第44話 ランク分け
〈食堂〉
〇カウンターはランクごとに違い、お金と引き換えに注文しその場でもらう。
〇食事は、ランク事に決まった席で食べる。
〇食べ物、飲み物は持ち込まない。
”はぁ……。ここでもランク分けされているのか。まあ僕らはすぐに食事にはありつけそうだけど”
今現在この街でFランクなのは、エストキラとリナだけだろう。
食堂は何件かあるようだが、一番近い場所で食べる事にした。
「す、凄い込んでいるわね」
カウンターに冒険者が並んでいる。Dランクは三つあるが、同じぐらいの長さで並んでいた。
「僕らはFだから並ばないで注文できるよ」
「うん……」
Fランクのカウンターには、店の人さえいない。
カウンターに行けば、メニュー表が置いてあった。それを二人で見るも二人とも眉間に皺を寄せる。
「ねえ、肉料理あるみたいだけどモンスターの肉?」
「わ、私に聞かないでよ。だけど聞いた事があるモンスターの名前があるからそうなのかも」
全部そうかわからないが、二人は嫌だったので肉料理以外のにした。
「あの、すみません。イモ煮下さい」
「じゃ、ここにかざして」
「はい」
そうしているうちに、イモ煮を持ってきた。
二人は、それを凝視する。
”まさかここで村で食べていた料理を食べる事になるなんて”
芋が2つで銅貨30枚だ。
食べる気が失せた二人は一個ずつ分けて食べる事にして、ぽっかりと空いているFランクの席についた。
「Dランクになったらあぁやって並ばないといけないのね」
「うん。一番多いのがDランクみたいだね」
ポイントを貰えたとしても支払いが終わらなければランクが上がらない為、ほとんどの者がDランクだ。
”そうだ。EからDはポイントいくつで上がるんだろう”
〇5万ポイントでDランクになる。
〇支払い完了かつ100万ポイントでCランクになる。
”うーん。5万か。Cランクになるのには、さらに100万必要なんだ。100万でも支払いの方がかかるからこんなにDランクの人がいっぱいなんだ。完済に何年かかるんだろう。急だったとはいえ、あの紙をリナに見せればよかった”
親を見に行ったせいでリナを危険な目に遭わせそうになり、結局はありもしない借金を背負わせた。
「ごめんね」
「いきなり何よ」
「こんな事になったのは僕のせいだから……」
「そうかもしれないけど、でもキラの言う通り討伐に回される時が来るとすれば、私は助けてもらったと思ってる。ただ……人を信じすぎかもね」
「……うん」
”結局、神殿の騎士は僕を見捨てたって事なのだろうけど。アルがいなければこの街には入れていないのだから”
食べ終わった二人は、冒険者協会に一番近い宿屋へと向かう。Fランクの宿屋は、この一か所だけと書いてあった。
『←Fランク』
看板が立っているのでそれに従い行くと、外階段があり上って扉の前に到着。扉には、Fランクと札がかかっている。
「ここにカードを差し込むって手引きには書いてあったけど……」
壁にカードが入るぐらいの隙間の様な穴があり、恐る恐るそれにカードを差し込む。
手引きには、冒険者マークがある宿屋は無料で、ランクごとに部屋がわかれていると書かれてあった。
カードを指し込むと、扉が少しスライドし開いた。それを押してスライドし開け、リナもカードを差し込む。
二人が入れば案の定誰もいなく、馬車の広さより少し大きいぐらいの部屋に窓が一つ。
「いきなり部屋!?」
リナが驚いて言った。
「うん? 変なの? 家ってこういう感じじゃない?」
エストキラの家も玄関の扉をあければすぐに居間だ。その奥に部屋が二つ。リナが居た時は、男女に分かれて寝ていた。
「それは村の家の話でしょう。神殿も宿屋も玄関の扉を開けると通路よ」
「へえ……」
リナが言っている宿屋は、神殿の者専用の宿屋だが、作りは同じだ。
「まあ、Fランクの人なんてほとんどいないからこうなんじゃない? 僕らも明日には、Eランクだよきっと」
「そうね。そうそうさっき気が付いたんだけど、薬草摘みなら先にある程度詰んでおいて、都度行かなければ時間短縮になると思わない?」
「あ! そうだね」
二人は、バカ丁寧にいちいち採取に森へ行っていた。
「それより、布団ってないんだね」
「そうね。それは自分で用意しないといけないみたいね……。それに食堂もそうだったけど、ランクできっちり分かれているのね」
人の出入りがほぼないFランクの部屋の床は埃だらけだ。外よりはマシかと二人は、壁に寄りかかりながら疲れた体を休めるのだった。
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