第25話 チャレンジ
”うーん。なるほど。こうすれば何とかなる?”
ご飯を食べるのも忘れ、魔法陣の本を読みふけるエストキラ。
”失敗した場合は、発動しないがMPは消費する。また魔法陣を消すのにもMPが必要。複雑になればなるほどMPの消費が大きいのか。基本的に直線1本MP10消費かぁ。これもMP1消費でできればいいんだけど”
そういえば最大MPはいくつだろうと、水晶玉を見て目を丸くする。
「え~! 16000超えてる! ガントさんには内緒にしておこう」
水晶玉には、16610を表示されていた。
「まあ、MPは全然問題ないな。失敗しても描いた本人なら消すのは簡単みたいだし。ただ用途に合わない魔法陣を描いたとしても、成功しようが失敗だろうが意味がないって事なんだよね。まあ当たり前だけど」
つまりは、上手くいったのか確認ができないのだ。
「よし! 失敗してもやり直せるならやってみよう」
何に描こうかと辺りを見渡す。だがここに
「うんじゃ、かばんにしようかな」
街に来る時に貰った斜め掛け鞄をエストキラは裏返す。
”魔法陣を見えなくする事もできるけど、それにはスキルが必要だから。内側にっと”
一番簡単な魔法陣に挑戦する事にした。
裏返したかばんに右手の親指、中指、小指の指先を付ける。魔力を流しながら魔法陣をイメージ。まずは三つの指を繋ぐ三角形が出来上がり、それが回転して行くように、次々と三角形が描かれていった。そして、静かに手を離す。
「ふう。できた! MPは? これも消費1だ! これなら複雑のも描いても大丈夫かも。まだ描けないけど」
エストキラは、キラキラと瞳を輝かせる。
「さて、次は……と、まず可視化で詳細を見える様にしたいなぁ。どんな風になるかな? 後は、軽くしたいから重さも入れて」
魔法陣の上に右手を置いた。その右手の上に左手を重ねる。
「スキルカシカ! スキルカルクナレ!」
かばんがほのかに光を帯びる。
”あとは何にしよう。三つ必要だからなぁ”
手はそのままに、エストキラは考える。そうだ。大きさはどうだろう? 中身がいっぱい入るように。
「スキルオオキクナレ」
エストキラは、手を離した。
「うわぁ。失敗だ!」
イメージと違い、かばん自体が大きくなったのだ。
「はぁ。よく考えればこうなるよね」
魔法陣を消そうと、エストキラは鞄に触れた。
【斜め掛け鞄】〈普通〉〇耐久度:90/100〇オプション:可視化+50/重さ-50/大きさ+50
「あ、見える! 凄い。これが可視化なのか」
”そうだ。魔法陣を完成させたらこの表示どうなるんだろう”
先ほど、魔法陣を描いた位置に三本の指を置く。
「エンド」
三角の図形を包み込むように円が描かれる。
「ちゃんと完成したかな?」
【斜め掛け鞄】〈普通〉〇耐久度:90/100〇オプション:可視化+50/重さ-50/大きさ+50〇装備者と錬金本人に詳細表示。中に入れるモノの重さも半分になる。中に入れるモノの大きさも1.5倍になる。
「はぁ? 軽くなるのはいいけど、大きくなるって何? 結構難しい」
ガックシと肩を落とす。
「キャンセル」
スーッと、魔法陣が消えた。鞄の大きさは元に戻り、ほのかに光っていた光も消える。
”やっぱり一緒にオプションも消えちゃんだ。一回きりの回収したオプションは、考えて使わないともったいないかも。うーん。まずは、大きさだよね”
かばんに親指、中指、小指の三本の指を付く。そして、三角形を描き先ほどと同じく途中までの魔法陣を作った。その上に右手を乗せ左を乗せる。
「スキルカシカ、スキルオオキクナレ、スキルチイサクナレ」
そっと手を離す。先ほどとは違い大きさは変わらなかった。
「よし。エンド」
【斜め掛け鞄】〈普通〉〇耐久度:90/100〇オプション:可視化+50/大きさ+50/大きさ-50〇装備者と錬金本人に詳細表示。中に入れるモノの重さも半分になる。
「うーん。消し合っただけかぁ。何かないかなぁ」
エストキラは、本にヒントがないかとまた読み始めた。
「あった!」
応用編に見つけ、叫ぶ。
「キャンセル」
また描き直す為、三本の指をかばんに付けた。同じ三角形が描かれていく。そこに手を重ねた。
「スキルフカシカ、スキルカルクナレ、スキルチイサクナレ、エンド」
かばんは、小さくなりほんのりと光を帯びるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます