癒すのはおしまい


「よっ!」


「まーたサボり?」


「冬練だりーからな」


 教室の扉越しに声が飛び交う。


「……次も負けちゃうよ?」


「だろーな」


 彼は秋の大会で負けて以来、たまに自主練中の私の所へ来ていた。


「……聴いて」


「え……?」


 そっと、吹き口に唇を添える。


 扉越しの彼の背中を、今度は私の曲で押せるように。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る