第3話 5月27日(木)0:00~10:00くらいまで
(本ページには数字などいろいろフェイクを入れてる部分があります))
木曜の日も熱は引かず、やはりあまり眠れない夜を過ごした。とはいえ一睡もできずというわけでもなく、明け方には眠りにつき、そして再び8時くらいに病院からの電話によって起こされた。
「検査の結果陽性と出ました、午前中に保健所から連絡ありますのでその指示に従ってください」
陽性であろうことはある程度予期していたので、大した驚きはなかった。基本的には体調不良とか病気には強い方であって、社会人になってから大きな風邪みたいなものは8年くらい前のインフルエンザくらいなので、今回のが新コロナじゃなかったら逆になんだよって話だ。この時期にインフルもないだろうし。
さて、9時くらいに保健所から連絡があった。
ここからが大変だった。
「ハイロックさんは、指定感染症の感染者になりますので、病院かホテルに隔離されます」
とまあ、言い回しは覚えてないけれどそのように伝えられた。そして俺は接客業を営んでいるので、|濃厚接触者リストを作らなければいけないといわれた。自分で保健所のホームページに飛んで、ダウンロードしてファックスかメールで送るんだと
さ。
あのあの、僕熱が下がってきたとはいえ、体調悪いんですけどね。そんな、日常でもやりたくない事務作業を強いますか?
とは言わなかったけど、返事するのに少し間をおいていたら、空気を読んだのか、メールアドレスにリストのひな型は送ってくれるといった。(それ絶対最初からそういうシステムにした方がいいと思いますよ)
そして濃厚接触者に、俺自ら電話をかけて、住所生年月日、さらには自動車の車種と番号まで聞いてリストに載せるように言われる。そしてそのあと保健所から電話があることも伝えてくださいと言われた。
えーと、あの、僕別に健康体じゃないんですけど、熱残ったままそんなハードな作業を俺がするんすか?
この濃厚接触者を自分で報告するというのは、精神的にすごく悩む。
濃厚接触者に指定すれば、陰性陽性にかかわらずその人には大変な迷惑がかかる。しばらくは仕事等ができなくなるだろう、その認定を自らしなければいけないのだ。正直濃厚接触者はいないということもできたので、うそをつくことも一瞬、いや結構な時間頭をよぎり続けていた。(濃厚とは言うけど、消毒もしていたしマスクもしっかりつけていた。そこまで長い時間でもなかったが、保健所が該当するっていうから仕方ない)
ただ、もちろん保健所の指示に従いすべてを保健所に提出した。本当に済まない濃厚接触者になってしまった人。
もちろん電話をしながらひたすら謝った。
そりゃあね悪いのはコロナで、俺じゃあないだろうっていう思いはあるよ。
けどまあ、自然と謝りの言葉しか出てこない。だって、一応おれは人のために仕事しているつもりなのに、俺にかかわることで逆に迷惑をかけることになるんだからさ。
コロナの苦しみよりも、濃厚接触者に自ら電話をかけなきゃいけない精神的な痛みの方が正直つらかった。
何とかなりませんか。保健所の方……。ただでさえ患者は弱ってます。というか熱が下がってたから自力で何とかしたけど、もうろうとしてたらどうするんだ。
そして23:00くらいにさらに保健所からとんでもない指示が入る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます