第4話 5月27日(木)10:00~12:00
※ 読んでくれてありがとうございます。まだまだ拡散等よろしくお願いします。もうこれに関しては徹底的にアピールしていきます。
俺、体調悪いんだけどなあと思いながら、濃厚接触者リストを作っていく。
そんな中再び保健所から電話がかかってきた。
「ハイロックさんのお父さんのPCR検査を行うのですが、お父さんは自分で病院まで来ることができますか?」
「すいません、うちの父は身体障碍者で、車を運転することはできないんです」
そう、うちの親父はもう15年以上半身不随の状態である。とはいえ3年前は運転もしていたのだが、自損事故をきっかけに車を手放したのである
「それでは、ご家族のどなたかで連れてこれる方はいらっしゃいますか?」
うーん、母親はとっくになくなっているし、俺は結婚していないし、妹は九州の方に嫁いでしまっている。
「申し訳ないですが、ちょっとこちらで連れていく手段はないように思います」
「そうですか。では一度保健所と病院で相談しますので、また電話いたします」
そういって電話が切れた。
うーむ、困った。まあしかしどうにもならないものは仕方ない。まさかこの状況で検査のために、九州から妹を呼ぶわけにもいかないし。濃厚接触者の父を運ぶのに友達を頼るわけにもいくまい。
再び保健所からの電話。
「えーと、それでは、ハイロックさん自身でお父さんを連れてくることはできますか?」
ん?
は?
えーと、いったい何をオッシャテルノデショウカ?
感染者本人が、症状のない父親を連れていく?
「あのう、もちろんですけど、私が連れて行ったら、父に感染する可能性たかくなりますよね」
「……現状でも、感染してる可能性はあるので」
「いや、そういう問題じゃなくてですね。……一応一緒に住んでるとはいえ、一応二世帯住宅でほとんど父とは接していないんです。現状父親に何の症状もないので、できれば接したくないのですけど」
「症状が出てないからと言って。検査しないと感染してるかどうかはわからないので。ハイロックさんに連れてきてもらって検査するしか、現状ほかに手はないです」
「いやいや、だって検査のために感染覚悟で、俺が連れて行くって、明らかにおかしいですよね? それだったらもう検査させないで自粛させた方がいいんですけど」
「検査させないということはできません」
「検査しないと感染かどうかはわからないのはたしかだけど、俺が連れてったら確実に感染しませんか? 頭悪いんですか?」
頭悪いんですか?っていったかどうかは覚えてないけど、ムカついて悪口言ったのは確かだ。ただでさえ、こっちは熱で頭やられてる上に、リスト作りでてんてこまいなんですけど、なんでさらに追い打ちをかけてくるの?
「でもハイロックさんが連れてこないと、お父さん検査受けられないんですよ?」
は? なんなの? かなりの感染リスク冒してでも検査受ける方が優先高いっての?
「えーっと、あの、検査キットを送ってもらって、それをもっていくとかじゃダメなんですか?」
そもそも、筒に唾液を入れればいいだけなんだから、別に本人が出向く必要もないだろう。
「ええと、それはできません」
「何でですか?」
「病院で検査を行うって決まってるからです?」
はあっつ? さすがのお役所仕事!?
いやいやいや、おまえら何考えてんねん?
それ検査のために無駄に感染者増やそうとしてねぇか?
ルールを守るために感染確率を高める気なのか。
20分以上は双方ともに同じような主張を電話でつづけた。
すっかり血圧の上がる私、かなり強い口調でとにかく俺が父を病院に連れてくことはできないと繰り返し、保健所もとにかく俺に連れてくることを繰り返しお願いする。
「また、病院と相談して電話します」
そういって、向こうも電話を切った。たいそうめんどくさい患者に思われただろうが、俺じゃなくてもブチ切れるだろ。
時刻は12:00。
濃厚者リスト作りは全く進まなかった。
※ このやり取りは多少のフェイク、記憶違いはありますがまぎれもなく実話です。
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