第24話 錬金術のあれこれ

 ポーション屋。ギルドが建ち並ぶ通りにあった。錬金術協会より賑わっている。


 ”色んなアイテムも置いてあるけど、魔道具ではないんだよね?”


 魔法陣が描かれているアイテムを見つめるエストキラ。


 「その布は、錬金術師イカットが描いたものだ。濡れたモノを拭くとあら不思議。一回拭いただけで、すっきりキレイ。どうだ。特価価格銀貨50枚だ」

 「へえ。あのこれは、魔道具とは違うんですか?」

 「うん? あぁ一般人のガキか、お前。残念だがこれは、魔道具ではない。まあ違いは、鉱石を使っているかとかだがな」

 「討伐ギルド……には所属してないか、その身なりなら。まあ、でも便利だぞ」

 「うーん。この布切れで銀貨50枚?」


 ハンカチ程の大きさの布には確かに魔法陣は描かれているが、魔道具ではないらなら高過ぎるとエストキラは思った。


 「ふん。買う気がないら帰った帰った」


 しっしと手を振られ、慌ててエストキラは小瓶を指さす。


 「え! 買います」

 「おぉ、そうか」


 小瓶を指さしたのに、さっき見ていた布切れを手渡される。


 「え……」

 「なんだ? 買わないのか?」

 「あ、いえ。じゃ……これも。あと、万能薬下さい。あれ、そうですよね?」

 「……お前、お金あるのか?」

 「はい。えっと3本下さい」


 金貨を見せると、そうかとにんまりして万能薬を持ってきてくれた。


 「ほれ。割るなよ。そうそう、魔道具は錬金術の一種だ。魔法陣を見えなくして、MPを消費して動かすのが魔道具。その万能布の様に、最初からあるモノに魔法陣を施しただけのは、魔道具とは言わない。ちょっとした違いだが、値段が桁違いだ。覚えておけ。騙されないようにな」


 そういうと、店員はけらけらと笑う。


 「はあ、ありがとうございます」


 お釣りをもらいなるほどと、倉庫へ向かった。

 倉庫に入る時にカギになる石を手にして、ふと気が付く。


 「これは魔道具じゃないのか」


 魔法陣が見える石。仕組みはわからないが、これだけで開かなくなったりするのだから凄いと、エストキラは関心した。


 「はあ。それにしてもまた無駄使いをしてしまった」


 エストキラは、買った布を見つめため息をつく。


 「そうだ。どうせならこの魔法陣がどんなものか本で調べよう」


 魔法陣のあれこれで同じモノがないか調べていく。それはすぐに見つかった。

 簡単な魔法陣として紹介されており、同じスキルを使う事によりその能力を高める魔法陣だ。


 ”うーん。どんなスキルが使われているんだろう。見えたらなぁ。マスタースキルでそういうの覚えるかな? あ、いやその前に、複数付けられるのを覚えるまでレベル上げするんだった”


 すっかり忘れていたと、魔道具の山に向かう。そして、日課になりつつあるマスタースキルのレベル上げをまた始めるのだった。





 ――オプションがレベル11になりました

 ――マスターがレベル11になりました


 「上がった! あ、これは!」


 エストキラは、オプションを見て目を輝かせる。


 *マスター

  *レベル10:スキル発動消費MPを1にする。また経験値を2倍獲得。アブソープションを取得(レベルアップ時、MP全回復)。成功率+5%。ダブルを取得(両手それぞれ違う対象に限り一緒に発動させる事ができる)。ダブルその2を取得(対象の上に右手を乗せその上に左手を乗せると効果が5倍になる)。鑑定を取得(オプションが付いているモノがわかるようになり、触れて鑑定と唱えればオプションを判別できる)。効果を10倍にする。回収を取得(鑑定したオプションに限り、回収と唱えれば回収し保存できる)。ペースト(回収したオプションも発動できるようになる)。追加(種類が違うオプションは、追加する事ができる)。

   次のレベルまで:オプションがレベルアップ時に一緒にレベルアップする。


 「これじゃないか!」


 *オプション

  消費MP:1(マスター効果)

  装備全般に有効

  成功率:63%(マスター効果)

  同じ種類のオプションは上書きになる。

  違う種類のオプションは追加になる。(マスター効果)

  *レベル11:素早さ+1/重さ-1/衝撃吸収+1/命中+1/回復+1/柔らかさ+1/硬さ+1/大きさ+1/大きさ-1/可視化+1/不可視化+1


 確認すると、上書きと追加にわかれていた。


 「きっとこれだ! うん? 可視化と不可視化?」


 *可視化+1/詳細の一部を見える様にする。

  発動条件:対象に触れながら『スキルカシカ』と発する。

 *不可視化+1/そのモノを見えづらくする。

  発動条件:対象に触れながら『スキルフカシカ』と発する。


 「うーん。可視化はわかるけど不可視化はどんな時に使うのか……。いやそれより、これで魔法陣を試せる! あのおじさんが言っていた事が本当なら鉱石を使わない魔法陣は、魔道具じゃないけど一般的なんだ。あとは、オプションだけで魔法陣を使えれば問題ない!」


 期待に胸を躍らせるエストキラはだった。

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