第4話 岡崎奏の弱点
奏は話しかけられて、止まったまま動かない。昨日俺と話していようには、話せないのだろうか。そのまま沈黙の時間が流れる。すると、奏のおかしな様子に気づいた由衣が
「ねえ。どうしたの?何か言ってよ。」
と少し心配そうな口調で奏に訊ねる。奏は以前として固まったままだ。慌てて俺は由衣の前に立ち、
「由衣、岡崎さんはきっとまだ、緊張しているだよ。俺たちはずっと一緒に成長してきたから、そういう新しい仲間と新しい生活みたいなのが、わからないだろ?俺らも彼女の気持ちにならないとさ。だから、また今度ゆっくり話そうぜ?」
といい誤魔化した。そんなことをしているうちに我らの担任となった教師が教室に入ってきたため、由衣は教師の方を向いて座り、奏は「ふぅ」と息を吐いて安心しているようだった。
「みなさーん。今日からこのクラスの担任をする相原朱音です。よろしくね?朱音ちゃんって呼んでね♡」
と微笑む、朱音先生。俺はこの強烈なキャラに少しビビった。見た感じ、歳は26、7。このキャラを三十路を超えてもやるのだろうか。少し考えただけでゾッとした…。しかし、言動はともかく、朱音先生の雰囲気は、由衣の凛とした感じとは真逆で、みんなを包み込む優しさがあるような感じだった。信頼できるのではないだろうか。髪型はボブといったところだろう。
「まあ、今日は学級委員だけ決めたら、下校する予定だから、ちゃっちゃっと決めちゃお!」
と朱音先生は元気に言う。すると由衣が「私がやりたいです」と手を挙げる。そして、由衣は俺の方を見、「あんたもやりなさいよ」とでも言いたげな顔をする。まあ俺たちの学校生活では、いつも学級委員は由衣と俺の2人だったため、自然なことだ。親友の秋山優希も視線を送ってくる。俺は常に学級委員なんて面倒なことをやりたくないとは思っているものの、もう何年間もやっているので慣れてしまった。仕方がないので、俺は手を挙げて「じゃあ学級委員、やります」と言い、HRは終わりを告げた。
帰りのバスの中、俺は奏と2人だった。
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