第2話 刺青


「ねぇヤオ」

「どうした?」

「腕に綺麗な模様付けてる人いるでしょ?」

「ああ、【刺青】か?」

「そうそうイレズミ。あれってさ、なんでつけてるとお風呂入れないの?」


「……お風呂ってか、温泉な。厳密に言うと、温泉施設によって入れるかそうでないかは変わるらしいけどな」

「そうなんだ。で、なんで入れないの?」

「日本だと刺青=反社会勢力って認識があるんだよ」

「反社会……やくざとか暴力団とか?」

「そうそう。そういう奴らが温泉入ってたら他の一般人がゆったり出来ないだろうって考えでそもそも入れないようにしてんだ」


「刺青って反社会の人がつけるの?他の人はしないの?」

「元々、刺青ってのは宗教的な意味合いが強い装飾の一つだ。首飾りや指輪とかと一緒だ」

「え、じゃあ別に刺青してたって反社会の人とは言えないんじゃ?」

「そうだぞ」

「え?じゃあ、なんでお風呂入れないの?」

「温泉な。二度目だが、日本では宗教的な意味合いよりもそういう人がしているってイメージが強いってだけだ」

「じゃあ、宗教上の人も勘違いされるかもしれないって事?」

「そうだろうな」

「大変だね」


「それに今じゃあ、ファッションで刺青入れる人もいるから昔よりは温泉側の規制も変わっているって聞くけどな」

「そうなんだ」

「ちなみに、今日は温泉入ってきたのか?」

「ううん。マナとお昼食べた時に隣の席に座った人の腕に綺麗な模様あったから」

「まじまじと見たのか?」

「ううん。でも、目が合った時にキミ可愛いね。いくつ?って聞かれた」

「ナンパか?」

「さぁ?二人だよって答えたら変な顔された」

「あのな……いくつって、年齢聞かれたんだよ」

「え?」





 ******** ******** 

【刺青】

 本来は装飾品と同じ扱い。国によっては犯罪者などの識別に使われることもある。

 絵や文様の刺青は宗教的な意味合いが強く、海外では割とポピュラーなもの。残念ながら日本では反社会的勢力の人間と思われることが多い。

 最近では日本人でもファッションとして彫る人もいる為、刺青を入れているからと言って反社会的勢力に属している人とは言い切れない。


 王華の中の結論

「よくわかんないからあの人たちは宗教の人ってことにする!」

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