ブレーク4
求めるもの
「みごとに破壊されたなあ。隠魑」
隠魅は呑気な口調でいいながら隠魑の右肩に肘を添える。
隠魑は表情ひとつ変えず、隠魅の腕を振りほどくと前方へ進みながら手のひらを上に向ける。すると、手のひらに黒い球体が浮かび上がる。
「ひとつ2つ壊されたぐらいじゃあ。あれがなくなることなんてないわよ」
両腕を組なからそういっている亜魍のとなりで、少女が隠魑から離れて上へ上がっていく球体を物珍しそうに眺めていた。
「そんなに珍しいですか?」
それに気づいた隠魑が微笑みながら尋ねると、少女は首を横にする。
「見たことある。これと違う色のものみたことある」
隠魑は目を細めた。
「そうだね。見たことあるんだね。あれはこんな色をしていない。でもね。これが壊れるとあれも削られていく」
球体は再び隠魑の元へと戻ってきた。手のひらの上でしばらくグルグルと回っていたのかと思うと突然ヒビが入り粉々に崩れていった。
「あっ」
少女は声をあげる。
「これは壊すものさ。壊すことであれも壊れていく」
少女はなにをいっているのか理解できず、助けをもとめるかのように亜魍を見る。亜魍は少女を一瞥しただけで隠魑に視線をむける。
少女はとにかく隠魑の話を聞けといっているのだと理解するとそれ以上口を開かずに隠魑をみた。
「これとあれが完全に崩れたとき私は手に入れる」
「なーに勿体づけてんだよ」
隠魅は頬杖をつきながらため息をもらす。
「手にいれるんじゃないだろう? 取り戻すんだろう?」
隠魅のことばに隠魑はにやりと口角をあげる。
「そうだよ。私は取り戻すのだ。
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