第3話 随想(エッセイなど)
「ねぇ~。これ見て~」
「ん?動画?」
「そう。お仕事仲間の人にこの動画に最近ハマってて面白いから見てみてって言われてお昼食べ終わった後にお店で見てたの」
「へぇ。どういう内容なんだ?」
「んー……、なんかよくわかんなくて」
「ちょっと待て。見てみるから」
動画視聴後
「で、まずは何が分かんないんだ?」
「なんだろう。この人の言ってること正しい気がするのになんか違和感があるって言うか」
「考え方の一つって割り切ればいいだろう」
「ん~、でもこれが面白いって思えないから。なんであの子は面白いって感じたんだろうって」
「それは本人に聞くしかないけど……。想像で良いなら話せるぞ」
「想像でいいから話して!あの子に直接聞くのは怖い!」
「端的に言うと、この人の喋り方に問題がある」
「え、喋り方?」
「こういう結論があります。具体例はこれです。だから、こういう結論は正しいです。この論法な詐欺師が良く使う手口なんだ」
「え?」
「勘違いする前に言っておくけど、この言い方をしている人間全員が詐欺師だなんてことは無い。説明するときに楽だし、相手を納得させやすいから普通の人も普通に使う」
「え、それなら変じゃないんじゃ?」
「この人の結論はこの人の経験していた人生の中では筋が通っている。だけど、そうでない人間にとっては共感しづらい」
「じゃあ、アタシは共感できなかったってだけ?あの子は共感できたってだけ?」
「単純に考えれば、そうだと思うけどな」
「エッセイとか、こういう動画ってその人個人の考え方を公表しているだけだ。それが真理と言う保証はどこにもない。下手をすると、地獄への入り口かもしれん」
「心理……心の話だっけ?」
「違う。真実の理のほう。どこに出しても間違っていないって言う認識だ」
「じゃあ、この人のは間違ってるの?」
「一概にはそう言えないが、この人と同じ考え方の人にとってはこれが正しい……くらいの狭き門だな。現にお前は共感できなかった」
「あぁ!なるほど!」
「じゃあ、どうやってその人の考え方が正しいって見極めるの?だって、共感できないから間違いって事もないでしょ?」
「嫌なところを突くな。まぁ、その通りだ。正しいを見極めたいなら、その人の論じている事の根本を調べる必要がある」
「うわッ、めんどくさ」
「めんどくさいんだよ。労力をかければかけるほど、答えを考える時に変に迷わなくていいから楽にはなる。けど、その手前の労力が想像するだけで吐きそうになる」
「吐いていい?」
「やめなさい」
「無理せず見極める方法は無いの?」
「よほどおかしなことを言ってないと見極めるのは難しいぞ」
「うへぇ」
「後は一見正しい事を言っている人の言葉は疑うとかな」
「え?なにそれ」
「この人の動画でも頭から最後まで聞くと間違っていないように聞こえる」
「そう?」
「言っていることだけ抽出すると破綻してないからな。話し方もあるけど、耳障りの良い言葉は頭に残りやすい。そして、難しい言葉を混ぜると途端にわからなくなる。そのわからない部分を耳障りの良い言葉が都合よく補完するから明後日の方向に進み始める」
「じゃあ、話を聞いて”確かに!”って思ったら疑えって事?」
「んー……なんかよくわかんないけど正しいっぽく聞こえる時に疑った方が良い。なんかよくわかんないってのがミソだ」
「大豆!」
「重要って意味だ」
「ねぇ、ヤオの話も難しいからもしかして騙そうとしてる?」
「んじゃあ、次からは別の奴に聞いてくれ」
「待って!ねぇ待って!」
******** ********
【随想(エッセイなど)】
書き手、もしくは動画投稿者の考え方などはその人の人生観によって形作られる。
なので、観る時は善悪や正誤を考えず頭を空っぽにしましょう。その論が合っているか間違っているかは、根本から調べていけばわかる。
討論などの番組も同じようにして見た方が良い。
下手に共感すると、迷走したまま明後日の方向に走り出します。
そして、気付いた頃には周りに既存の友人が居なくなる場合もあります。
王華の中の結論
「アタシみたいな馬鹿は見ない方が良い。考えなくても生きていけるし!」
でも、騙されたくなければ自分の気分が良くなるような言葉や考え方は疑う方が良い。
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