義時さんはフィアレス 2

 北条義時は鎌倉幕府の二代執権で、姉は北条政子、義理の兄は鎌倉幕府初代将軍源頼朝だ。子どもに御成敗式目を作った三代執権北条泰時や、七代執権政村がいる。

 小・中学校では習わない彼が一躍いちやく有名になったのは、まさかの大河ドラマ主役に抜擢ばってきされたためだ。


「かくも端正な男がこの私を演じるとは思わなんだ」

 主演俳優の写真を見てまんざらでもない表情を見せる義時さん。ありえないけれど、将来的に僕が主人公の大河ドラマが作られることとなったとして、その主演がイケメンだったらこんなふうにもなるかもしれない。

「姉上も義兄上もお前には不釣り合いだと文句を言っておったがな」

「はあ。厳しいですね」

 ちなみに大河の配役を見てみると、厳しい感じはしないものの、何というか……癖の強そうな印象だ。

「ずっとそうじゃ、あの二人は」

「だから幕府は強かったのかもしれませんね」

「そうじゃの。おぬしなかなか話が分かるな」

「恐縮です」

「しかし……かたや私は父殺し、そして朝敵よ」

 義時さんは自嘲げに笑った。それは鎌倉時代初期の内乱と、彼の人生の終末に突如襲い掛かった、あの戦いに端を発するものであったろう。

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