 「僕も村を出て初めて知ったけど、スキルってそもそも全員持っていて、神殿の者がそのスキルを覚醒させているらしいんだ。村では、あたかも神に選ばれた者に与えられる様に見せかけていた。スキル自体は、覚醒させてみないとわからないらしいけど」

 「うそ……なぜ、村人だけそんな扱いを? 食べ物も全然違ったわ。お金の使い方とか教えてもらって、私……特別だと……最初から騙されていたの!?」


 信じられないという顔つきでエストキラに迫る。


 「ちょ、声が大きい。落ち着いてリナ。理由はわからない。けど、村の人にはそれを知られてはいけないんだ。だから冒険者さえ近寄らせないルールがある。その冒険者も街にいる村人だって言われたよ。税金を払わない者だって」

 「払わないって……払えるわけないじゃない。お金を持っていないもの。作物だって、物々交換分しかなかったじゃない。それでどうやって……」


 ”嘘よ。神に選ばれた者でもなく、ただそう信じさせられていたなんて。それって、村人ではなかった神殿の者は知っていたって事よね。何それ……”


 「リナ……村人には、モンスターを討伐させる為にスキルを覚醒させていたらしい。だからリナがすぐにそうならなくてよかった。僕らは運がいいんだよ。そう思おうよ」

 「運がいいですって!? でも祈り以外は街へ言ったのよ。キラだって」

 「………」


 リナの言葉に、エストキラは俯いた。


 「前に言ったよね。神殿に殺されたって」

 「……でも生きているじゃない」

 「ある人に助けられたんだ。僕は、ある作戦の囮に使われた。本来なら死んでいたんだ」

 「え……」

 「神殿は、リナが思っているようなところじゃないんだよ」

 「じゃ、街に行ったという村の人達は?」

 「討伐に回されたと思われる。知って行ったかは定かではないけど」


 ”そんな……”


 「あはは。バカみたい。バカよね……」


 そう言いながらリナは、先程まで泣いていた二人に負けないぐらい大声で泣き出した。


 「リナさんをいじめるな!」


 マダリンとトリシャが、ぽかぽかとエストキラを叩く。


 「ご、誤解だから。いじめてないから」

 「……ご、ごめんね。大丈夫だから」


 涙を拭きリナは、覚悟を決めた顔でマダリンとトリシャを見つめた。


 「ふ、二人は何歳の時にスキルに目覚めたの?」

 「うん? 五歳だよ」

 「そう……」


 ”キラの言う通りなのね”


 知らない方がよかったと思いながらも、知れてよかったと思うリナだった。

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