第6話:霧晴れず

ボラフ:「これもスィオネ様やサクが回復をしてくださったおかげです。お二人にはご迷惑をおかけしました」



サク:「手強い相手じゃったな……」

いつになく真剣な面持ちをしています。にこやかな顔をしている余裕がない。



GM:ともあれ、辛くもガストの群れを殲滅することに成功した。これでもうこの場所で増殖することはないだろうということが分かる。

特にやりたいことがなければこのままギルドに報告に戻ってもらいますが、どうしましょうか?



ボラフ:うーん、どうしようかな……。お前が言うなって言われそうだけど、帰りの道すがら、ちょっとサクさんに話しかけます。

「サク、少しよろしいですか?」



サク:「ん? なんじゃボラフ坊」



ボラフ:「今日のあなたは冷静さを欠いていたように思います。私たちには元から『神の声』は聞こえませんが、最初の祈りは神に届いていなかったのではありませんか?」



サク:「……痛いところを突くのぅ」

スィオネちゃんとボラフくんのは大ダメージに動揺したとか、単純に疲れたとか言い訳できるけど、サクのは初っ端っスからねw



スィオネ:思えばあれが運命変転チャンスでしたね。他は3とか4だったりでひっくり返しても微妙でしたしw

スィオネが運命変転を使えたなら、【アース・ヒール】の不発のところを変えたけど。



ボラフ:「あなたは今回の依頼の内容を聞いたときから、いつもとは少し違っていました。いつものあなたは、朗らかであるのと同時に冷静です。」

あくまでもボラフ目線なので、キャラ違ってたらごめん。



サク:「冷静っていうのは、あんたみたいな人のことを言うんじゃないか? もし、ワシが落ち着いているように見えるんなら、単純にこの中で一番年かさだからじゃろ」

話を逸らそうとしますねw



スィオネ:スィオネはたぶん二人の会話を気に留めずにいるんで続けて下さい。聞いていないように見えるけど、その大きな耳でしっかり聞いてますw



ボラフ:「そうですね、その点はそういうことにしておきましょう。私が訪ねたいのは、今回のサクのことです。『ガスト』か『魔法生物』か、あるいはもっと広く『蛮族』なのか、何か心に引っかかっていたのではありませんか?」



サク:どこまで言ったものかと頭を掻きます。

「確かにちょっとアツくなりすぎていたようじゃな」一度快活に笑って、声のトーンを落とします。

「でも人族なら、蛮族を忌み嫌ったり憎んだりするのは、当然じゃろ」

これは開眼してますね。



ボラフ:『蛮族』が原因というのが分かったのでこれ以上は踏み込まないようにするよ。

「……サク、あなたは私の年齢がいくつに見えますか?」



サク:ん? 若い方のイラストっスよね。実際のボラフの年齢は、プレイヤーとしてはもう教えてもらってるけど、このカードのと同じだとすると……

「ワシが18じゃから、まあ、同じくらいか?」



ボラフ:「まだ生まれて1年足らずです。私にはあらかじめ、多くの知識が与えられてきました。感情もその一つです。知識として『憎しみ』を知っています。けれども、まだ、それがどういったものなのか、理解できていません。あなたに寄り添えないことを申し訳なく思います」



サク:「……憎しみなんざ知らん方が幸せじゃ。たいていロクでもないことで『覚えて』しまうもんからの」

まだ18歳なんスけど、この中では一番年上なのでちょっと先輩風を吹かしましたw



GM:サクさんの闇の部分がちょっと明らかにされたところで、ギルドに到着したことにしましょうか。

討伐の依頼をマルコに報告すると、事前に預かっていた報酬を受取ることができました。一人800Gです。



スィオネ:<魔晶石(5点)>を使っちゃったし、赤字とまではいかないけど、貯金って難しいですね。



ボラフ:ルーンフォークのMP変換で他の人に分け与えられればいいんだけどね。そうすれば私はスィオネ様専用の歩く魔晶石に。



スィオネ:こらこら、重い重いw



マルコ:「今回は皆さん大変だったそうですね……。その辺の報告は、僕の方から依頼者にしっかり伝えておきますね」



サク:「おー、そりゃ追加報酬を期待していいってことかい?」



マルコ:「えっと、そうですね、しっかりと恩は売っておきますよ」

GM:マルコはちょっと答えに困ったものの、後半は割と本気の目をしています。皆さんは今回の依頼者ハリエットの信頼を得ることでしょう。……ま、フレーバーですがw



マルコ:「それにしても、どうしてあんなところでガストが増殖したんでしょうね?」

ギルド支部長のマルコがそう言って小首を傾げたところで、『経験点チット(黄)』2個の他に『フラグチットA』を獲得して今回は終了です。



スィオネ:フラグ!? やっぱりこの事件はただの自然発生じゃなく、誰かの企みだったってことでしょうか。実は『蛮族』に見せかけた誰か、だったり?



ボラフ:依頼主のお嬢様だったら嫌だなぁw



サク:この娘が黒幕を突き止めるも暴走して敵に捕まり、護衛の騎士が奪還の依頼をする……みたいな展開はありそうっスけどね。



スィオネ:黒幕てことはなさそうだからこそ、そうだったら怖いですね。いやー、まさかそんなことアルワケナイヨー(棒読み)



GM:いやいや、こちらの反応を伺われましても、まだGMにも分かりませんからw

それでは各自、成長させてください。

経験点チットの所持数的に、技能Lvが成長する人はいませんね。



サク:まだ冒険者Lv2のままなので、早く二人と同じステージに立ちたいっス。その頃にはまた更にLvUPしてるかもしれませんがw



スィオネ:能力値ボーナスが上がったのってボラフくんだけですね。しかも精神力だし、今とほぼ同じ戦力で次のステップですか。



サク:装備を新調できるかどうか、っスね。特に前衛二人。



ボラフ:今回は防具を買っておいて良かったよ。もしすべて貯金にまわしていたら……



GM:それでは皆さん、お疲れ様でした!お買い物の報告は次回にお願いします。



一同:お疲れさまでした。


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 前回がかなり楽勝だったのもあるのかもしれませんが、敵ダイスとなるとやたら調子良くてPCをうっかり葬るところでした。

 一応キャンペーン形式になっているとはいえ、フリーシナリオシステムのようなものなので、随所にそれっぽい伏線を適当に投げ入れていっているのが、友人とリレー小説の真似事をしていた頃を思い出しました。



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第二回:晴れぬ霧(ソード・ワールド2.5 RPGビルディングBOXリプレイ) 彩柳 @slry_fi

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